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夜間中学その日その日(487) Journalist World ジャーナリスト・ワールド

  • 白井善吾
  • 2017年3月8日
  • 読了時間: 4分

「夜間中学に関するアンケート調査」

「松戸、19年度にも夜間中学 『公立で設置を』市民の運動実る」東京新聞(2017.02.23)の記事が送られてきた。教育長は22日開かれた松戸市議会で「市内中学校一校に公立の中学校夜間学級を開設するための環境を整備し、学びのセーフティーネットの一層の充実を目指す」と述べたと伝えている。

1979年「松戸市に夜間中学校をつくる市民の会」が公立夜間中学開設を求め、運動を開始し、1983年から週2日、「松戸自主夜間中学」を運営しながら、公立夜間中学開設に取り組んできた。会場の松戸市勤労会館の場所を確保するため、33年間、抽選日に学習者がならんで順番を取るなど、苦労を重ねてきたとお聞きしている。自主夜間中学を訪れ、公立化実現の知らせを聞くことなく、お亡くなりになった学習者も多数に上るのではないか。「早ければ2019年4月にも『開校』する」と言っているが、まだ2年以上かかる。急ぐべきではないか。

公立化が実現しても、市民の会は「公立中学に行きにくいという学習者もいるだろうから、学びたい人が一人でもいれば続けていく」と報じている。

文科省初中局初等中等教育企画課が民間調査会社に委託して「夜間中学に関するアンケート調査」を実施しているとお知らせいただいた。調査会社に問い合わせると、このニーズ調査は、埼玉、宮城、愛知、福岡、沖縄の5県の教育委員会の協力を得て、先行実施しているのだそうだ。調査期間は(3/1~3/24)。アンケート用紙に記入し、受取人払いの封筒に入れて投函する。それを回収し結果をまとめるそうだ。この用紙は、5県内の行政関連施設に置かれている。

アンケート内容は以下の通り。

 問1 「あなたは夜間中学がお住まいの都道府県内にあったらよいと思いますか。 ①《あったらよい  どちらでもよい  なくてよい》

 問2 あなたは夜間中学に通ってみたいと思いますか。②《思う  思わない》

 問3 あなたが夜間中学に期待することは何ですか。(いくつでも選んでください)③《高校入学資格の取得  中学校教育の修了  中学校程度の学力習得  読み書きの修得  その他(     )》

 問4 あなたの性別をお教えください。④《男性  女性》

 問5 あなたの年齢をお教えください。⑤《    才》

 問6 あなたが現在お住まいの市区町村をお教えてください。⑥《  都道府県  市区町村》

 問7 あなたが最後に卒業なさった日本の学校は右のうちどれですか(中退は卒業に含みません)⑦《1小学校 2中学校 3高等学校 4大学(大学院を含む) 5その他(    )6学校へ行っていない》

 問8 問7で1または6とお答えになった方へお伺いします。よろしければ、通学されなかった(できなかった)理由をお教えください。⑧《    》

左の設問部分と右の回答部分は切り離して、回答部分を送るようになっている。漢字にはルビがふってある。

 「いただいた内容は国・都道府県・市区町村における教育施策の検討にのみ利用」と書いている。

 夜間中学で学んでみたいと思っている何人のひとがこの用紙を手にして記入し投函することができるのだろうか?有効回答数OO人、15才以上の人口から考えて、行政区域内で夜間中学の入学希望者OO人と推計するのだろうか?

 果たして市区町村の教育行政が、「私ところで開設します」と声を上げる資料になるのだろうか。大いに疑問だ。

 1969年、大阪で夜間中学の開設を府の教育委員会が決断、天王寺夜間中学を開設した頃の入学者の状況を見てみよう。

髙野雅夫さんが教育委員会を訪ねたとき、担当者は、大阪は同和教育や解放教育を熱心にやっている。義務教育未修了者はこの大阪にはいないと言ったそうだ。そこでビラを配り、証言映画「夜間中学生」を上映し、未修了者を見つけ出すとりくみを髙野さんは行った。

天王寺夜間中学 90名(開校時点・1969.06.05)。128名(1969.10.01)。154名(1970.05.01)。214名(1971.05.01)。

菅南(現 天満)夜間中学 79名(1970.05.01)。160名(1971.05.01)。

(第18回全夜中研大会大会資料集 32頁~34頁)

1972年開校した大阪府内の3校の夜間中学(殿馬場、八尾、長栄)の入学者は1/末、4/1、5/1時点で次のような変化をたどった。

 殿馬場夜間中学(堺市) 12名 41名 52名。

八尾夜間中学(八尾市) 10名 13名 27名。

 長栄夜間中学(東大阪市)26名 56名 60名。

夜間中学が開設され、そこへ行けば学べることが学習者に伝わっていくのは時間がかかるのではないか。上の入学状況はこのことを示しているのではないか。

「最低一県一校の夜間中学を」という場合、市区町村が夜間中学の開設を押しつけあいすることも予想される。1969年時点、大阪でも構想があったという、「府立の夜間中学」の考え方は検討に値すると考える。広域行政が、夜間中学の開設を行うことを。

 
 
 

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