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夜間中学その日その日 (937)  夜間中学資料情報室

 文部科学大臣 盛山正仁様                  2023.12.24

 大阪市教育委員会は針小棒大に後付けの廃校にする理由を並た。それらはことごとく、夜間中学生に論破されても、世論に目と耳を閉じ、ひたすら廃校を強行しようとする。夜間中学生や関係者は文の里・天王寺夜間中学の存続を追求してさまざまな活動を行なっている。夜間中学資料情報室にも盛山文科大臣に送付した手紙が届けられた。差出人は天王寺夜間中学同窓会役員・大西良子さんだ。

 車椅子で行動する大西さんは一人で出来ることとして夕方、大阪市役所前で帰宅する市役所職員や通行する市民に存続を訴えるビラを配る行動を続けている。(編集部)



 

文部科学大臣 盛山正仁様

 

 初めまして、私は天王寺夜間中学校卒業生で同窓会役員の大西良子です。

  突然のお手紙という非礼をお許しください。

  私は、約3年半前から、「大阪市立天王寺夜間中学校・文の里中学校の統合移転」に反対し、いろいろな活動をしてきました。 これは、私のできる最後のお願いです。

  盛山大臣に聞いていただきたいお願いがあり、手紙をかきました。

  今から3年半前に、大阪市立天王寺夜間中学校と、大阪市立文の里夜間中学校の2校を廃校にするという新聞記事が出ました。それを知って、私は驚いて呆然となりました。

 夜間中学校は、戦争、貧困、障がい、差別など、さまざまな厳しい現実や矛盾の中で、学齢期に学ぶ権利を保障されなかった人たちが学ぶ学校です。私も障がいのため義務教育を受けることができませんでした。自分なりに勉強して文字や簡単な計算などはできていました。でも大人になり社会へ出るようになり思いました。この程度の知識なんか役に立たないと言うことです。

 学びたい、学校へ行きたいと、ずっと思っていたときに、52歳で天王寺夜間中学校に出会い、勉強ができるようになりました。それから21年が経ち、73歳の今も学ぶことの喜びや楽しい思いは、はっきり覚えています。私の人生を変えてくれました。

  2016年12月には、国会で「教育機会確保法」がつくられ、毎年、全国各地に、新たな夜間中学校が開校されています。現状では「なくてはならない学校」として全国には、44校あります。それに、国や文部科学省もその意義や必要性を認め、夜間中学校を設置することを推進しています。

 国会議員の先生方の中にも、廃校問題に危機感を持っておられる方は多いと聞いています。先日には夜間中学等義務教育拡充議員連盟総会において、「大阪市立夜間中学の統廃合方針撤廃に向けた提言」を出し、天王寺、文の里夜間中学存続を求める決議が採択されました。

 それなのに、大阪市から、2つの夜間中学をなくし、2024年に「不登校特例校」をつくり、そこに夜間学級を併設することになりました。

  夜間中学が増えるのはとてもうれしいことですが、54年間も守ってきた天王寺夜間中学校をなくすことは、大きな問題があります。その一つが交通の便です。大きなターミナルにある天王寺夜間中学がなくなってしまうことは、これから夜間中学で学びたいという人たちの学ぶ場を奪ってしまうことになります。私は、障がいがあるということで、義務教育から排除されてきた一人です。車いすで通学するには、いろいろな不自由があります。そのなかでも一番の不自由は通学方法です。天王寺の駅は広いし、明るいし、エレベーターも複数台あるし、駅員さんもたくさん居られます。しかも、バスやJR、メトロ、私鉄など、いろいろな乗り入れもあります。

 私が車いすで何とか9年間休まずに通うことができたのは、天王寺だったからです。雨の日も暑い夏も、寒い冬も通いました。私の家からはバスで一本で通えました。しかし、バスは夜になると、本数が少なくなり困るときもあります。そんなとき、地下鉄や近鉄電車があったので9年間通い続けられました。

 現役時代も今も、障がい者の手足になってくれる介護の方は、実は教育の場所に入ることができないのです。だから、ずっと一人で通って勉強しました。私には介護が必要なので、学校では先生方が助けてくださっていました。通学の時は大変でしたが、たくさんの駅員さんや町の人々に助けていただきました。

  天王寺夜間中学には、たくさんの車いすの人が通っていました。私が知っている人だけでも10人近くいます。視覚障がいの生徒さんもいました。その人たちみんな、駅から近く、あまり障害物がない天王寺夜間中学だったから通うことできたのだと思います。

 浪速区にできる心和中学校には、私たち障がい者や高齢者はとても通えません。駅は狭い、暗い、駅員さんも少ない、エレベーターも少ない。駅から学校までは、暗く、あまり信号もなく、高速道路に入る多くのトラックが走ります。

 これが、今度できる心和中学です。一度、教育委員会の先生方や心和中学に関わってる方、車いすで行ってみてください。

 少し同級生のことを書きます。年は違っても同級生です。10代で家のため兄弟のために働き、勉強できずに大人になった人がいました。字を書くことができず、役所や銀行でわざと手に包帯を巻き書いてもらったという人もいました。

 戦争で韓国から来られ、あまり学校に行けず勉強もできず、それでもがんばって仕事をしましたが、得意先に集金に行ったとき領収証に書いた文字で「こんな汚い字で金が払えるか」と言われ辛い思いをした人。私たちと同じ思いをしている人はまだたくさんいます。

 学ぶことは人間として生きるために必要なのです。夜間中学校は守られるべきだと、再認識しています。

 廃校問題を前に、今、悲しみだけでいっぱいです。一番悲しい気持ちで廃校の知らせを聞かれたのは、髙野雅夫さんだと思います。

 54年前に、一人で運動をして、学びを奪われた私たちを救うために、天王寺夜間中学校をつくりました。そして、文の里夜間ができたのです。今、こうして、この手紙を書けるようになったのも、天王寺夜間中学と出会ったおかげです。そんな天王寺夜間がなくなるなんて考えられません。

 在校生のみなさんも、苦難の人生を歩みながら日々厳しい就労状況や生活のなかで、やっとの思いで通学しています。天王寺夜間だから仕事終えて、家のことをして学校で勉強できているのです。今、現役で学んでいる生徒だけでなく、これから学びたいと思っている方たちのために天王寺夜間中学校、文の里夜間中学校、全国にある夜間中学校をなくさないでください。

 

 今、夜間中学では、不登校のまま卒業してしまった人や、働きながら高校や大学に行きたいと思っている外国人労働者の人たちの受け皿にもなっています。

 今でも、小・中学校にも行けず、学びたいと願っている方がまだ全国に898748人、大阪市には、わかっているだけで、13633人もおられます。

 大阪では、不登校生もどんどん増えています。そういう人たちの受け皿は、夜間中学しかありません。

 年齢関係なく学べる夜間中学校があるという情報を周知させる工夫をしてください。そして夜間中学校をなくさないように盛山大臣から教育委員会や大阪横山市長に働きかけてください。

 

 これから5ヶ月、どんな形でも、私たちの訴えを、教育委員会をはじめ、教育に関わっている様々な方に分かってもうらえる活動をして行きたいと思っています。

 盛山正仁様、一度お会いして、私たちが、なぜ統合移転に反対しているのか、何を願っているのか、聞いて頂けませんでしょうか。ぜひお時間を作ってください。よろしくお願い申し上げます。お返事、頂ければ嬉しく思います。

                  天王寺夜間中学同窓会 役員 大西良子

    

 

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