top of page

夜間中学その日その日 (1013)   夜間中学資料情報室

  70回全国夜間中学校研究大会  (2)      2025.01.25

 

 2025年、敗戦から80年を迎える、戦後の混乱期に学齢であった人たちは齢、80歳を超える年齢である。20年前であれば、60歳前後で夜間中学に入学できたであろう。先日もその頃学ばれていた夜間中学生がお亡くなりになったとの連絡を受けた。筑豊の出身で、同じ福岡の神本美恵子国会議員の夜間中学訪問のとき、自分は夜間中学に入学できたが、義務教育を完全保障されなかった同級生がたくさんいることを話されていた。話し合いが終わっても神本さんと話は続いていた。山本作兵衛の画集『筑豊炭坑絵巻』を図書室で探し出し、炭鉱労働の様子をクラスで話されていた。就学援助補食給食の存続の生徒会の闘いに先頭で取り組まれていた。



 夜間中学はこの年齢の人たちの願いを受け止め、向き合うことができたのだろうか。20年、いや10年早く夜間中学が開設出来ていたら、本当に悔やまれる。

 その年代の人たちが少なくなる中、夜間中学はいま大きな変化の真っただ中にある。社会の変化を受け止めながら、変わっていかなければいけないこと、変えていってはいけないことがある。全国夜間中学校研究会が発行する研究大会資料集、大会記録誌に統計資料が収録されている。70回大会資料から私たちが読み取った内容を挙げてみよう。

 

①  生徒数の変遷について、学校数53校、生徒数2200名である。学校数が増えると同時に生徒数も増加している。しかし、2015年、国はそれまで認めてこなかった形式中学校卒の人たちの夜間中学再入学ができる通達を出した。2015年の統計は、夜間中学31校、生徒数1825名でその後の変遷を列記すると、


 1825名(2015年)→1806→1739→1538→1496→1286→1213→1163→1090名(2023年)と減少を続け、2024年でやっと増加に転じ1134名となったが、2015年と比較すると691名減少している。その明確な理由を筆者はつかめていない。また2024年形式中学校卒の人たちは603名で全体の27.4%を占めている。

 夜間中学で学べる事、夜間中学があることが学びを求めている人たちや家族、関係者に伝わっているかということがあげられる。夜間中学生への聞き取り調査「入学につながった情報源」(2023.1全夜中研/529名の回答)では「人からの紹介」が333名と最も多く、「自治体の広報や紹介」62名、「ビラ、ポスターを見て」32名、「ホームページなどを見て」29名、「テレビ、ラジオ」25名、「新聞、本」16名の順であった。

「夜間中学の前を毎日通っていたのに、ここに夜間中学があること知りませんでした」と入学した夜間中学生が語っていた。夜間中学があること、そこに行けば学べることが学びを求めている人たちに伝わるには本当、時間がかかる。

夜間中学について教育行政関係者をはじめとして教職員に認識されているかどうかを問うたとしたらどんな結果だろうか。

 

 ②在籍数に占める卒業割合【(卒業者÷2023年度の在籍者)】を見ると


0% 1校、 1~5% 5校、 6~9%8校、 10%台3校、 20%台7校、 

30%台3校、 40%台2校、 50%台4校、60%台1校、 70%台1校

 

の分布状況であった。最後の70%台は19名の在籍者のうち15名が卒業という状態で78.9%にもなる。「昼の中学1年まで通っていたから2年間で卒業をと学校から何度も言われ卒業したが、いま自主夜間中学で勉強している」「納得できるまで学びたかった」と話されていた。どうしてなのか?夜間中学で再び形式卒の人を生みだしていることを懸念する。

 

③教員(管理職+常勤教員+養護)一人当たりの生徒数を算出した。


2人-8校、 3人-10校、 4人-12校、 5人-9校、 6人~7人-各1校、8人-3校、 10人-3校、 11人-2校、 12人-1校、 14人-1校

 

教員一人当たり4.4人が平均になる。6人から14人に分布する12校のうち11校は大阪の夜間中学で、際立っている。

入学するにあたって通学や学習環境、学習条件が整えられていることが重要で、夜間中学が社会にとってどんな役割を果たしているかを具体的に示すことが今学校現場に問われているのではないだろうか。 〈つづく〉

 

 

 

Comments


Featued Posts 
Recent Posts 
Find Me On
  • Facebook Long Shadow
  • Twitter Long Shadow
  • YouTube Long Shadow
  • Instagram Long Shadow
Other Favotite PR Blogs
Serach By Tags

© 2023 by Make Some Noise. Proudly created with Wix.com

  • Facebook Clean Grey
  • Instagram Clean Grey
  • Twitter Clean Grey
  • YouTube Clean Grey
bottom of page