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夜間中学その日その日 (1068)     戸田 雅威

  • journalistworld0
  • 1月1日
  • 読了時間: 6分

   髙野雅夫さん追悼の会報告(3)             2026.01.01

 2025年11月29日開催した髙野雅夫さん追悼の集会を多くの方の参加を得て行うことができた。髙野さんは関係者一人一人の持っている力を結集し、次の課題に取り組む機会とその方向を定める機会を私たちに与えられたんではと考えている。私たちは次の課題ととりくむ方向を定めることができた。集会で全国人権教育協議会・代表理事 戸田雅威さんは私たちの決意を髙野さんの遺影を前に語られた。(編集部)

 

  お礼のコトバ

 1998年発行のあなたを記した『タカノマサオとは何か』に、「奈良に夜間中学をつくる会」のメンバーの一人であった落語家・露の新治さんの、あなたから教えてもらったという「三つのいましめ」の一つに、「『長』のつく人には近づかない」がある。私が、あなたと出会ったのは30年前、この間、お世話になりっぱなしの私が、昨年「全国人権教育協議会・代表理事」なる肩書を背負わされた。あなたの言う「長」との違いは分からないが。「代表理事」なる「肩書」を背負った。その私が、こうして閉会の場に立ち、呼びかけ人の一人として、あいさつを述べること、とてもおこがましいかぎりだ。

 でも、あなたに教えを乞うた人間の一人には違いない。つたないあいさつでしかないが。お許しをいただいて、なかまを代表して、あなたに感謝の意を捧げる。

 

 髙野雅夫さん あなたの死は 夜間中学のみならず 日本いや、世界の教育にとって『巨星 墜つ』に他ならない。

 あなたの身体から湧き起こるコトバの一つひとつが、鋭い刃となって、突き刺さってくる。

 「わが母校 荒川九中夜間の世界に誇る=3原則 ①夜間中学は本音を出す場だ!生徒同士は勿論のこと、生徒と教師同士が、本音をぶつけ合って確かめあう道場だ! ②陰口を叩くな!言いたいことがあれば、直接本人に言え!陰口を叩くのは、人間として最低だ! ③夜間中学に来た仲間はたとえ人殺しになっても 仲間なのだ」

「必死に名前と顔をかくして生きてきた俺たちが、夜間中学で奪い返した文字とコトバで、どこまで誇り高く、生きていけるかが、すべてだ!」

「『夜間中学』の主役は、夜間中学生たち一人ひとりだ!その生命線をにぎっているのは、教師たち一人ひとりだ!夜間中学だけでなく、学びの場はすべてそうだ!子どもたちは、親や教師を選べない!教師たちは、子どもたちが、夜間中学生たちが持っている、無限の可能性と本当の力を確信してもらいたい!そして、お父さん、お母さんたちも―特に、世界中のお母さんたちに、声を大にして叫びたい!自分が、生み育てた大切な我が子を、たとえ、世界中の人たちが見捨てても、お母さんだけは、最後の最後まで、その無限の可能性を信じてあげてください―」

 「自分が人間として どこで生まれ、いまどこに生て、これからどこへ生こうとして生るのか?人間としての誇りと権利を奪い返す闘いであり、自らに問い続ける闘いなのだ!これが、夜間中学生の原点であり、生命線だ!」

 「人間にとって、なぜ文字とコトバが、なぜ学校が、必要なのかの原点に立って‼ 国連識字(文解)100年の新たなスタートにしたい―」

 あなたのコトバは。あなたの怒りであり 口惜しさであり 憤りであり 夢ではなかったのか?

 また、あなたのコトバは 人間としての誇りと権利を奪い返す闘いの決意では なかったのか?

 あなたの文字とコトバ、生きさまに教えを乞うた仲間が、あなたの想いを受け継ぎ決意を新たにするために、また、あなたが託したバトンを受け取り、日々実践していくことを誓い合うために、今日、ここ大阪市住吉区民センターに集まった。


 なかまのコトバを伝える。

 「『ここにしか行けない』『この学校でしか学べない』」

 「学ぶことは人権なんや!基本的人権なんや!」

 「勉強は難しいけど、学校で仲間たちと勉強している時間が幸せでした。『私は生きていきます』と叫びたいくらい!天王寺夜間中学を守ることができなくて、あなたには本当に申し訳ありません。でも私たちはあきらめません。見守っていてください」

 「まだ、夜間中学にたどり着いていない人たちのために、自分たちは何ができるか、語りあっている」

 「あなたに強さと優しさ、人としてのあり方を教わった。これからも、微力ですが、なかまと話し合いを重ね、切磋琢磨しながら頑張りたい」

 「あなたのおかげで、学びを奪われたたくさんの人が、夜間中学で学び、喜びを知り、自分に自信をつけていきましたが、私もその一人です。あなたと息子さんと三人で撮った写真を宝物としています」

 「字が読める、字が書けるようになることが、こんなに幸せなこととは知りませんでした。あなたがいらっしゃったので、学ぶことをあきらめていた私たちが、今もこうして学ぶことができています。あなたの思いを受け継ぎ、あとにつづきたいとおもいます」

 「私は、学校は国がつくるものだと思っていましたが、あなたの働きがなければ、天王寺夜間中学ができていなかった」

 「あなたが亡くなるはずがない。」と未だ信じがたい思いにかられている

 「『さわやかに野垂れ死にたい。雑草にこそふさわしい生きざまだった』

 

 あなたは。1966年11月、行政管理庁の「夜間中学は、憲法違反だから早期廃止せよ!」との文部省への勧告に対して、「俺たちを人間として育ててくれた、まさに育てのおやじやおふくろである夜間中学に対する『死刑宣告だ!』と夜間中学を死守することを誓い、闘い、歩み続けらられた。

 また、あなたは2008年発行の『父の遺言、ぼくたちの新書』で、「いま教育は死んでいる」と記し、「教育が死んでいる場所は、子どもたちが死んでいる場所だ。その身体が、心が。現場で起こっているのだ」とも綴っている。

 あなたに問う! あなたを人間として育てたおやじやおふくろである学校や教育が、いつ、どうして、死んだと言うのだ? そして、いつ、だれが、殺したというのだ?

 あなたは、その理由を「教師も生徒も、自分の意志で学校を選んでいないからだ。教師も生徒も、国から送られてくる通知書を手に、そこに記された学校に通う。誰もがそれが当たり前のことだと思っている。本当にそうだろうか。未来を決めるのは子どもたち自身だと教育者は言うが、本当にそうだろうか。未来への出発点である学校を決めるのは子どもたち自身であってはいけないのか?今こそ、常識を問い直し、発想の転換がもとめられている」旨、主張する。

 いみじくも、それから15年目の2023年、「子どもの権利条約」にある子どもの「参加する権利」や「生きる権利」、「育つ権利」、「守られる権利」の四つの原則に基づいた「こども基本法」が施行され「子ども家庭庁」が発足、そして「子ども大綱」が閣議決定され「こども真ん中社会」づくりが進められている。何という「先見の明」か!


 1922年(大正11年)2月5日発行の「水平社創立趣意書『よき日の為に』の一節に「叩かずして開かれる時をまつものは、やがて歩まずして入る時をまつものだ、虫の好い男よ永遠に冷たき門に建て」とあり、行動の必要性と重要性を問うた。人の世に熱と光を求めて、歩み続けたあなたの生きざまに、水平社精神そのものを見る。

 「微力ではあるが、無力ではない」との言葉がある。あなたの言う「夜間中学の主人公の、夜間中学生」が、この六月、高知の研修会で、「夜間中学は、バラ色」とのメッセージを放ってくれた。日本、いや世界の子どもたちが「バラ色」と誇りをもって表すことができる学校や教育の構築をめざしてあゆみ続けますこと、ここに誓い、決意の言葉とします。

 本当にありがとうございました。安らかにお休みください。

               2025年11月29日

                   「髙野雅夫さんをしのぶ集い」呼びかけ人

                               代表  戸田 雅威

 
 
 

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