夜間中学その日その日 (610)
- 『生きる 闘う 学ぶ』編集委員会
- 2019年4月18日
- 読了時間: 3分
関西夜間中学運動50年を前に、2015年3月、私たちは本格的に議論を始めた。この4年間、夜間中学をめぐる情勢は激しく変化した。50年間のあゆみの議論と同時に、この変化の分析の議論にも多くの時間が必要であった。それらの議論は、「はじめに」「夜間中学の『生命線』(あゆみの最終節)」「明日の夜間中学に」で扱っている。見解を異にする方も多くいらっしゃると想像するが、ここでは、「明日の夜間中学に」を6回に分け紹介し、みなさまのご意見をお寄せ願いたい。
きょうは2番目の記事である。
明日の夜間中学に(2)
② 増え続ける新渡日外国人
最も新しい統計で現在の夜間中学生の国籍別在籍実態(*横浜を除く全国30校)(2017年9月現在) 日本 313人(17.1%)・在日朝鮮人 63人(3.5%)・引揚げ(主に中国) 181人(9.9%)・難民 3人(0.2%)・移民 1人(0.5%)・外国人 1265人(69.3%)合計1826人。日本 313人の内、69人は日本国籍を取得している人たちである。
時代と共にこの割合は変化をしている。70年代に入ると、在日朝鮮人の割合が、そして70年代の後半から80年代に入ると中国からの引揚げ者の割合が多くなる。80年代後半から90年代は不登校で一五歳を超えた人たちの割合が多くなった。ここで外国人と書いたひとたちは新渡日の外国人である。夜間中学で学ぶ人たちの70%は新渡日の外国人だ。この割合は増え続けている。
「新渡日の外国人」というのは旧植民地出身者である朝鮮人や中国から引揚げの残留日本人の後続世代など、旧来の在日外国人にたいする言葉である。80年代後半以降、東南アジアや南米から渡日者が増加し、現在230万人を超えている。
なぜそうなってきたか、要因は色々ある。発展途上国から先進工業国へ、国境をこえた労働者の移動という国際的な現象の一環と考えられる。また急速に進行する日本の少子高齢化(*注)と労働者不足を外国人労働者で補うという経済界の要請が考えられる。

出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」
経 団連は2004年4月「外国人受け入れ問題に関する提言」を発表した。「戦後の日本は、労働力の同質性、均質性を力に経済大国となったが、少子化・高齢化の進展に直面し、専ら労働力の〝マス〟の力に頼って経済を発展させることはもはや困難になっている」として「外国人受け入れ関連の施策を一元化するために『外国人庁』(仮称)、あるいは『多文化共生庁』(仮称)の創設に向けた検討」を求めることを提言している。
これを受け、政府は外国人労働者を「研修・技能実習制度」に組み込み、外国人の「単純労働者」を低賃金で供給する道を開いた。つまり「国策」として少子高齢化による労働力人口の減少を補うため、新渡日外国人を充てる方針を打ち出した。
いま、在留外国人は256万人(2017.12.01)。内訳は、中国 (73万人)、韓国 (45万人)、ベトナム (26万人)、フィリピン(26万人)ブラジル 19万人と続いている。
この動向は夜間中学の在籍実態にも反映している。新渡日外国人の占める割合が70%。さらに増えていくと考えられる。
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