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差別と植民地主義、琉球・沖縄の今を撃つ『琉球遺骨返還訴訟』は靖国・辺野古に繋がっている。

 12月19日大阪PLP会館で開催された「琉球民族の遺骨返還訴訟支援結成集会」は熱気に満ちた盛会で、大きな意味を持つ記念碑的な集会であったと考えられる。全体を貫くトーンは差別と、今なお継続している植民地主義、そして全世界を覆う新自由主義、新植民地主義を見据え、現政権が差別と植民地支配の苛烈な対応をする琉球辺野古基地建設と、違法な土砂投入という蛮行に連なる国家の冷徹で残虐な体質が延々と継続、維持されていることをあからさまに暴き出した集会だったと言えよう。

 琉球で父君の看病をする松島泰勝龍谷大学教授のインターネット回線を通じての発題とアピールは、戦前から今日まで続く琉球への差別と学問の名の下に行われた蛮行、そして先祖の祭祀を遺骨返還によって行いたいという子孫の切望に対して、京都大学の対応のあまりに非常かつ植民地主義に貫徹されたものであることに怒りと驚きを禁じえない。数度の要請に対してけんもほろろの京都大学の対応には人間性のかけら

も感じられないと言えよう。

 そして、ざまざまな調査や議員の国政調査権などを駆使し明らかになってきた事実と京都大学の不誠実さに、やむなく提訴に至った経過と、遺骨返還の遺族に対する重要性、そして何よりも我々の内部に内包する琉球への、基地問題への無関心さや、行動を起こさないことに、根深く我々の植民地主義が染み込んでいることを改めて浮き彫りにしたと言える。

 その自覚からは「琉球独立」という言葉がはるかに現実味を帯びた響きとして我々の胸に迫って来る。

 とりわけ南太平洋の島嶼国を実見されたことのない人には「琉球独立なんて不可能。日本の一部だろう?」という植民地主義の刷り込みにまみれた感想が浮かんで来るのも仕方がない。

 しかし、琉球よりもはるかに人口も経済規模も資源も持たない、インフラ整備も不十分な独立国は20カ国に迫る。そして琉球はもともと独立国であったのだ。島嶼国は独立国として、そして国連の1票国として堂々たるものである。民族の言語と文化を大切にし、多様な国々のODAや技術支援、入漁料、観光収入などで、胸を張って誇りを持って自分の出身国を明言し誇りを持って国際社会の一員として国際社会に参画している。

 一方、琉球は「琉球、半島お断り」と貸し間を借りる際にも差別を受け、「方言札」なるもので民族の言語を禁じられ、一方的に併合され、皇民化教育、そして本土防衛の捨て石として言語に絶する苦難、辛酸を味わって、少なくない靖国に祀られている軍人が最期を遂げた地でもある。『沖縄のハルモニ』というドキュメンタリー映画でも明らかなように、未解決の慰安婦問題、BC級戦犯、半島からの超要項や戦死された朝鮮人軍人、軍属、徴用労働者の数も多い。それらは全て未解決、戦後処理が放置され継続しているのだ。そして今日の基地の押し付け。戦前、戦後、そして現在進行形の問題が存在する。

 琉球に対する今日もなお生きる植民地主義を浮かび上がらせた『琉球遺骨変換訴訟』の持つ意味と意義はとてつもなく大きい。

 墓を盗掘し遺族に返還もせず、存在を嘘で隠蔽する京都大学の体質に対して、やむえず訴訟という段階に至ったことに、強い共感と支援の思いが大きくなる。

 丹羽雅雄弁護団長からは、本裁判の持つ意味、闘い、靖国問題、キーポイントと重要性について詳細で力強く、説得力のある報告がなされた。心の震える内容であった。

 誰が祖先の、父母や祖父母の墓を無断で暴かれ、遺骨を持ち去る行為に我慢ができるだろうか?

 同様に「旧土人法」が近年まで存在し「土人」として差別され、先祖の墓を学問の名の下に盗掘されてきたアイヌ民族問題に関わってられる出原昌志氏(先住民族アイヌの声実現!実行委員会事務局 アイヌ・ラマット実行委員会共同代表)よりも力強い連帯と共感のアピール、分厚い資料集配布、そして報告がなされた。アイヌ政策の見直し、アイヌ遺骨の補完と盗掘の目的、コタンへの返還を1という思い、門前払いの大学の対応などなどがそこにも。

 また、浄土真宗の僧侶である山口小夜子氏からは靖国問題との強い関連性、京都・関西の支援についてアピールと報告があった。

 北口学氏(天理大学)よりは、1987年に南太平洋の環境難民、日本軍の終戦3週間後に戦犯露見を恐れた医療虐殺を日本軍が行なったBanaba島少数民族の遺骨変換の取り組みの報告があった。日本人である北口氏、banaba民族の島の資源を掘り尽くした英連邦国営リン鉱石採掘会社で勤務していた収奪の側の祖父を持つ豪州人女性、そして当事者の3者が国立オーストラリア大学に遺骨及び遺物変換の取り組みを行った報告があった。快くスムーズに返還が行われたと。

 世界的には植民地時代に収奪した遺骨や文化遺産は返還してゆく空気、流れが、全世界の先住民族の権利回復の闘いの中でごく普通になってきたことが報告された。2008年の国連先住民族作業部会で出された遺骨遺物など返還すべしという決定に先立つ事20年。旧英領のコモンウェルズでは先住民族や植民地時代の収奪した文物は返還が普通という意識となっていることが解る。また、その背景には豪州のアボリジニ、ニュージーランドのマオリの人々、トレス海峡民などの激しく素晴らしい権利回復運動がある。先住民族の権利回復運動の嚆矢となったのがBanaba民族の権利回復保障要求の闘いであった。彼らは英国法廷記録最長の法廷闘争を行い、宗主国は植民地の民への賠償や謝罪、保障を行えと闘いを英国王

立裁判所で開始したのである。これは米国の公民権運動の影響、そして中南米の先住民族の戦いよりはるかに先んじており、世界がまだ先住民族の権利運動や植民地支配の罪に自覚すらしていなかった時代、植民地各国がまだ独立前の果敢な闘いであった。Banaba民族の闘いは旧英国植民地では教科書で紹介されるほど有名で、英国BBC、豪州ABC、そして日本ではNHK-BSで長編ドキュメンタリー番組が制作されている。北口学氏はそれら全てに関与してきた。そして全世界の旧英連邦国では新たにbanaba民族をテーマにドキュメンタリー番組が作成されたり、新たな書籍が刊行されており、旧作テレビドキュメンタリー番組も繰り返し放映されている。そのくらい有名で大切な先住民族の闘いをしてきたのがbanaba民族だと言える。

 世界の潮流と比して呆れるほどに悪質なアイヌ民族や琉球の人々に対する日本の大学の対応、今回の京都大学の前近代性を白日のもとにさらけ出した「琉球遺骨返還訴訟」はあまりにも多くの問題を我々に突きつけている。その意味においても画期的な集会、歴史的な結成集会が大阪で開催されたことは長く歴史に記録されてゆく事であろう。

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