2016年夏の参院選が日本の未来を決める Journalist Worldジャーナリスト ワールド
- 三室勇
- 2016年7月5日
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◯野坂昭如の遺言 今年の12月9日に野坂昭如が亡くなった。TBSラジオの永六輔の番組で脳梗塞で倒れてからずっと、「野坂昭如からの手紙」というコーナーが続いていたが、亡くなる前日の手紙に、1941年12月8日の真珠湾攻撃を振り返って、「昭和16年12月8日を知る人がごくわずかになった今、またヒョイとあの時代に戻ってしまいそうな気がしてならない」という文章で、手紙が締めくくられていたという。 戦前に向かう流れが静かで大きなうねりになりつつある。 12月19日に京都の弁護士会が孫崎享氏を呼んで、講演会を開いた。「秘密保護法と安保法」をテーマにしたものだ。そこで、孫崎氏も「野坂昭如の手紙」に触れていた。一日で戦争をする国に変わってしまうという言葉を引いていた。孫崎氏はこの講演会で、つぎのような話をしている。 秘密保護法と集団的自衛権行使を法制化した安保法とは密接につながっている。これは自衛隊を米戦略に差し出すことで、2005年10月の日米2+2で合意した「日米同盟―未来のための変革と再編」ですでに明確化されたものだ。ただ福田政権のときに棚晒しにしていたものを安倍政権になって強力に推進してきている。自衛隊が米戦略の中で動くときに秘密保護が必須になるわけで、これは一体のものなのだ。 ◯安倍の手に落ちた大手メディア 孫崎講演で指摘されたことにマスコミの凋落がある。「国境なき記者団」の言論の自由の評価によると、日本の報道は世界の61位で、韓国の報道より下位になっている。 秘密保護法が通ったときに、外国特派員協会のバーミンガム会長がこの法案を撤廃するべきだと声明を出している。内閣をこれを内政干渉と断じたため、政権の顔色を見て、大手マスコミの多くは報道しなかった。 また、12月に国連から日本の報道の自由状況を調査に来ることになっていたが、これを日本政府は予算編成で多忙だとして拒否した。日本の言論状況は国際機関にみせられないほどになっていることを政府は認識しているからだろう。 来夏の参院選にむけて、安倍政権はつぎつぎと経済政策、税制の飴玉をだしてくるだろうが、批判力を失ったマスメディアはそれを大きく報じるに違いない。 ◯9条改憲より緊急事態事項が本命 孫崎氏の指摘で重要な点はいくつかあるが、もっとも重要とおもえるのは、憲法改正は9条よりも緊急事態事項の新設だということだ。 参院選で与党3分の2以上を確保して、憲法改正が安倍の悲願だが、その際に9条はさわらずに、災害時などに緊急事態宣言をし、内閣が政令一本で国家統制できる緊急事態事項を憲法に加えようという動きがある。自民党憲法草案にはすでに加えられているが、これが今後の憲法論議で重要になってくる。ヒトラーの手口と同じである。緊急事態宣言で憲法を休眠させることができるからだ。 2016年夏の参院選が戦後最大の決戦となることを肝に銘じたい。