夜間中学その日その日 (1024) 砦通信編集委員会
- journalistworld0
- 1 日前
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伝えていくこと、受け取ることの意味 2025.04.05
筆者は昼の学校と夜間中学の教員という貴重な経験することができた。昼の学校から夜間中学に、そして昼の学校に、もう一度夜間中学に勤務させていただいた。学校現場は少しずつ、社会の変化と共に変わっていく。退職後11年が経過するが、11年前で止まったままの私の思考回路は今の学校現場の周波数に同調できなくなってしまった。しかし、私たちが受け取ったことは伝えておかないと責任を果たしたことにならないと考えている。
夜間中学は昼の学校と比べて圧倒的に数が少ない。昼の学校であれば遭遇するケーススタディーも事例が多く、それらを援用して課題解決方法を見出すことができる。夜間中学の場合その解決方法を探ることは初めて経験することが多かった。そのとき夜間中学間をつなぐ教員や夜間中学生の組織があったことが本当に有難かった。近畿夜間中学校連絡協議会や近畿夜間中学校生徒会連合会の活動が大きなヒントになり、相談でき、お互いに学びあうことができた。
夜間中学での“卒業”について考えてみよう。昼の義務教育であれば学校教育法で修業年限は小学校6年、中学校3年と記述がある。その物差しを夜間中学にそのまま当てることはできない。年齢も国籍も就学経験も様々、昼の中学校の学習内容で授業を組み立てても、その内容が受け止められる学習者もあるがその数は少ない。義務教育制度の欠陥の中から生み出された人たちが夜間中学生の中には少なからず学ばれている。「計算ができるようになりたい」「漢字が辞書をみなくても書けるように」「不登校で学べなかった、もう一度勉強したい」「いきたかった学校で勉強したい」「早く卒業して、次の進路を定めたい」‥ニーズも様々だ。
配置される教職員の人数のこともあり、個別の指導は多くはとれない。複数の教員の入り込みで授業を行う。学年を取っ払って、日本語の理解度でクラス編成をする。育児子育てなどで夜間の通学が困難な人たちのために、明るい昼の時間帯に授業を行う等、学習者の条件に最大限応える体制を各夜間中学とっている。
そのためには、教職員定数を定めた法律だけではなく、教職員の加配を要求するとりくみが必要である。学校側から夜間中学の取り組内容とその成果と課題を明記した加配要求を提出する一方、教職員組合にも要求書を提出し、大阪府担当者と直接話し合う形で加配を実現する方法を追求している。この話し合いは行政担当者や参加者に夜間中学のとりくみを報告し理解を促す一つの学習会の役割を持っていた。夜間中学は義務教育未修了となった人たちが直接発言できる場でもあった。教職員が代弁をする必要もなかった。

夜間中学生は生い立ちを語り、夜間中学が持っている昼の義務教育の場で経験することのできなかった学びの場について、競争や点数を超越した学びが見つけられたこと、自分が不登校にならざるをえなかった過程を自分を客観視して語っている。これは夜間中学が持っている“雰囲気”と昼の学校が持っている違いが解決の方向性を示している。行政担当者に夜間中学を訪問して、自分の眼で見て、自信をもって施策を打つことを語りかけている。
この積み重ねは重要だったと考えている。担当者は次々交代していく。つきつけられている課題が引継がれているとは限らない。また夜間中学の加配要求が一朝一夕に実現するものではない。この積み重ねはこの国の義務教育制度の持つ問題点を明らかにする、夜間中学の役割の一つだったと考えられないか。
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