夜間中学その日その日 (1005) 砦通信編集委員会
大阪市会「教育こども委員会」(2024/12/11)に提出した陳情書
2024.12.07
大阪市教育委員会は2024年4月、天王寺・文の里夜間中学統廃合反対の世論に背を向け、廃校を強行し心和中学夜間部の開設を行ったが学校数が4から3に減少することになった。羊頭狗肉の誹りに反論ができない市内夜間中学の現実を夜間中学卒業者の会は看過できない。半世紀を超える大阪市夜間中学のすぐれた実践を踏みつけた大阪市の教育行政に猛省を求めるため、以下の陳情書を提出する。
大阪市立夜間中学の一層の充実と発展を求める陳情書
〔陳情趣旨〕
大阪市教育委員会は「中学校夜間学級の再編について」(大阪市HPより2023/10/6)で「2校を統合、移転することで、指導体制を整備し、本市における中学校夜間学級での教育活動の更なる充実を図ろうとするもの」と述べられ、2024年3月、天王寺・文の里夜間中学の統廃合を行い、新たに心和中学に夜間部の開設を実行されました。8ヶ月が経過する現在、当初掲げられた目標に向かって、努力いただいていることに深く感謝申し上げると同時に、新たに生まれている課題について率直にお伝えし、一層の充実をお願いしたい想いで陳情書を提出いたします。
夜間中学に学ぶ人たちは時間的にも、経済的にも、健康など様々な課題を抱えながら、学ぶ想いを叶えるため、通学されています。
一点目に義務教育でありながら、学びを断念する“中退”“除籍”を生み出している問題があります。教育員会は「例年と同じ」だと問題視されませんでしたが、決して個人の問題としてはいけないと考えます。天王寺・文の里2校の除籍の人数は25人(2018~2020年)に対し64人(2021~2023年)と2021年を境に前後3年間で2.6倍と増えています。2021年は統廃合の計画を明らかにされた年です。2023年だけで32人を数えます。また心和夜間中学では、入学後2024年5月~8月の期間に13人(在籍数の21%)が除籍になっているのです。その原因を明らかにし、解決の方途を追求していただきたいと考えます。
二点目に夜間中学の入学時期は4月末までと夜間中学生の実態に合わせ、次年度の4月まで待ってもらうことは避けるべきだと、年度途中の9月にも入学が設けられています。2024年の9月入学生は府全体で151人(大阪市26人)が入学されました。ところが、入学を実質的に断ったり、来年の4月まで待つように対応された事例があるように伺っています。夜間中学が4校から3校に減らされたことが遠因ではないでしょうか。
三点目に仕事と学びの両立が難しい状況を克服し学びを継続するうえで、通学時間、通学費用の軽減は学習者にとって大変重要です。私たち自身もそうでしたが、夜間中学生は居住地や、職場に近い夜間中学への通学を学校選択に当たって第一に考えます。2024年の実態は、天満夜間中学は市内17区から87人、府内6市より7人。東生野夜間中学は7区68人、府内0人。心和夜間中学は13区60人、府内1市1人の通学実態です。大阪市内在住の夜間中学生363人のうち府内の夜間中学に148人(40.8%)が通学。その逆は14人。2023年も306人の112人(36.6%)、逆は16人と極端なアンバランスです。近くの夜間中学の横を通り、遠くの夜間中学に通学している実態がないでしょうか。
また生徒数を比較すると、府内では63人増に対し、市内3校では3人減です。夜間中学生を受け入れる限度枠を設定し、入学を実質的に断られていないでしょうか。
四点目に多くの課題の解決に向け連日努力されている各夜間中学現場に申し訳ないのですが、「中学校夜間学級の再編について」で「指導体制を整備」「教育活動の更なる充実」を掲げられていますので敢えて指摘します。
心和中学夜間部では、日本語指導を充実させるため、抽出クラスを設けると記載されていましたが、十分に実施されていません。「空」と「海」のクラスを合併され、当初日本語指導の抽出クラスも入れ6クラス展開を4クラス展開にされ、夜間の専任教員7人を6人にされているようです。2022年の場合、天王寺、文の里を合わせて生徒数63人、6クラス展開で管理職と養護教員を除き11.5人(*)の専任教員を配置されていたことと比べても「統合移転することで、指導体制を整備」と掲げられた意義にも反し、夜間中学の学習環境の後退をもたらしてしまっているのではないでしょうか。
(*)11.5の端数は東生野・文の里両校を兼任する配置が行われていたので+0.5としました。
〔陳情項目〕
とりくみ途上の事柄に対し、誠に僭越な記述になりましたが、十分な予算措置をお願いし、大阪市の学校教育に反映できる夜間中学の「学び」の成果がうみだされますよう、大阪市立夜間中学の一層の充実と発展の支援をお願いいたします。また、夜間中学を必要とする入学希望者が一人も取り残されない大阪市のきめ細かな教育施策の速やかな実現をお願いいたします。 2024年11月21日
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