top of page
検索

夜間中学その日その日 (657)

  • 白井 善吾
  • 2019年12月24日
  • 読了時間: 4分

夜間中学の学習環境と学習条件

 産経新聞は「夜間中学はいま」の夜間中学特集記事を連載中だ。紙面の半分を使い、ルビ入りの記事だ。新聞に掲載した写真でパネルを作成し、パネル展も企画、大阪府立中央図書館(東大阪市)や第65回全夜中研大会会場ロビーで写真展示があった。冊子『夜間中学はいま』を作成し、夜間中学の広報にご尽力いただいている。連載も反響編、アルバム編、も加え、22回を超える。登場する夜間中学生も体全体で学ぶ喜び、学ぶことの意義を主張している。学びを必要とする人たちに夜間中学が在ること、夜間中学で学べること、夜間中学を開設させることなど大きなうねりとして拡げていかなければならない。

 産経新聞2019年12月14日の記事に「入学要件緩和、学校の賛否拮抗 全33校アンケート」の見出しで新聞報道があった。産経新聞が33校すべての夜間中学を対象にアンケートを実施、その結果の報道だ。回答のあったのは27校。

 入学要件の緩和が必要か?の質問いたいし、

必要だ 9校、 そうは思はない 11校、 どちらでもない 1校、

教員間で意見が分かれる 1校。 回答なし5校。

 「必要だと思わない」その理由として「現状で十分」「緩和に伴って生徒が増えると教職員数、教室数では対応できない」「通学を考えると、あまり遠方からの生徒は受け入れにくい」と報道している。

 記事を読んで、教職員集団で議論された結果の回答なんだろうかということが気になった。次に、頭をよぎったのは、第18回全夜中研大会(1971.11.26~27)のことだ。

 夜間中学生は形式中学卒業者の夜間中学入学を認めるよう、17回大会に引き続いて、18回大会で出席していた文部省の担当者に回答を求める長いやり取りを行った。教員が「中学を卒業していないことにして、あなたは入学できているのに…」と個人の問題にしようとする姑息な手法に対し、正式に入学できる納得できる、確かな回答を求めて夜間中学生は議論を挑んだ。

そして「昨年の段階では形式中学卒業者は(夜間中学に)受け入れられないと公式的な発言をしていましたが、(今年は)学習したい人には学習の機会を与えるべきではないか」と入学を認める回答を文部省担当者から得た。あわせて大阪府教委、大阪市教委担当者からも、入学を認める確認を得た。しかし、そのとき会場の夜間中学教員から出てきたのは、教育条件の貧弱さから、大変になる、とても対応できないという、否定的な発言であった。

 夜間中学現場の実態はきれいごとではいうことができない大変な実態である。就学歴一つとってみても大変だ。未就学の人から小学校は卒業したが中学校の卒業証書のない人、日本語が話すことができない人から、話せる人まで、その人たちを一つのクラスで授業を組み立てる。このこと一つとってみても不可能なことを手探りでやり続けているのが夜間中学の現場である。そのうえ、現場の実態も知らない、教育委員会担当者は「中学校ですから、中学校の教科書を使ってやってください」と言ってのける人も珍しくなかった。

 夜間中学生の実態が一番よく分かっている現場の教員が行政と後になって板挟みにならないように、大会に出席した夜間中学生は文部省、府教委、市教委、現場管理職と順番に形式中学卒業者の夜間中学入学を認める確認を取っていった。完璧な迫り方であった。私は18回全夜中研大会のやり取りは、『자립(チャリップ:自立)』(修羅書房)に収録された大会記録で知った。

 新聞記事にある、「緩和に伴って生徒が増えると教職員数、教室数では対応できない」と夜間中学の学習環境と学習条件の貧しさを理由に入学の可否を決めてはいけないと考える。実践を背景に、そのためには教員増が必要だということを夜間中学生とともに教育行政に粘り強く働きかけ続ける。このことが原則だと考える。

 容易でないことはわかっているが、この原則を外し、しわ寄せを、夜間中学生の学びを制限することでやってはいけない。18回大会の教訓を今に生かし、夜間中学生徒会とともに夜間中学の学習環境と学習条件の改善をめざしてとりくみを進めるべきではないだろうか。その解決の方法を夜間中学の学びの創造で展開をはかる。「学びは運動、運動は学び」の実践ではないか。

 
 
 
Featued Posts 
Recent Posts 
Find Me On
  • Facebook Long Shadow
  • Twitter Long Shadow
  • YouTube Long Shadow
  • Instagram Long Shadow
Other Favotite PR Blogs
Serach By Tags

© 2023 by Make Some Noise. Proudly created with Wix.com

  • Facebook Clean Grey
  • Instagram Clean Grey
  • Twitter Clean Grey
  • YouTube Clean Grey
bottom of page