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夜間中学その日その日 (1069)    萬 稀

  • 1月3日
  • 読了時間: 5分

   髙野雅夫さん追悼の会報告(3)   萬稀  追悼文   2026.01.03


髙野雅夫氏がお亡くなりになったこと、真っ先に伝えるべきであった。メールで連絡が取れたのは、1か月後。訃報はすでに届いていた。追悼の会を行うことを伝えると、参加するとの返事をいただいた。しばらくして、朝鮮語の追悼文が届いた。機械訳文を見てびっくりした。川瀬俊治さんから正式翻訳にはその箇所が、次のように訳されていた。


 「私は文解教育を進める地位と機会の提供を受けました。しかし、世俗的な賛美の誘惑に耐えられる『髙野雅夫の“コヤシの思想”』の魂とDNAを受け継ぎ、『ダメだ!』と拒みました」


 と訳されていた。重ねるように「その人がいるか?」咸錫憲(ハム・ソッコン)の文章が萬稀さんの気概を裏付けている。

 髙野雅夫氏の想いをかくも的確に受け止め、行動されていたことに驚いた。生前、髙野さんは萬稀さんが東アジアの識字文解教育に実践されているのに、自分がとりくめていないことを悔いる発言を何度も口にされていた。私たちはこの追悼文に 『コヤシの思想』の魂とDNAを受け継ぎ と表題をつけさせていただいた。

 追悼の会当日も、連れ合いさんの「映像でたどる 韓国での髙野雅夫」(高サンチョル)。そして 娘さんによる髙野先生を追悼する踊り(高マウミ) と家族ぐるみでご参加いただいた。  (編集部)


 

   『コヤシの思想』の魂とDNAを受け継ぎ               萬稀

「その人がいるか?」   1947年7月20日 咸錫憲(ハム・ソッコン)

 

万里の道を旅立つ日

妻子を託し 心おきなく 旅立てる その人が君にいるか?

 

世界中が自分を捨てて 孤独なときも

「君とは分かり合える。」と信じられる その人が君にいるか?

 

船が沈みゆくとき 互いに浮き袋を譲り合い

「君だけは生きてくれ。」と言ってくれる その人が君にいるか?

 

不義の死刑場で

「みな殺しても、君たちの世界のために彼だけは生かしておいてくれ。」と言ってくれる その人が君に

いるか?

 

忘れられないこの世を置いて去ろうとするとき

「彼ひとりいる。」とにっこり笑って目を閉じる その人が君にいるか?

 

世界中の賛成よりも

「いいや」と黙って首を振る その顔一つで まことしやかな誘惑を振り切らせてくれる

その人が君にいるか?

 

 ああ!(髙野)先生。ごめんなさい。

 一度だけ、いや、もう一度だけ会いたかったのに..本当にすみません。

 

 2002年、韓国の文解教育運動の旗を持ってどこへ行けばいいのか分からず、悩んでいた時、初めて先生に会いました。すべてを準備したように、日本と韓国の様々な文解教育の現場に同行し、私が文解教育の活動家に成長できるようにしてくれました。先生は父親のように思いやりがあり、教師のように厳しく、同志のように信頼できる人でした。

「どんな人になりたいの?」という先生の質問に、娘は「文解教育の活動家になる」と言いました。娘は、先生に励まされてビジョンを持ち、社会福祉士であり生涯教育士となり、過去の先生のように私を守ってくれています。娘が頼れる同志に成長できるようにしてくれて本当にありがとうございます。

 ある年、日本で開催された全国夜間中学校研究大会の後、先生は私に寄付をしてくれました。先生は、夜間中学に入学する人が少なすぎると繰り返し言いました。夜間中学生運動が徐々に衰退し、先生の健康も衰弱している時期だったので、遺産という感じで受け取りました。

 「一人で運動を続けてください」という語られない遺言もあります。

 多くの人の希望を受けて、私は心身をかけて韓国文解教育運動を進めました。

 ついに韓国で文解教育法が制定され、中央政府と地方自治体が本格的に文解教育を施行し始め、非識字者の世界が開かれ始めた。

その後、私は文解教育を進める地位と機会の提供を受けました。しかし、世俗的な賛美の誘惑に耐えられる「髙野雅夫の『コヤシの思想』」の魂とDNAを受け継ぎ、「ダメだ!」と拒みました。私は2012年にカンボジアに渡りました。

 非識字率が70%だったカンボジアで、私たちは農村部の子どもたち、ティーンエイジャー、大人、都市の貧困層とともに識字率の高い世界を作り始めました。

 それから、いつの間にか13年間、疲れていても、「『文字とコトバ』を奪われた10億人の仲間たちとたたかい破れた多くの敗者たちが、敗者としての誇りと尊厳を奪い返し。人類の再生に挑戦するペースメーカーを選択し〈さわやかに野垂れ死に〉する以外にありません。」(257ページ、髙野雅夫著『夜間中学生タカノマサオ 武器になる文字とコトバを』)の言葉のおかげで、再び立ち上がって一歩ずつ歩いています。

 しかし、世の中には、不平等や不公平のなかで、日々暗闇のもとで暮らす非識字者もまだ多くいます。「識字の世界の光のために、先生だけが生きている」と心から祈りましたが、このまま遠く逝ってしまったのは本当に悲しいことです。

しかし、世の中のすべてのものに始まりと終わりがあるように、先生もどこから来て、どこかに去らなければなりません。


 最後の時、白井先生の手を握り返し髙野雅夫先生は「アジアから世界へ10億人の同志に」と「夜間中学校、文解教育、東アジアの連帯」を説きました!

 読み書きができる世界を望んでいた、息を止めるまで!

 私は先生の魂を決して忘れません。

 先生のことを考えるたびに、反省し、実践します。

 近いうちに「世界中に咲く文解世界のニュース」をお届けします。

 懐かしい心の父様! 敬愛しています。

 尊敬する私の先生!ありがとうございます。

私の永遠の同志! ス-スー!

 

※「スースー」はカンボジア語で戦うという意味。

※「コヤシの思想」は、髙野雅夫著『夜間中学生タカノマサオ 武器になる文字とコトバを』の」第10章「復習から未来(ロマン)へ−『タネの思想』から『コヤシの思想』へ」で展開している。

※文中の「257ページ」は、韓国版の夜間中学生タカノマサオ 武器になる文字とコトバを』の頁数。引用文のゴチックは韓国語がゴチックのため。

(訳 咸錫憲「その人がいるか?」松田暢裕さん(李炳注『智異山』翻訳者)、

それ以外は川瀬俊治)


 
 
 

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