夜間中学その日その日 (832) 砦通信編集委員会
- journalistworld0
- 2022年7月11日
- 読了時間: 4分
緊急出版 『天王寺・文の里夜間中学の存続を!
-生きる権利学ぶ権利はすべてに優先する-』 2022.07.11
大阪市は大阪市内の夜間中学は役割を終えたと考えているのだろうか。大阪市教育委員会は天王寺・文の里、2校の夜間中学を廃校にする計画をもっている。その計画を書いたものはないと私たちに話す。その廃校の理由は「夜間中学生の数が減ってきている」、「校舎が旧い、エレベータもない」「昼の生徒数が増え、教室が足らない」とやっと口にする。そして夜間中学の教育条件をよくするために、新たにつくる不登校特例校に夜間中学を併設する。現在2校に配置している12人の教師で(不登校の)学齢の子どもたち70人と60人の夜間中学生を担当してもらう考えだという。それぞれ特有の課題をもっているのに、教員は増やさずに、午後、不登校の子どもに対応し、続けて夜間中学生に対応してもらうということだと担当者は話した。
教育のことを少しでも分かっている人の考えたことではないことが分かる「計画」を教育の役所の担当者が申し訳なさそうに口にする。問題点を指摘すると、担当者は「夜間中学が抱える課題を検討する中での計画の一つ。具体的なことは何も決まっていない。今後会議を重ねて進めていく」と煙幕をはり、話しをぼかしていく。
夜間中学生はアリバイ作りをやって、廃校を既定のものとしてやっていく大阪市の手法を、「教育者」のとる方法ではないと指摘している。
2021年10月、この計画を知った夜間中学生は、文の里・天王寺夜間中学の存続にむけたとりくみに立ち上がった。近畿夜間中学校生徒会連合会のとりくみとして、署名活動、街頭に立って世論に訴えていく、街頭署名活動。ロビー活動も行なった、市議会の各会派の部屋を訪問し、訴えるとりくみ、市議会に陳情書を届けることもやった。全国から届いた廃校反対の43,903筆の署名と団体署名91通を一次手交し、大阪市教育委員会と話合いを行なった。夜間中学のとりくみを支援する団体と共同記者会見も初めての経験だった。
計画したとりくみも、新型感染症の蔓延により、実施できないとりくみも多かった。2022年5月15日、総会を開催、夜間中学の存続にむけたとりくみを更に進めていくことを確認、いま夜間中学生は「わたしにとって『夜間中学とは』」という題で書いた文章を大阪市教育委員会に届ける」とりくみを行っている。
「学びは運動、運動は学び」を実践し、これから夜間中学にたどり着く仲間のためにも、運動につながる夜間中学の学びを追求しながら、全国から寄せられた、多くの支援者に、夜間中学現場からとりくみの中間報告として『天王寺 文の里夜間中学の存続を!-生きる権利学ぶ権利はすべてに優先する-』の出版に関係者の賛同を得て「夜間中学卒業者の会」はとりくんでいる。
夜間中学生は鉛筆を握り、想いを文字にし、クラスで起草した文を読み、推敲し、文章を練り上げ、編んでいった。夜間中学卒業生や市民から届いた手紙も夜間中学の授業で読み、想いを深めていった。「私たちは一人ではない、私たちのうしろには、こんなにたくさんの先輩たちがいくれている」。とりくみの中で生まれ、確認した熱い想いが記された文を本書に収録した。「怒りを行動に、その行動が学びを深める」ことを夜間中学生は実感している。
たった一人で、来る日も来る日も大阪市役所教育委員会の課長横の応接机に座って、夜間中学開設を訴えた髙野雅夫氏の闘いに学び、夜間中学生は署名を携え、市役所を訪れた。夜間中学生は新たな行動を実行に移している。

夜間中学卒業者の会は夜間中学の卒業生、元夜間中学教職員などを中心に、広く市民の参加を得て、夜間中学に関わるさまざまな活動を創造的に推進することをめざし、2019年12月発足、「夜間中学生寄席」「現地学習会」を始め活動やとりくみを行い。機関誌「砦」を発行している。活動の一つとして、非力を省みず、編集を行なった。夜間中学生徒会の行動に参加しながら、記録し、夜間中学生が語った「ハッ」とする言葉も収録することができた。
支援いただいた全国のみなさんに、近畿夜間中学校生徒会連合会からとりくみの中間報告として、本書を編集した。手にしていただければ幸いだ。
『天王寺・文の里夜間中学の存続を!
-生きる権利学ぶ権利はすべてに優先する-』 夜間中学卒業者の会編
解放出版社刊 価格1800円+税 2022/08/05発売
出版記念会 夜間中学卒業者の会第3回総会 第2部として行ないます。
日時 2022年8月3日午後4:30~6:30
会場 東大阪市立文化創造館(近鉄八戸ノ里下車)
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