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夜間中学その日その日 (507) Journalist World ジャーナリスト・ワールド

第36回夜間中学増設運動全国交流集会

これまで関西、関東の中間地、静岡、愛知、長野で開催してきた交流集会は今回、奈良で開催された。参加数、33団体から126名を数えた。公立の夜間中学・春日夜間中学を主会場に行ったのも初めてである。

初めてと言えば、韓国から文解(識字)関係者3名の参加、神戸学院大学のゼミ生7人、前川喜平(文科省前事務次官)をはじめ、文科省担当者の参加、そして北は北海道、南は福岡から参加があった。また岡山自主夜間中学(準備会)等新たな団体の参加もあった。

議論が上滑りになって、消化不良にならないか心配であったが、終わってみるとそれは杞憂であった。会場をお引き受けいただいた、春日夜間中学には本当にお世話になった。

前川さんは冒頭、退官したが、文科省のこれまでの夜間中学開設への対応が「冷たかったこと、代表してお詫びしたい」と切り出した。「教育機会確保法ができたが、理念法であり、運動は続けていくことが重要」「いま、文科省自身が“運動”をやっている」「市民運動と文科省が地方公共団体を挟み撃ちにしていくことが大切だ」。50年前、行政管理庁が勧告をだしたとき、夜間中学は風前の灯であった。そのとき、映画『夜間中学生』つくって髙野雅夫さんの全国行脚の開設運動があったから、今日がある。「いま学び直しの場としてニーズが増えている」。「映像をつくり、学びたい人の掘り起こしが重要だ」と話した。

会場から質問にも丁寧に答えた。学齢を過ぎた人たちにも国として就学援助制度は考えていくことは必要である。都道府県の枠を外し、近くの夜間中学に通えるようにすることは必要だ。在学年数の法律上の定めはない。その上で修業年限について9年。夜の授業時数を考えてさらに3年と自身の考えを述べた。

松戸、川口、札幌から公立化に向けて行政のやりとりと現状の報告があった。行政は進捗状況を自主夜中には明らかにせず、協議会に加えることも消極的である。

奈良からは公立夜間中学が発足しても、自主夜間中学が「つくり育てる会」として、学校や、行政にチェック機能を持ち、学習者の立場にたってとりくみを続けていくことが重要だ。

一方、公立夜間中学の教員の実態について厳しい現実の報告があった。夜間中学生から元気をもらい、職員室に帰ると元気が萎えてしまう職員室の雰囲気である。公立化すると夜間中学の人事は教育委員会が持っている。ある意味、夜間中学を生かすも殺すも、教育行政のさじ加減一つである。開設させる運動と同時に育てていく運動も重要である。

夜間中学をテーマに学習を進めてきた6人の大学生から「私たちが勉強した夜間中学」という題で報告を受けた。夜間中学をどのように受け取り、考えたかを疑問・課題・理解として報告、その上で将来夜間中学で働いてみたいと語った。夜間中学の実践が外部の人たちにはどのように伝わっているのかを知ることができた。

北九州の自主夜間中学から、「教育の戦後補償」の実現を目指して実践を続けてきた。その「つくる会」の役割は達成できたと考えている。公立化を目指す声が上がるのを待っている。新たな運動組織をつくってすすめ、それに協力していきたいと報告があった。

韓国から、平生(生涯)教育振興法ができ夜学運動、文解(識字)教育と夜間中学の課題と重なる部分がたくさんあり、目的や悩んでいる課題について共に考えたいと参加した動機をこのように語った。

韓国の夜学は政府の定める学歴認定機関ではなく夜間に無料で学べる民間の教育機関で民衆自らがつくった民衆の学校である。現在、識字教育、中・高等課程の教育、学校不適応生徒のための「代替教育」、学童教育、結婚して韓国に住むようになった女性の韓国語教室、障碍者夜学など全国に150あまりの教室がある。このように夜間中学と重なる部分がある。

途中から分かれ、学習者同士がどんな意見交流をされたのか、十分に聞く事はできなかった。これまでの運営を変え、新たな方法で試みた36回交流集会であったが、各組織、参加者はどんな感想をお持ちだろうか。自費、自弁で運営するこれを大切にしながら、次回37回に向け、草の根の実践を続けていこう。

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