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夜間中学その日その日 (1036)   砦通信編集委員会

  • journalistworld0
  • 9 時間前
  • 読了時間: 4分

 社会が世界が見えるようになること(5)       2025.06.28

空気をよこせ ‼ 文字とコトバを

―文字とコトバを奪われていることは空気を奪われていることだ―

知(識)る―学ぶ―奪い返す

文字とコトバを奪い返すことは自分の民族の歴史を奪い返すことだ‼ 人間の誇りと権利を奪い返すことだ‼ 

武器になる文字とコトバを ‼

 髙野さんがカレンダ-の裏に書いていた掲示物を“髙野の紙芝居”と命名。その掲示物を前に髙野さんに質問、話し合った内容を書いた(5回目)。


 ―私が髙野さんの“空気をよこせ”、この言葉を初めて目にしたのは夜間中学育てる会が発行した『キケ人や』に収録された髙野さんの一文です。教員になって初めて参加した21次日教組全国教研(山梨)で古部さんたち夜間中学生の「きれいごとばっかし並べて、先生たち自身が形式中学卒の私たちをつくりでしていることを知らないのか…」厳しい告発がいつまでも耳に残り、“空気をよこせ”と共に告発を受けたその日が浮かんできます。 


 髙野:その頃、ロウ原紙に鉄筆でやすり板の上でガリを切り、謄写版原紙を印刷をするのです。やっと書き上げた原紙を誤って表裏反対に貼り付け、文字が反対に印刷してしまった。誤りに気がついた時の古部たちの顔は忘れられません。しかし怒りに燃えていた古部、須堯たちは、原紙を張り替え、分科会で配るビラを一枚一枚印刷して、分科会で撒くビラを完成させ、甲府に向かいました。


―問題の本質を短いフレーズで射抜く、「空気をよこせ ‼」「武器になる 文字とコトバを ‼」には驚きました。

髙野:有名人は時間を無制限に持っている。オレたちにはほんの限られた時間しか与えられない。証言映画「夜間中学生」を上映して、終わった時、2~3分で話してくださいと主催者から時間制限がつく。「東京の夜間中学卒業生・髙野雅夫です」自己紹介の時間だけで終わりになる。“どもり”を治すため、深夜の駅のベンチで、短い時間で話をまとめ、考えを伝える練習をしました。

―「空気を奪うな ‼」と言うと、ある人から「“髙野ことば”ではなく、自分らの言葉はないのか!」えらい、怒鳴られました。怒鳴った人も後で「悔しいけれど、私も“髙野ことば”を超える言葉は見つけられていない」と言われました。


―東京・教育会館で開かれた「1990年国際識字年の集い」で舞台に立った髙野さんはその後、関西の夜間中学に来て、天王寺・岸城・長栄・八尾・守口・琴城・春日・畝傍などで夜間中学生と対話集会を持たれました。その動機は?

髙野:俺たちが奪い返した「文字とコトバ」とみんなが学んでいる「文字とコトバ」を確かめてみたかった事が大きな理由でした。一番必然を持ったオモニやハルモニたち、被差別部落の人たち、障がい者の夜間中学生たちが一体何をめざし、何のために文字とコトバを学んでいるのか。どういう方法で学んでいるのかを確かめたかった。文字とコトバを奪い返すことは、ただ単にべらべらお喋りするんではなく、自分が感じたことを自分が云いたいことをちゃんと正確に喋れる。さらに自分がしゃべりたい権利まで、場所までちゃんと奪い返すことです。


―私も、教室で髙野さんと夜間中学生のやりとりを聞きました。髙野さんも、私の行っている授業を座って聞いてもらいました。終わって髙野さんは何も言いませんでした。しかし著書の中で「高度経済成長のささやかなお恵みを受けた夜間中学生たちが“文字とコトバ”を奪われた、“空気”を奪われた怒りを再び奪い取られて、“知識”を詰め込むことが、“勉強”だと信じこみ、詰め込ませることが“教育”だと信じている教師が生まれていた」と指摘があった。

髙野:夜間中学の授業が「知る(識)」そして「学ぶ」止まりなのは納得できません。「奪い返す」までいかないと意味がない。自分の民族の歴史を奪い返すこと、人間の誇りと権利をうばいかえすことにつながり、“武器になる 文字とコトバ”がうみだされて、社会的活動や行動につながっていく。

―夜間中学生も教員も悩みながら、なかなか次の取り組みの方針が見いだせないときも、悔しさをバネに、勢いを共感できる意見や考えが出てくる授業の経験が何度かある。その時の授業は“奪い返す”学びになっていたのではないかだろうか。

―その一つが湾岸戦争の時、小泉首相が「自衛隊のイラク派遣」を打ち出したとき、私たちがそもそも学校に行けなかったのは、家が貧乏だったからではない。戦争で商売がうまくいかなくなった。あの戦争が原因だ。そしていま夜間中学に来ることになった。平和憲法を持った日本が自衛隊をイラクに派遣する。私たちは反対の声をあげないのか。自分の授業だけでなく、他のクラスからも声が上がってきた。「奪い返す」の次元に高まったと考えている。(つづく)

 
 
 

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