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夜間中学その日その日 (491) Journalist World ジャーナリスト・ワールド

  • アリ通信編集委員会
  • 2017年5月4日
  • 読了時間: 3分

文科省が発した通知文

文部科学省は初中局長名で「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の施行について」とする通知文(2017.03.31日付)を関係機関に送った。

「義務教育未修了の学齢を超過した」ひとたちの「就学機会を確保するため、中学校夜間学級が重要な役割を果たしている」として夜間中学の設置を促進するため、学齢超過の実情に応じた特別の教育課程を編成できるよう整備するため改正したと書いている。そして学齢超過者の実情として、「年齢、経験または勤労の状況その他の実情」と記している。

特別の教育課程を編成する内容は「すでに社会生活や実務経験等により学齢超過者に一定の脂質・能力が養われていること」を評価し「義務教育の目標を達成する上で必要と認められる内容により編成する」とし、その教育課程の編成を行うのは在籍する学校の学校長であると書いている。

夜間中学生の学びと向き合い考えてきた私たちにとって、私たちが今まで言い続けてきたことの感である。

これまで夜間中学の教育内容をめぐって、「中学校だから中学校の教育内容で」、「小学校の内容を夜間中学ではやってはいけない」、「中学校の教科書を使って授業をしなさい」など、夜間中学生の実情を考慮しない、学齢の子どもたちと寸分違わぬ学習内容を要求する、教育委員会や夜間中学に転勤してきたばかりの一部教員と議論が繰り返されてきた。この議論は夜間中学の学びについて考えるのに意味があったと考えている。

ほんとうに大切にしなければならない「学び」について次のように考えている。

夜間中学生はこれまで自分が体験したこと、自分の眼で見たこと、自分の耳で聞いたことをなにかにつけて頼りにしてきた。しかし、自分の人生はこうであったのだとわかるためには、体験していないこと、見たことも聞いたこともないことも知らなければならない。それが「学び」だ。そう思いながら夜間中学で勉強していくと、いままで心の奥底にしまっていたものでも、ほんとうはそれほど大切なものではなかったのだと気づいたり、記憶のかなたにあって、思い出すことさえなかったいくつかのことがらが、生き生きと思い返されたりするはずである。そして、捨て去ってもさしつかえのない、意味のないこだわりをいくつもかかえこんできたことにも気づかされる。「学び」というのは、漢字がこれだけ書けるようになった、読めるようにもなった、計算もできるようになったというようなことよりは、自分自身のなかに新しい世界が生まれるということなのである。あるいは自分をとりまく社会はこのようなものなのだとわかるためにも、自分自身のなかに新しい世界をつくらねばならない。

また、次のようにも言うことができる。

「読み書きができるようになりたい」と願って入学した夜間中学ではあるけれども、年のせいであったり、日本語であるために、思うようには読み書きができるようにはならないと、だれもがうちのめされる思いをする。そんなとき、「読み書きができないということが、なにほどのことか。読み書きができなくても、生きてきた。仕事もしてきたし、子どもも育ててきた」と、たとえ何年間かでも夜間中学を体験したからこそ思うことができる自己肯定、つまりは「わたしはわたしなりに、精一杯がんばってきた。これでいいのだ」と、だれにでもいいきることができる強さを得ることである。この強さを得るための学びこそが、ほんとうに大切にしなければならない「学び」なのである。

夜間中学で学んで、やっと自分のなまえが書けるようになった。うれしい。だけど、くやしい。この年になって、なまえが書けたなんて。

このくやしさをバネに、読み書きができなくても生きてきたことに胸を張れる学びを。夜間中学生であることをかくさなくてもいいと思える学びを深めよう。

夜間中学で追求する「学び」は学齢の子どもたちの学びを包括するものだと考える。

 
 
 
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