top of page
検索

夜間中学その日その日 (456)     白井 善吾 Journalist Worldジャーナリスト ワールド

  • 白井 善吾
  • 2016年6月4日
  • 読了時間: 3分

「夜間中学の電話帳」

 夜間中学関係者の間で「夜間中学の電話帳」と呼んでいる書籍がある。『자립(自立)』が書名だ。編著者は「連続射殺魔永山則夫の私設夜間中学」。総ページ数1124、1975年1月(一刷)、1981年1月(2刷)。

 分厚いから電話帳と呼ばれているのではない。夜間中学のことでわからないことがあれば、間違いなくどこかのページに記述されている。どこかのページと書いたが、この電話帳には目次も、索引もない。この本の頁を繰っていると、調べたい個所にたどり着くことができる不思議な本だ。

 5年ほど前の府教委との話し合いで、府教委が作成した夜間中学の募集要項にかつて「府内在住在勤」が記述してあったはずだ。それを確認してほしいと、ある夜間中学生が大阪府教育委員会に話したことがある。半年後の話し合いで、府の担当者は「文書が保管してあるところを何度も調べたが、平成何年かが一番古い募集要項であった。したがって『府内在住者』しか入学できない」と担当者は答えた。

 電話帳の600頁に天王寺夜間中学が開設された1969年当時の生徒募集案内が収録されている。大阪府教委、大阪市教委連名の募集案内である。「大阪府内に居住または勤務する者のうち満15歳を越えて…」と明記している。府教委の担当者にそのことを伝えたのは勿論である。

 私はこの本が出版されたことは新聞報道で知っていた(1975.06.06毎日新聞)。内容を知りたいと思っていたがそれ以上追及することはなかった。1983年ごろ、何かの研究集会の書籍売り場で髙野雅夫さんからこの書籍を購入した。1987年、夜間中学に勤務するようになって、改めて読み直し、夜間中学についての認識を新たにした。重い本であるから持ち運びには不便である。手元に置いて、必要に応じて開くようにしている。

 髙野さんはかつてあった夜間中学すべてにこの本を寄贈しながら東京から沖縄に移動していったことは「愛児を連れて74校をめぐる」(アサヒグラフ1975.07.18)の記事で知った。アサヒグラフには守口夜間中学を訪れた時の写真が掲載されている。寄贈された一刷本は二刷とは異なり箱入りではなく、みんなが利用して、相当貫録が出てきている。私が購入した二刷本は髙野さん手書きの帯が巻いてある。「0.1%の叫び 空気をよこせ 夜間中学運動10年間の記録」「武器になる文字とコトバを 夜間中学生の怒りと祈り」とカレンダーの裏に記した帯が巻いてある。

この本の中に「1銭5厘の赤紙」が収録されている(1002~1003頁)。職員室の話題で赤紙の話になった時、「夜間中学の電話帳」の赤紙を紹介したら、早速、社会科の授業で活用、実物で子どもたちと「1銭5厘の赤紙」の意味を考えることができたと話していた。

この本には全国行脚の様子を当時7円の官製はがき表裏に記し、母校荒川九中の在校生に届けた「わらじ通信」が収録されている。

1969.02.01のわらじ通信は「理想は『府立・夜間中学』」のタイトルが付いている。この日は府庁を訪れ、社会党府会議員団室で話し合いを行っている。

井口正俊府議、神谷大教組中執、髙野さんの3人。「大阪の人口、地理的条件からみても大阪にないのはおかしいし、長欠児も全国平均の約2倍、釜ケ崎、未解放部落、在日朝鮮人、沖縄スラム、さらに中小零細企業を持ち潜在的には可なりいるし、東京を上回ることすら予想される。髙野さんから問題提起されるまで、だれも気がつかなかったことがおかしいぐらいで、行政の怠慢と民主運動の盲点を追求された。設置場所は基本的に環状線のターミナル、天王寺、なんば、京橋、梅田の四カ所、専任教師最低3名、あと講師、完全給食―その意味で府立定時制高校付属中学が有力・・・」と発言を書きとどめている。

この電話帳にはさまざまなヒントが書きしるされている。私は「夜間中学早期廃止勧告」50年を迎えたいま、この電話帳を読み直している。

 
 
 
Featued Posts 
Recent Posts 
Find Me On
  • Facebook Long Shadow
  • Twitter Long Shadow
  • YouTube Long Shadow
  • Instagram Long Shadow
Other Favotite PR Blogs
Serach By Tags

© 2023 by Make Some Noise. Proudly created with Wix.com

  • Facebook Clean Grey
  • Instagram Clean Grey
  • Twitter Clean Grey
  • YouTube Clean Grey
bottom of page