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夜間中学その日その日 (483)     Journalist World ジャーナリスト・ワールド

  • 白井 善吾
  • 2017年2月19日
  • 読了時間: 3分

文科省『夜間中学の設備・充実に向けて(手引き)』を読んで(1)

文科省は(2017.01.27)『夜間中学の設備・充実に向けて(手引き)』を発表した。①「義務教育の段階における普通教育に相当する 教育の機会の確保等に関する法律」の解説 ②夜間中学の現状 ③夜間中学設置のニーズ ④設置・運営上の工夫等 ⑤夜間中学の事例 ⑥関連資料からなる37頁の手引き書である。夜間中学関係者は早急にこの手引き書を読み、検討を加え、考え方を打ち出すべきだと考える。何回かに分け、気がついたことを書いておく。

文科省は「最低一県に一校の夜間中学開設を」の方針を打ち出し、北海道・岩手・宮城・福島・埼玉・静岡・長野・三重・滋賀・和歌山・徳島・岡山・山口・福岡・熊本が文科省に調査費を申請し、開設に向けた調査研究が取り組まれている。

夜間中学の運営経費はいかほどかかるのか、試算を行った。まず計算根拠を示す。大阪府内11校の平均規模は4学級になる。教員数は平均をとって6.7人とする。教員:教頭(1)、養護(1)、教員(6.7人)以上専任。非常勤講師時間数(20時間)。校長は昼・夜兼務。教頭と養護教員は全額、府負担。校務員は設置市負担。年収は全国平均を採用、568万+夜間手当24万=592万。教頭774万、養護教員592万。非常勤時間240万。校務員568万。就学援助は設置市300万、府200万(現在、府負担分は夜間中学生の居住市が負担している)。補食給食は府と設置市が各150万(現在は府が負担を取りやめたため、補食給食を廃止した学校があるが、従前の負担割合で積算する)。学校運営費(図書、教材、電気、ガス、水道、修繕など)200万。

この前提で計算をすると総額7154万円となる。その負担内訳は国:1334万円(18.7%)。大阪府4602万円(64.3%)。設置市1218万(17.0%)。ほとんどが人件費で6154万円(86%)になる。昼夜合算の学級数で、教頭、養護教員の夜間専任配置できないため、大阪府は府単費で配置を行っていることにより、府の負担割合が大きくなっている。

義務教育費国庫負担法に基づき、教職員給与は国が1/3負担。都道府県が2/3負担することになっている(来年度から政令指定都市は国の負担がなくなり、政令指定都市が全額負担することになる)。

下村文科大臣(当時)が国会答弁で都道府県立の夜間中学も考えられると述べていたが、「手引き」では都道府県立では教職員給与は全額、都道府県が負担する。中高一貫校として都道府県が設置する場合、1/3は国が負担すると書いている。

それにしても、都道府県の負担割合が大きすぎるのではないか。

文科省担当者は講演の中で次のように述べている。

「義務教育未修了者の人権としての学ぶ権利を保障する、この義務は国にあるわけであります。行政がちゃんとその義務を果たさなければならないわけであります」(2016.12.01 前川事務次官)と述べているのだから、国がもっと負担すべきではないだろうか。

都道府県を越えて、職場に近い夜間中学への入学希望者があるが、文科省担当者は入学できないと答えていた。「最低一県一校の夜間中学」をというとき、国は都道府県の枠を超えて学べるようにすべきである。そのためには、国が1/3の負担割合を超えて負担し、都道府県がこの入学希望者を受け入れできるようにすべきである。

閣議(2017.02.07)で「義務教育諸学校等の体制の充実及び運営の改善を図るための公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案」を決定したと報道があった(2017.02.08 毎日)。「都道府県が設置する義務教育諸学校のうち、①不登校児童生徒を対象とするもの、 ②夜間その他特別な時間に授業を行うものの教職員給与に要する経費を国庫負担 の対象に追加」するという内容である。

この法律案が成立すると、「手引き」から一歩進んで、都道府県立の夜間中学に国庫負担が実現することとなる。学習者が学びやすい条件と環境を作るため、国は予算と知恵を求められている。

引き続き「手引き」を注意深く読んでいきたい。(つづく)

 
 
 
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