夜間中学その日その日 (1021) 砦通信編集委員会
2020国勢調査結果の分析 2025.03.15
「以前、国勢調査結果資料の中に、住所(町丁小字)ごと、の統計があると聞いたが夜間中学資料情報室ではわかりますか」との問い合わせをいただいた。確かに、2010国勢調査結果の分析でここに辿りつき、膨大な数字の中に隠された実態を見つけるために分析作業を始めたが、ある問題点を感じて作業を中止してしまった。その問題点はOO市OO町OO丁目ごとに未就学・不詳・卒業学校(中・高・大・大学院等)の人数を明らかにする。そのことから派生する事柄について、私たちの中で十分議論ができていなかった。問い合わせいただいた方は「教育委員会は入学を希望する人はいないと一向に新たな広報に取り組まない。戸別に夜間中学生募集の印刷物を徹底的に配布したい」とのことで私たちも作業を再び始めた。

データーに辿りつく私たちの方法は次の通り。インターネットに接続した環境で「国勢調査 / 2020年国勢調査 / 小地域集計 (基本単位区別,町丁・字別卒業学校など)」で検索をかける。次に出てきた「政府統計の窓口e-stat 」の画面で「一覧表形式で表示」を選択する。次に調べたい県の「在学か否かの別・最終卒業学校の種類別人口(15歳以上)-町丁・字別」を探し出す。画面にあるオレンジ色に着色された「CSV」を選択すると目的の県のエクセルデータが画面に表示される。はじめに、該当する市町村全体のコピーを新たなエクセルファイルに貼り付ける。
次に分析に必要でない列を消去する。私の場合「県名」「市町村」「大字・町名」「字・丁目」「15歳以上人口」「卒業者人口」「小学卒」「中学卒」「卒業校不詳」「未就学者」「在学か否か不詳」の縦列を残し、分析を始めた。
大阪市を例に行った分析結果を区ごとで集計し、まとめ、結果を白地図に落とした。(最終卒業学校が小学校の人数+未就学者の人数の区ごとの合計そして50人を超える大字・町名の数を掲げる。
西淀川区 491名4地域。淀川区 817名5地域。東淀川区 929名13地域。
此花区 349名 3地域。 福島区 195名 0地域。 北区 304名 0地域。
都島区 488名 3地域。 旭区 407名 3地域。 鶴見区 586名 5地域。
城東区 743名 7地域。中央区 182名 0地域。 西区 188名 0地域。
天王寺区 270名 1地域。浪速区 272名 1地域。大正区 459名 5地域
港区 683名 5地域。西成区 964名 5地域。 住之江区 664名 6地域。
住吉区 842名 6地域。東住吉区570名 2地域。平野区 1253名 13地域
阿倍野区347名0地域。生野区 1144名14地域。東成区 486名 4地域。
総計13,633名 105地域となる。
夜間中学生が入学先を決める時、通いやすい距離、通学手段などを念頭に決められるのではないだろうか。まず夜間中学があることとそこで学べるという情報をこの人たちに届けることが重要ではないか。大阪市教育委員会担当者の議会答弁を聞いて驚いたが「これまで全国で最も多い、4校の夜間中学を設置してきた」と答弁していた。にもかかわらず。最終卒業学校が小学校の人数+未就学の人数を合わせた、義務教育を未修了になった人数が全国トップの13,633名を考えた場合、4校を3校に減らす理由にはならないにもかかわらず、「全国で最も多い、4校の夜間中学を設置」してきたと強弁して天王子・文の里夜間中学を廃校にした。
50名以上の集中した地域が105地域になることも驚きだ。大阪市教育委員会は夜間中学生のニーズ調査や各校の入学状況を見て、夜間中学の新開設を検討する旨の答弁をしているが、国勢調査以上のニーズ調査はないんではないだろうか。義務教育を未修了になった人たちの分布状況、バス電車の路線を考慮して、新たに設置する夜間中学の場所がこの白地図に描かれているように私たちには見えるのだが。
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