夜間中学その日その日 (712)
- 夜間中学資料情報室 白井善吾
- 2020年9月30日
- 読了時間: 3分
2021年度夜間中学関係予算の概算要求
来年度(2021年度)の概算要求が9/29発表された。例年から一ヶ月遅れだ。夜間中学関連予算の概算要求を文科省のホームページで見ることができる。
2021年度概算要求額は8000万円。2020年度予算額8000万円とほぼ同額だ。


65回全夜中研大会で文科省の担当者が自慢たっぷりに、紹介したが、2020年の概算要求13200万円は、財務省に認めさすことはできず、実際の予算額は8000万円であった。
2020年度と2021年度の概算要求を比較すると
2020年 2021年
夜間中学新設準備・運営補助 9,000万 5,500万
都道府県における協議会等の設置充実 400万 ?
夜間中学についての広報活動 500万 ?
夜間中学における教育活動充実 3,100万 1,000万
日本語指導の教職員向けの研修 200万 ?
合計 13,200万 8,000万
④夜間中学における教育活動充実の細目に「遠方から通学する生徒への支援の在り方」がある。これが「就学援助」に相当するものかと見ているがあまりにも少ない。2020年は100万×31校=3,100万と1校あたりの金額を明示していた。補助率1/3として、何とか「就学援助」相当額になるかとみていたが、財務省に削られ、予算化は出来なかった。
2018年の概算要求では「多様な生徒に対応した教育活動を支援」約3,900万(1カ所あたり約160万円)とし、「多様な生徒を受け入れるために必要な環境整備に係わる経費を夜間中学を設置する市区に補助。〔補助率1/2〕【新規】」と注釈をつけていた。

この記述に対し日本経済新聞が「夜間中学、国が就学援助 全国設置へ自治体後押し」(日本経済新聞 2017.10.01)と報道した。参考に全文引用する。
―文部科学省は、義務教育を終えていない人などが通う夜間中学の生徒向けの就学援助を来年度から始める方針を固めた。設置主体の市区町村を通じて生徒の学用品の購入費用などを補助する。夜間中学は不登校のまま中学を卒業した人や、在日外国人などの需要が増している。同省は支援を手厚くすることで、夜間中学の全都道府県への設置を目指す。
2018年度予算の概算要求に17年度当初予算比で4倍の7900万円を盛り込んだ。
夜間中学は現在、全国に31校(8都府県)ある。設置する市区の8割が、経済的に困難を抱える生徒の学用品購入費や修学旅行などの校外活動費について経済的支援をしている。文科省は来年度から、こうした取り組みに対して費用の半分を補助する。補助総額は約4000万円となる見込み。
夜間中学には全国で約1660人が通う。そのうち8割が外国籍の生徒だ。日本語指導の需要も増しており、文科省は来年度に夜間中学の教員向けに日本語講師による指導法の研修を始める予定だ。
夜間中学を全国に設置するため、複数の自治体が夜間中学開設の準備組織をつくったり、通学希望者の調査をしたりする事業も拡充する。
同省によると、義務教育を終えていない人は全国に12万人以上いる。同省の調査では、宮城や埼玉など5県で夜間中学に通いたいと答えた人が約1350人いたという。―
徳島、高知県立の夜間中学が来春スタートするが、広域から通学する夜間中学生には交通費が重くのしかかってくることが予想される。「就学援助制度」の制度作りは焦眉の問題ではないか。2021年度の概算要求を見て文科省の意気込みは大きく後退している。既に開校している、全国の夜間中学生や関係者の立ち上がりが求められているのではないか。
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