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夜間中学その日その日 (818)   髙野雅夫

再び「死刑宣告」に怒り       2022.04.18

 


「大阪市・天王寺と文の里夜間中学を24年度統・廃合‼」の新聞記事を見た時、またか‼くそ‼、56年前の怒りにふるえる。

 1966年11月、行政管理庁が「夜間中学は学校教育法違反だから早期廃止せよ‼」と文部省に勧告した。おやじや、おふくろが殺される‼「死刑宣告だ‼」

 旧満州引揚げの戦争孤児で敗戦後の闇市を野良犬のように飢えをしのいできたオレ達を、〝人間として育ててくれた〟夜間中学は、真に育ての親である。

「殺(やら)られてたまるか‼」

「生命(いのち)を賭けてもおやじやおふくろを護る」心に誓い―故恩師塚原雄太先生に相談―

 1967年1月、証言映画「夜間中学生」を生徒・教師・卒業生一丸となって自主制作―怒り、哀しみ、歓びを叩きつけた本根の45分―

 1967年9月5日、背負子に寝袋、フィルムと文集『ぼくら夜間中学生』を担いで、「夜間中学廃止反対の全國行脚に挑戦―青森・北海道・岡山・京都・名古屋―その間、名古屋、京都等で次々廃止され、全國25校から19校になる。このままでは全滅だ。

「大阪市内に夜間中学を開設せよ‼」

 1968年10月、故郷・釜ヶ崎のドヤを根城に、最後の決戦に挑む―殺(や)られてたまるか‼

「大阪は、同和教育や民族教育・人権教育などちゃんとやっているから、そんな人は一人もいません」大阪府・市の教育委員会はじめ、どの団体からも冷たく追い返され―「夜間中学をつくるのは差別の再生産だ‼」といきなり怒鳴りつけられた事もあった。「何が差別の再生産だ」口惜し泪を噛みしめ―大阪市の人口が300万と知り、300万枚ビラをまき続けたら必ず仲間たちが名乗り出てくるのを確信して、天王寺、心斎橋、梅田の歩道橋などで毎日毎日まき続け―ついに8人の仲間が、生き証人が名乗り出てくれました。

 1969年3月、大阪府本会議で故井口正俊議員(社会)が、生き証人小林あきら(16)の作文(さけび)を一言一言、噛みしめる様に読みあげ、大阪での「夜間中学」をついに勝ちとる。


『わたしわ いま夜間中学にかよっております 16才の 男です ちいさいときに びょうきになりました かっこにわ いっておりません このあいだ たかのさんが テレビにうつりまして 夜間中学のことがでていましたので おかあさんに でんわできいてもだいました そのとき たかのさんが さそく きてくでました ので いまわ こうべの夜間中学にかよっております たのしく べんきょうしております だかだ 大阪市に夜間中学をつくて下さいおねがいします 小林あきら』(原文)


 やったぞ‼本当の勝負はこれからだ‼傍聴席で仲間たちに誓う。その直後―大阪市教育委員会の一大汚職発覚―指導部長への贈収賄で、現役の校長・教頭など14、5人逮捕‼関係ない教育長投身自殺‼

国会議員をはじめ、盛大な葬儀の阿倍野斎場にゼッケン‼を付けたまま、お焼香に行く…「夜間中学を忘れないで‼」と心に念じながら…

 夜間中学開設など吹っ飛ぶような状況の中、1969年6月5日,日本で初めて生き証人(夜間中学生)による、第一回大阪市天王寺夜間中学入学式―緊張した顔―輝く瞳―89名の仲間たちが続々と名乗り出てくれました。

 玄関で迎えながら、ざまみやがれ‼、そんな人は一人もいません―と言った大阪に、「こんな、こんなに大勢の仲間たちがいたではないか」この夜間中学が5年―いや10年早く出来ていれば、この89名の仲間たちは、もっと豊かな青春を―人生を送れたはずだ‼」それを想うと、今でも口惜しくて眠れなくなる。

 あの一大汚職で大混乱の中、わずか2ヶ月遅れで「天王寺夜間中学」を開設し、2校目の「菅南中学」を確約した当時の関係者の努力と実行力には、今でも心から感謝したい。



 それに比べて、今の大阪府・市は、日本で唯一の大阪人権博物館(リバティー大阪)をつぶし、今また、小林あきら、神部博之、八木秀夫など89名の生き証人たちが開設した、世界に誇る天王寺夜間中学と文の里夜間中学の統廃合は絶対に許されない。

 更に、彫刻家の金城実氏が天王寺と文の里の夜間中学生たちと魂を込めた「夜間中学生の像」の生・死は―砂漠にさらされた「夜間中学生」の像、正門玄関にあった「オモニの像」をいつ、誰が、裏門の階段の奥に閉じ込めたのだ⁈

 夜間中学をつぶし、識字学級を―民族教育をつぶし、―大阪(関西)万博へ―カジノへと突っ走るのか⁈

歴史に学べ―歴史に学ばないものは「個も類」も必ず自滅する。

 水平社宣言100年―今こそ「吾々が『夜間中学生』であることを誇りうる時が来たのだ」

「夜間中学」の主役は夜間中学生たち一人ひとりだ。 

その生命線を握っているのは夜間中学の教師たち一人ひとりなのだ。

「義務(けんり)教育」の完全な保障を‼

アジアへ―世界へ

世界には、10億人の仲間たちが

文字とコトバを―学ぶ場を―奪われている

その80%は、アジアの仲間たちだ‼

更にその80%が子どもと女性たちだ‼

学ぶ権利と、生きる権利が

すべてに優先する



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