夜間中学その日その日 (466) Journalist Worldジャーナリスト ワールド 白井善吾
- 白井 善吾
- 2016年9月25日
- 読了時間: 8分
第35回夜間中学増設運動全国交流集会
35回を迎えた夜間中学運動全国交流集会は恒例になっている8月最後の土日,愛知県蒲郡市で開催された。全国7団体から10人の参加であった。指導者のみの集会となった。
9月から始まる臨時国会で,継続審議となっている学習機会確保法案の議論が展開されるのを前に、夜間中学の運動体が各組織の活動報告を行い、夜間中学運動の情勢分析ととりくみの方向性を本音で語ろうとして、話し合った。 国は夜間中学がない道県が開設に向けた課題を探る調査費を初めて計上した。 2015度に北海道▽福島▽静岡▽和歌山▽徳島▽福岡▽熊本−−の7道県に計420万円の予算をつけた。続けて2016年度予算は計1650万円に増額、8月10日までに長野▽埼玉▽滋賀▽岡山▽山口▽福岡▽熊本▽岩手▽福島▽宮城−−の10県に調査費がつき、三重▽和歌山▽徳島−−の3県が申請中であるという。 交流集会では北海道教育委員会がまとめた報告書「北海道における公立夜間学級の設置に向けて」(2016.03)の分析を行った。 北海道には札幌、函館、旭川の各遠友塾、釧路に自主夜間中学が活動を行っている。あわせて161人が学んでいる。アンケートに回答があった91人のうち「中学を卒業しましたか」の問いに、卒業している(72人)、しなかった(12%、11人)、わからない(6人)、無回答(2人)。 北海道教育委員会は「インターネット教育モニター」制度で道民の意見を聞く制度を実施している。委嘱している91人のモニターを対象にアンケート調査を行った。68人(74.7%)の回答を分析している。「公立中学校夜間学級について、以前から知っていましたか?」という問いに対し、「知っていた」23人(33.8%)。「知らなかった」45人(66.2%)。報告書では「『知らなかった』と回答のあった数が『知っていた』のほぼ倍となっており、公立中学校夜間学級に対する認知度は低い」と記述している。 教育には関心の高いであろうモニターをして3分の1の夜間中学の認識度であることは社会的にはまだまだ夜間中学は知られていないと考えるべきだし、学びを求めている人たちには夜間中学のあることは届いていないと考えるべきではないだろうか。 道教委は夜間中学をイメージ化するためとして、つぎの募集案内をつくっている。 公立夜間中学で学びませんか? 公立夜間中学(OO中学校夜間学級)は小学校や中学校を卒業できなかったために、進学・就職・資格取得などができず困っていて、日常生活に不便を感じている人たちが学ぶところです。形の上では小学校や中学校を卒業はしたけれど、病気などで満足に通えなかった人たちも、もう一度学ぶことができる学校です。中学校の卒業資格を得ることができます。 ・入学要件 15歳を越えている方 ・授業時間 月曜日~金曜日 午後5時半~午後8時30分 ・修業年限 3年間 ・授業料は無料。教科書も無料。 ・夏休みや冬休み、修学旅行など昼の中学校と同じ行事があります。 ・外国籍の方も学ぶことができます。 ルビをふっている。 集会では2日間の議論を次のようにまとめた。 法制化は自主夜間中学運動にとって「プラス」に作用すると考える。 都道府県に最低1校の夜間中学の開設をとの主張であるが、一般的な話ではなく、すでに自主夜間中学が活動している道県の公立夜間中学設置がその先陣を切ることになる。しかし、それにはいくつかの実現条件がある。 学習対象者として、①実質的に義務教育を保障されなかった人 ②母国の義務教育課程を修了している人 も認められること。(これら①.②については文科省は入学を認める通知を出しているが夜間中学現場ではこのように運営されるだろうか?) そして既設の公立夜間中学の学習条件、環境を低下させるものであってはいけない。年限、教員の数、就学援助、給食などを充足させるため、国、都道府県、設置行政の予算の確保が重要。 そのためには公立・自主とも義務教育を保障されなかった当事者の発掘とその人たちを前面に置いた行政への働きかけが必要不可欠。教育運動、市民運動と結びついた共闘関係の構築が必要。 自主夜間中学運動に理解があり、公立校化した学校に、意識ある教員の配置が重要。 法案では夜間中学の運営、学習条件、学習内容等を自主、公立夜間中学に教育行政も加わり議論し協議機関を設けるとあるが。とりわけ自主夜間中学の参加が認められること。 公立化が実現した後の自主夜間中学の役割について、つづけて、これまでの活動を行う。運営協議会に加わり、公立夜間中学のあり方に意見を表明していく。 行政管理庁が発した「夜間中学早期廃止勧告」(1966.11.29)に敢然と立ち上がり、勧告とは正反対の夜間中学開設運動を展開、義務教育未修了者が、学習権の保障を求めた大阪の夜間中学開設運動の闘いが夜間中学の開設をきり拓いた、この歴史に学び、学習者が主役となる夜間中学開設運動がいま求められている。 「最低1県1校の夜間中学の」運動の舞台を回すのは全国の夜間中学生、卒業生、そして学びを求めている、300万を超えるといわれている、義務教育未修了者なのだ。
国は夜間中学がない道県が開設に向けた課題を探る調査費を初めて計上した。 2015度に北海道▽福島▽静岡▽和歌山▽徳島▽福岡▽熊本−−の7道県に計420万円の予算をつけた。続けて2016年度予算は計1650万円に増額、8月10日までに長野▽埼玉▽滋賀▽岡山▽山口▽福岡▽熊本▽岩手▽福島▽宮城−−の10県に調査費がつき、三重▽和歌山▽徳島−−の3県が申請中であるという。
交流集会では北海道教育委員会がまとめた報告書「北海道における公立夜間学級の設置に向けて」(2016.03)の分析を行った。
北海道には札幌、函館、旭川の各遠友塾、釧路に自主夜間中学が活動を行っている。あわせて161人が学んでいる。アンケートに回答があった91人のうち「中学を卒業しましたか」の問いに、卒業している(72人)、しなかった(12%、11人)、わからない(6人)、無回答(2人)。
北海道教育委員会は「インターネット教育モニター」制度で道民の意見を聞く制度を実施している。委嘱している91人のモニターを対象にアンケート調査を行った。68人(74.7%)の回答を分析している。「公立中学校夜間学級について、以前から知っていましたか?」という問いに対し、「知っていた」23人(33.8%)。「知らなかった」45人(66.2%)。報告書では「『知らなかった』と回答のあった数が『知っていた』のほぼ倍となっており、公立中学校夜間学級に対する認知度は低い」と記述している。
教育には関心の高いであろうモニターをして3分の1の夜間中学の認識度であることは社会的にはまだまだ夜間中学は知られていないと考えるべきだし、学びを求めている人たちには夜間中学のあることは届いていないと考えるべきではないだろうか。
道教委は夜間中学をイメージ化するためとして、つぎの募集案内をつくっている。
公立夜間中学で学びませんか?
公立夜間中学(OO中学校夜間学級)は小学校や中学校を卒業できなかったために、進学・就職・資格取得などができず困っていて、日常生活に不便を感じている人たちが学ぶところです。形の上では小学校や中学校を卒業はしたけれど、病気などで満足に通えなかった人たちも、もう一度学ぶことができる学校です。中学校の卒業資格を得ることができます。
・入学要件 15歳を越えている方
・授業時間 月曜日~金曜日 午後5時半~午後8時30分
・修業年限 3年間
・授業料は無料。教科書も無料。
・夏休みや冬休み、修学旅行など昼の中学校と同じ行事があります。
・外国籍の方も学ぶことができます。
ルビをふっている。
集会では2日間の議論を次のようにまとめた。
法制化は自主夜間中学運動にとって「プラス」に作用すると考える。
都道府県に最低1校の夜間中学の開設をとの主張であるが、一般的な話ではなく、すでに自主夜間中学が活動している道県の公立夜間中学設置がその先陣を切ることになる。しかし、それにはいくつかの実現条件がある。
学習対象者として、①実質的に義務教育を保障されなかった人 ②母国の義務教育課程を修了している人 も認められること。(これら①.②については文科省は入学を認める通知を出しているが夜間中学現場ではこのように運営されるだろうか?)
そして既設の公立夜間中学の学習条件、環境を低下させるものであってはいけない。年限、教員の数、就学援助、給食などを充足させるため、国、都道府県、設置行政の予算の確保が重要。
そのためには公立・自主とも義務教育を保障されなかった当事者の発掘とその人たちを前面に置いた行政への働きかけが必要不可欠。教育運動、市民運動と結びついた共闘関係の構築が必要。
自主夜間中学運動に理解があり、公立校化した学校に、意識ある教員の配置が重要。
法案では夜間中学の運営、学習条件、学習内容等を自主、公立夜間中学に教育行政も加わり議論し協議機関を設けるとあるが。とりわけ自主夜間中学の参加が認められること。
公立化が実現した後の自主夜間中学の役割について、つづけて、これまでの活動を行う。運営協議会に加わり、公立夜間中学のあり方に意見を表明していく。
行政管理庁が発した「夜間中学早期廃止勧告」(1966.11.29)に敢然と立ち上がり、勧告とは正反対の夜間中学開設運動を展開、義務教育未修了者が、学習権の保障を求めた大阪の夜間中学開設運動の闘いが夜間中学の開設をきり拓いた、この歴史に学び、学習者が主役となる夜間中学開設運動がいま求められている。
「最低1県1校の夜間中学の」運動の舞台を回すのは全国の夜間中学生、卒業生、そして学びを求めている、300万を超えるといわれている、義務教育未修了者なのだ。