夜間中学その日その日 (1001) 編集委員会
- journalistworld0
- 2024年11月15日
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夜間中学生の参加が学校を変える/登校拒否の子どもたち(3) 2024.11.16
〈「夜間中学その日その日」(999)の続き〉。発表の最後で「今回来て頂いた先生方にも、私のように答えられる生徒を一人でも多く出せる学級、学校を作っていただくように切に願います」との願いを私たちは託されている。(編集部)

私が生まれたのは1972年です。俗にいう第二次ベビーブームの時代に生まれました。私のころは今と違いたくさんの子どもがいました。私は小学校の頃から親から暴力を受けるようになりました。私の左手の傷は皿を投げつけられて、それをかばおうとして出来た傷です。また左手の小さな火傷の痕は、煙草を押し付けられて出来た傷です。同じ傷が足のうちくるぶしにもあります。たたかれたり蹴られたりもしていました。そしていつの頃からかなぜか学校に行くことが辛くなってきました。それでも小学校は卒業できました。
そして中学校に入学しました。私が入学したのは寝屋川市立T中学校という学校でした。まだ出来てから1~2年しか経っていない新しい学校でした。白く綺麗な壁、ピカピカの廊下や階段、新品のような机や椅子たち。本当に生まれたての赤ん坊のような学校でした。しかし、校則も厳しく体罰もある学校でした。クラブ活動の時にちょっと笑っただけで、用具室に呼び出され理由も聞かずに正座させられて、腕は後ろに組まされ腹に思いっきり蹴りを入れられたり、またその状態から平手で何度も力いっぱい頬を叩かれ、唇を切って血をだらだらと流したこともあります。また、朝登校しなかったら、学校から先生が車で家にやってきて無理やり学校に連れて行かれ、車の中で「他の生徒は皆歩いて来てるんだぞ。忙しいこっちの身にもなれ」と言われたこともあります。ですが、その中で私が一番辛かったのは、「どうして学校に来ないのか?」と問い詰められた時でした。私はその問いに対して何も答えませんでした。いや、本当は答えたくても答えられませんでした。なぜ学校に行けないのか自分でもわからなかったのです。結局その先生には「学校に来ないから勉強についていけず、それでまた行くのがいやになるんだろう」と決めつけられました。今思えば、私が中学の時ぐらいから(1985年ぐらい)社会問題として「いじめ」が出はじめた時だったので、それを防ぐために校則も厳しかったのかもしれません。今となってはもうわかりませんが。しかし、私はその学校にとって、問題や事件を起こす生徒以下の存在だったのでしょう。そして、私は学校から見放されて卒業できませんでした。今でも病院などでその学校の前を通るときには、なぜか後ろめたい気持ちになってしまいます。
このあと15年近く引きこもりの生活でした。しかし、自分でも「こんな生活から抜け出したい」と何度も思って、自分なりに色々やってみました。しかし、どれもうまくいかずより深く心を閉ざし、だんだんと何も出来なくなっていく泥沼のような生活になっていきました。
そして2002年9月、守口市立第三中学校夜間学級に出会い入学することになるのです。2003年11月現在をもって、私は1年2カ月ほど通学したことになります。2003年11月8日、守口夜中30周年記念の集いがありました。私もその集いに参加しました。そして記念の集いが終わり、その帰りの電車の中で私は涙をぼろぼろ流し泣いていました。「でてよかった!」「参加できてよかった!」と。その時に私は自分の心の変化に気がつきました。
はじめ夜中に来た時は「もしこれでまた挫折したらもう死ぬしかない」と思って、学校に行く時間になると体はだるいのですが、「学校に行かないと」という強迫観念にも似た思いで通っていました。授業中でもなぜか体が震えていました。しかし、いつの間にかその思いが「学校に行かないと」から「学校に行こう」と思うようになり、今も体はだるいのですが「学校に行きたい」と思う自分がいることに気がついたのです。当然薬の効果が出てきたからかもしれませんが。
私は今うつ病にかかっています。私が何時うつ病になったのか、病院の先生にも聞いたのですが、わからないと言われました。確かに暴力を受けるとうつ病になる人もいるがならない人もいるし、不登校から引きこもりになりそこから本当にうつ病になることもあるらしいのです。私が何時なぜうつ病になったのか、もう今となっては時間が経ち過ぎているためわかりません。そして今いるすべての不登校者引きこもりの人たちと同じという訳ではありません。私の例は一つのケースとお考え下さい。しかし、今いる不登校者や引きこもりの人たちは、昔の私と同じ気持ちを抱いているのではないかと思います。この人たちは口に出しません。出せませんが、心の中で目に見えない、ほかの人たちにわかってもらえない、そして自分自身にもわからない力に苦しみ、悲鳴を上げ助けを求めているのです。それが不登校や引きこもりとなって表れているのだと私は思います。今回来ていただいた先生方に理解していただき、また、そういう人たちを傷つけないようにしてあげてほしいのです。
そしてまた、私はどうしてこのような心境の変化がおきたのか自分でも考えてみました。今回の公開授業から学ぶ喜びや大切さを感じて頂けたと思います。ですが、私はそれ以外にこの夜間中学には、不登校や引きこもりを苦しめる力を癒し治す不思議な力があるのではないかと思います。その力は目に見えず、感じ取れるか普通の人たちにはなかなかわからないかもしれません。しかし、この不思議な力を多くの教員、またいろいろな人たちが手に入れられた時に、今、社会問題になっている不登校や引きこもりの人たちを救うことができるようになるのではないでしょうか。そう思います。この不思議な力を手に入れるのは難しいことだと思いますが、是非ものにして頂き、不登校者や引きこもりの人たちを救うことだけではなく、二度とそういう人たちをつくらないように生徒さんや他の人たちにもその力を与えてあげられるようになってください。お願いします。
最後にもし私が誰かに「昔行った中学校は好きですか?」と聞かれたら私は言葉を濁してしまうでしょう。昔行った学校の先生方も、もしかしたら私のために一生懸命努力してくれていたのかもしれません。ただそのやり方は私には辛かったからです。今同じように「今行っている学校(夜間中学)は好きですか?」と聞かれたら私は堂々と胸を張って「はい、大好きです」と答えるでしょう。
今回来て頂いた先生方にも、私のように答えられる生徒を一人でも多く出せる学級、学校を作っていただくように切に願います。以上をもって私の意見と感想を終わらせたいと思います。どうも長々と有難うございました。
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