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夜間中学その日その日 (465)  白井善吾

  • journalistworld0
  • 2016年9月20日
  • 読了時間: 4分

 夜間中学を教育法に位置づけるとりくみ(2)

様々な理由で昼、登校できない学齢の子どもたちが学ぶ学校として1947年出発したのが戦後の公立の夜間中学(中学校夜間学級)であった。同時に学齢を過ぎた人たちが学ぶ学校でもあった。

1951年、東京で夜間中学の発足に当たって、文部省は5点の理由を挙げ開設に反対した。① 夜間中学校は学校教育法で認められていない。② 夜間中学校は労働基準法違反に通ずる。③ 夜間中学校を認めることは、生活保護法・学校教育法によって課せられている国・地方公共団体及び保護者の学齢生徒が正当な教育を受ける権利を尊重し、保護すべき義務を怠ることを正当づけることになる。④ 夜間中学校は生徒の健康を蝕む。⑤ 夜間中学校では、中学校の各教科にわたって満足な学習ができない。として、その存在を認めることはしなかった(*①)。

戦後の夜間中学に対し、「これまでの文科省のスタンスは、ハッキリ言って夜間中学を見て見ぬふりでした。やっているのは知っているけれども、あまり関わらないぞ、というスタンス見て見ぬふりをしてきた」(2016.08.21 前川喜平文科省事務次官)文部省、文科省の姿勢であった。

1966年11月、夜間中学早期廃止勧告を受け、学齢者は昼の学校へとし、夜間中学の自然消滅を目論んだ文部省であった。しかし、学齢超過者の学習権を否定することは出来なかった。夜間中学は学齢超過者が学ぶ学校として存在しつづけることとなった。

1980年台に入ると、学齢者の在籍は皆無となり、学齢超過者だけが学ぶ夜間中学となった。昼の学校が不登校になった子どもたちは卒業せず、実質の学びを求めて、学齢が越えてから夜間中学に入学することとなった(もっともこれが実行できるのは、公立の夜間中学が開設されている地域に限定されるのであるが)。

近畿の夜間中学では今の社会や義務教育学校が生みだす不登校は不登校状態になる原因を本人に帰すことはせず、解決の方途は家庭・学校・社会が共に取り組むことから解決の方途が得られると考え、安易に夜間中学が受け入れることはしなかった。昼の学校には行けないんであれば、夜間中学が引き受けるべきではという考えが昼の学校現場のみならず、夜間中学内部にもあり、とりわけ学齢者が夜学ぶ学校として誕生した歴史を持つ東京都の夜間中学の教員とは議論が続いていた。

全国夜間中学校研究大会の研究主題は「夜間中学校の実態から教育の在り方を問いかえし、義務教育未修了者の学ぶ権利を保障しよう」であった。不登校状態の子どもを中心に家庭・学校・教育・福祉行政が共同でとりくみ、その一過程として夜間中学に子どもが通い、夜間中学生と共に学びながら人間関係をつくり、自分自身を見つめる実践を通して、家庭・学校・教育・福祉行政が課題解決を図るとりくみは何度も実践している。それを「夜間中学お願いします」と集団から切り離して実践する手法はとらないと言っているのだ。不登校を経験、学齢を過ぎて夜間中学に入学した夜間中学生の夜間中学での変容は各種研究集会で発表、報告している。本人自身が振り返り、話したり、書いたりできるときは直接話す場の設定も行った。それは守口夜間中学が出版した『不思議な夜間中学』(宇多出版企画)に収録している。

夜間中学とフリースクールをあわせて考えられた「教育機会確保法案」は「学校に通える子どもは正常。通えない子どもに問題があると切り離し、本来変わらないといけない学校は変わらなくてよいとする問題の処し方になっていると考え、問題点を提起しているが首肯できる回答はいただいていないし、私自身はまだ解答も見いだせていない。

夜間中学が主張してきているのは、「夜間中学生の実態から教育の在り方を問いかえし、義務教育未修了者の学ぶ権利を保障する実践ができる夜間中学でありたい」だ。義務教育、日本社会が内在している諸矛盾を夜間中学生の実態から明らかにし、学ぶことの意味を提起し、検証できる場であることが、夜間中学がいま存在する意義だと考える。

夜間中学を教育法に位置づけるその中身が重要だと考える。

*①西村勝己「夜間学級問題についての将来」(『中学校』全日本中学校長会編集)NO.

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