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夜間中学その日その日 (901)  砦通信編集委員会

  • journalistworld0
  • 2023年7月25日
  • 読了時間: 5分

  「文の里・天王寺夜間中学の存続を」求める闘い 記録(2) 2023.07.25

 

 「議案第55号『大阪市における中学校夜間学級の再編にかかる方向性』につきましてご説明をさせていただきました。 なお、さまざまな理由により十分に教育を受けられなかった方々が再び学ぶ場として中学校夜間学級が果たす役割は重要であると考えており、今回の再編でもニーズ調査を実施するなどをした上で、本市としての中学校夜間学級のあり方については引き続き適切な対応に努めてまいりたいと考えております。本議案につきましてよろしくご審議賜ります ようお願い申しあげます」(第9回大阪市教育委員会会議  2023.06.27)。この3月末まで天王寺夜間中学の校長であった、指導部長は1600字の原稿を読み、説明を終えた。言葉遣いとは反対に、内容は自分たちの提案が学ぶ権利と生きる権利の保障を求める夜間中学生の人権と夜間中学のあゆみを踏みつぶす、横暴きわまりない、説明である。

 大阪における夜間中学開設の運動と天王寺夜間中学の開設は夜間中学の歴史上、画期的な出来事であった。それまでの夜間中学は、昼間、学ぶことのできない子どもたちのために学ぶ場所を設けようと、教員や地方教育行政の“善意”でとりくまれたものであった。1966年11月、行政管理庁は夜間中学は法律違反だとして、早期廃止の勧告をだした。

 この勧告に対し、髙野雅夫さんや母校荒川九中夜間中学の教員や夜間中学生は、夜間中学生の24時間を映像に、夜間中学生の現実の姿をフィルムに収め、こんな現実を知って勧告をだされたのかと訴えたのが証言映画「夜間中学生」である。映画には夜間中学早期廃止勧告『反対』の音声はない。登場する夜間中学生も語っていない。髙野さんは上映運動の全国行脚を実践、夜間中学があることを訴え、靑森・北海道・岡山と取組んだが、夜間中学の廃止には歯止めがかからなかった。京都に移動したとき、はっきりと自覚し、憲法に明記された「生存権・学習権の保障」を掲げ、夜間中学開設運動のギヤ-に入れ替えた。

 1968年10月、大阪に入った髙野さんは「生きる権利と学ぶ権利はすべてに優先すると」夜間中学開設運動に取組んだ。連日、大阪市教育委員会や府の教育委員会事務局を訪れ、話し合いを求め、一方で上映運動と義務教育未修了者の名乗り出を訴えるビラを撒きつづけた。「大阪にはそんな人はいない」と主張する教育委員会事務局担当者に“生き証人”を見つけだし、開校を迫る取組であった。

 ついに8人の生き証人が名乗りをあげ、扉をこじ開け、天王寺夜間中学の開校を決断させた。天王寺夜間中学の開校が実現したことが、今日の夜間中学を巡る動きに大きく影響していることは、万人が認めている。大阪市教育委員会の55年前の先輩たちが行なった決断を蹴散らし、人為的に夜間中学生を減少させ、自然減であるかのように装い、廃校の承認を教育委員に求めたのだ。全国の夜間中学のあゆみに照らして、提案者はどう考えられるのか、伺いたい。教育委員会会議の4人の委員からは、とても賛同する発言ではなく、再考を促す発言であったと傍聴した私たちは考えている。


 議長である教育長は「もう質問がないようですので、意見もございませんので、採決に移りたいと思います。本案につきまして原案どおり承認することにご異議がございましたら挙手をお願いいたします。・・・異議がないようですので、原案どおり承認といたします」と進めた。

 私たちが疑念に思ったのは提案者が提案の最後に言った「今回の再編でもニーズ調査を実施するなどをした上で、本市としての中学校夜間学級のあり方については引き続き適切な対応に努めてまいりたい」の意味不明な件(くだり)だ。後日、事務局担当者にこの発言の意味を糾した。するとかえってきたのは「天王寺夜間中学が閉校になる、2027年度から天王寺夜間中学校舎の建て替えを考えている。ニーズ調査を行ない、その結果によれば建て替え校舎の中に夜間中学が入れるスペースも考えられるという意味だ」と。

 生身の夜間中学生をあっちへ、こっちへと物の扱いをするのではなく、それなら廃校せず、校舎の建て替えすれば良いではないか。




 この日の続く議案56号は「識字・日本語教育基本方針」についてあった。55号と56号の整合性を装う意図を持った発言であることがわかった。(仮称)大阪市識字・日本語教育基本方針素案(案)39頁の内容を精読してはっきりした。なんとこの二つの議案は全く正反対の施策の承認を求めているのだ。

 「2020年度国勢調査において、大阪市における未就学者及び最終卒業学校が小学校の者の人数は、それぞれ3,348人、10,285人で政令市の中で最も多く」「義務教育を修了していない本市住民は13,633人(約0.54%)となっており、本市に於いて実践されてきた識字・日本語学習の成果や蓄積を活かして、成人基礎教育の機会の提供にひき続き取組むことが必要です」さらに「従来からの識字・日本語学習機会に接点がある学習者だけでなく、学習情報にアクセスできていない潜在的な学習者に対するアウトリーチが求められます」と記述している。そして、アウトリーチについて「支援が必要であるにもかかわらず届いていない人、自ら支援を求めるのが難しい人に対し、積極的に働きかけて情報・支援を届けるプロセスのこと」と脚注をつけている。

 なんと55号議案と正反対の姿勢を主張している。基本方針素案は「文の里・天王寺夜間中学の廃止どころか、夜間中学の更なる増設と学びやすい環境作りに努めます」との主張ではないか。最小限の埋め合わせをする「ニーズ調査」発言で誤魔化そうとしているではないか。



 こんな一貫性のない支離滅裂な大阪市の教育施策にたいし、近畿夜間中学校生徒会連合会は全国の夜間中学生、学習者、卒業者、支援者に意見メッセージを、大阪市教育委員会・教育委員に届ける行動を訴えている。


「私たちはあきらめません」

悩んで悩んでやっとの思いでたどりついた大切な学校です。

今も天王寺・文の里の夜間中学校を必要とする人がいます。

天王寺地域に今は絶対になくしてはならない。夜間中学校の実質的な廃校方針に抗議し、廃校の方向性の変更を強く求めます。

 
 
 

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