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夜間中学その日その日 (1023)   夜間中学資料情報室

 2024年度「夜間中学等に関する実態調査(文科省)]を見る      2025.03.29


 1/31文部科学省は夜間中学の2024/5/1時点の夜間中学53校の実態調査結果を発表した。事前に報道機関向け発表に基づいて記事が配信され、1/31各紙朝刊には記事が掲載されている。地方の実態を加味して報道されたと考えられる。私たちも新聞報道で発表されたことを知り、文科省HPから内容を入手した。

 2024年5月1日時点で47都道府県教育委員会、20指定都市教育委員会、47夜間中学設置県・市区教育委員会そして53の公立私立夜間中学からの報告内容を集計した結果で文科省のコメントはない。

 

 7県と40市区に公立夜間中学が52校開設されている。

 給食に実施状況は23/47(48.9%)で、無償15(65.2%)、一部本人負担4(17.9%)、全額負担4(17.9%)の実態だ。大阪の場合2010年までは11校すべてで補食給食が実施されていたが、当時の橋下知事が府補助を廃止したことにより、設置市負担で補食給食実施〈5校〉、6校がない状態となっている。昼の子どもたちが無償で完全給食が実施されている状態と比較すると、同じ義務教育にもかかわらずとの想いを強く持つ。職場から、直接夜間中学に登校し、帰宅する夜10時以降の食事をとっている状態だ。健康問題と、給食時間の語らいは夜間中学生活の大きな意味を持つ時間帯であった。



 

 就学援助に類する経済的支援は35/47(74.5%)が実施されている。その条件を見ると「学齢生徒と同じである/学齢生徒とは異なる認定要件を定めている/区内在住者に加え、協定を締結した市町村の在住者も対象としている/学齢児童生徒とは異なる認定基準を定めている」と但し書きがある。夜間中学は広域から通学している。学生割引が適用されているとはいえ、通学費用は夜間中学生の経済状況からしても高額で、入学をあきらめざるを得ない理由の一つである。「同じ市民ならまだしも、他市から通学する人たちにどうして設置市が負担しなければならないのか?」との理由からかつて大阪府は就学援助の1/2負担を行い、他の行政区から通学する夜間中学生も同様の就学援助を実施していた。2010年から大阪府はそれを廃止した。府内の夜間中学校生徒会連合会は夜間中学生の居住市町村に就学援助の予算化をとりくみ、実現した。

 

 入学条件で見ると県立7校のうち3県が「他県在住で、県内で働いている人」を受け入れている。4県が「在勤要件を定めていない」と回答している。他県在住の人が入学を希望した時、どんな判断になるのか?

 市区立45校のうち設置市区外の市町村在住者も受け入れているところは37校。設置市区内の在住者としている8校のうち在勤者の入学を4校が認めている。他の4校は「在勤要件を定めていない」。


 53校の夜間中学に配置されている教職員数871名についてみてみると専任735名(84.4%)、兼任136名(15.6%)。管理職以外の兼任は85名でどんな勤務実態で動かれているのだろう? 管理職、学校栄養職員、事務職員を除いた教員のうち講師が占める割合は308/705(43.68%)。専任教員では262/647(40.49%)。兼任教員では46/58(79.31%)。この割合が昼の学校と比べてどうなのかは調べられていないが、講師の教員は勤務が年度単位で区切られ、続けて勤務できるかどうか確定できないことが多い。

 夜間中学の教員は昼の学校と同じで、昼・夜区別なく移動が実施されている。夜間の教員でも昼に転勤となるし、その逆もある。教育行政が行う教職員人事の「安全弁」を夜間中学の教員配置で行われていないとは信じたいが実態はどうなんだろう。夜間中学の教育課題を学び取り、その経験を、昼・夜の教育実践に生かしていくためには、ある一定の期間腰を据え、とりくむ実践は必要である。

 夜間中学の役割の一つは「先生の道場」「先生の先生は夜間中学生」であるという意味を考えると夜間中学で経験を生かして昼の子どもたちと関係を作り上げていく、そんな組み立てを考えるなら、その見直しを関係者に求めたい。


 「夜間中学は『(昼間の)本来の義務教育』の失敗によって生み出された」との指摘が70回全夜中研大会で講演者からあった。“失敗”の具体を明らかにするためにも、交流人事の持つ積極的意義と「先生の道場」の役割を夜間中学に求め、夜間中学生の力を借りようではないか。

 

 

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