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『奇皇后』を観た Journalist World ジャーナリスト・ワールド

北口学
2017年9月22日
読了時間: 4分

『奇皇后』５０数話を一気に鑑賞。高麗が元に圧迫されている時代の物語という話を聞いて非常に関心を抱いたから。反権力・反権威・反差別の韓国や台湾の高評価の作品も映画には多いし。　融和主義と女性差別に満ちた作品が日韓やアジアを中心に大人気、ムック本まで発売とは実に嘆かわしい有様だなぁとひねくれ者の私は正論を吐きます。儒教思想の根深さ、愛のために命を捨てる美学への礼賛、幻想の恋愛観を撒き散らす本作品が大人気というのは実に嘆かわしい。腐ったプチブル宝塚歌劇大人気と相似ですね。　TVドラマというもので人々は洗脳されてゆく。TVで撒き散らされる非現実的な恋愛など、TVという虚構の中で粉飾された世界という事にバブル期に流行したいわゆるトレンディ・ドラマで我々は思い知ったのではなかったのか？いや、誰も気づいてはいないのか？大抵がどんぐりの背比べなのに、不正や格差、弱者に目をつぶり侮蔑すらし、経済的成功を至上とする下らない資本の論理に毒され、「東京へ行けばドラマのような恋愛や瀟洒なマンション暮らしが私にも」と人口一極集中、競争原理も疑わない、しかし、誰もが実力を備えているわけなどない。現実は良くて狭いいワンルームマンション、私の場合は崩れそうな木造風呂無しアパート暮らし、読書と反戦・平和・反差別の市民運動に明け暮れたバブル期だった。　『奇皇后』が描く「真実の愛」は私の専門ジャンルではないから言及はしない。しかし元帝国の宮中内部における権力闘争の壮絶さはなかなかのものだ。既存のある程度の規模のNGOや各種市民運動、ま、企業でもそうかもしれないけれど、かくの如き壮絶な権力闘争を行う迫力や闘いはあるのだろうか？全く無いとは思っていないが、大半は自己利益？現在の自己の立場を守るため、少し安定するため、あわよくば出世？その程度で組織のワクの中で生きている動きばかりが目について仕方がない。「組織内に残る事、そのワクの中で頑張る」という立場や個性も理解できる。その選択もよし。しかし、肩書きばかりを追い執着する事にのみ力点が置かれている場合は哀れ。また、肩書き（教授であるとか非常勤講師であるとか。以前は「大学教員」で統一しようとしていた素晴らしい思想と表現、動きの時代がかつてはあった）だけで人間を評価するヤカラはそれ以下の存在。人を利用し論文を書いて謝意も表さない高慢な人間も２度と相手しないし、感謝の言葉、「論文の抜き刷り送りますね」と調子のいい事を言っていて一切届かない１０名近い学者には２度と協力する気持ちはない。一方、是が非でも応援しなければと思う若手の研究者たちには、私は努力も惜しんでいない。私のような一匹狼のルンペン・プロレタリアートからはそう考える。右の組織であろうとも左の組織であろうとも。

　５０時間以上不眠で鑑賞するのは平気なひどい睡眠障害は若い頃から。寝坊、遅刻は10歳の頃から。時間にルーズ、遅刻するだらしないヤツと思われることには慣れている。強度の障害なのだから仕方がない。おかげで膨大な読書量・映画鑑賞量・膨大な年月と時間のネット・サーフィンと情報量をGetしてきたのだから。私を理解しにくいと思う人は多々だろう。そんなに簡単に理解できるような、そこらへんに転がっているタマではないんだ、私はと思っている。時代の最先端と未知なる世界を切り開く革新的な私の立ち位置は、当然、無理解と孤独、それは当たり前。　『奇皇后』鑑賞で得たものは唯一、地位も権力も肩書きも無い人間が、どのような逆境、弾圧、苦境の中でも決して諦めずチャレンジし続ける不屈の闘志の重要性のみ。そして費やした５０数時間は決して無駄ではなく、非常に楽しめた。莫大な資金を投下し、豪華美形役者陣、面白いエピソードの連続で飽きさせない作品。その中には多くのプロパガンダや洗脳の毒も満ちている。現代の施政者、政権、権力者、圧制者、搾取者たちにとって好都合な。韓国作品だが日韓両国のTVドラマ、象徴的なものに『NHK大河ドラマ』。民衆を描かず権力者を美化し、儒教的道徳観や忠君愛国を洗脳する代表。他、数多すぎて列挙する事叶わず。