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夜間中学その日その日 (497) Journalist World ジャーナリスト・ワールド

  • アリ通信編集委員会
  • 2017年6月17日
  • 読了時間: 3分

証言映画「夜間中学生」

「1966年12月29日、我々(在校生、卒業生、先生)は16ミリ記録映画『夜間中学生』の製作を決心した。どうしても作りたい、作らないではおれない怒りがわれわれをかり立て、走り出させた。1967年1月9日撮影を開始した。学校、職場、家庭―三つの顔を通して夜間中学生の24時間(実態)を訴えたいと思った。

学校だけの生徒を見て『明るくたくましい』と外来者のだれもがいう。しかし学校での明るさではない。24時間中のわずか3時間の明るさにすぎないのだ。職場や家庭では、まるで別人のように労働と生活に必死に耐えている」

「金のある奴は金を、知恵のある奴は知恵を、力がある奴は力を・・・先生がカメラをまわし、ぼくがデンスケをかつぎ、生徒がタイトルを書き、生徒の一人ひとりが心の傷(怒り)をぶちまけた」

「この赤裸々な生活を、叫びを―フィルムに、テープにとらえたいと歯を食いしばった5ヶ月間―。 上映時間48分。制作費38万6千円。

こうして記録映画『夜間中学生』は完成した。この映画にこめたわれわれの発言は、同情や賛美ではなく差別に対する怒りなのだ。僕らはこのフィルムをかついで日本中をまわりたい」(東京・荒川九中夜間学級 卒業生 髙野雅夫)

証言映画「夜間中学生」は1967年5月9日、母校・荒川九中夜間中学で、完成試写会を行った。実質4ヶ月で完成させたことになる。夜間中学生、卒業生、教員を突き動かしたものは何なんだろう?このわき上がる力はどこから生まれたのだろう?

50年前、フィルムをかついで日本国中をまわり、行政管理庁の夜間中学廃止勧告がいかに不当なものかを訴え、夜間中学増設運動を展開するという夜間中学生、卒業生、教員の想いにたいし、連帯する市民の運動が応えた。

「大阪には義務教育未修了者はいない」とする教育委員会にたいし、義務教育未修了者を見つけ出す運動を展開した。桂米朝司会の『ハイ土曜日です』(1968.11.23 関西テレビ)が夜間中学を扱った。それを見た視聴者が局に電話をかけてきた。「私も夜間中学で学びたい」と名乗り出た。結局、神戸市立丸山中学西野分校で入学が認められ、大阪市内から、国鉄、阪急を乗りついで通学することになった。

このことを新聞が報道した「越境かまいませんよ 神戸の夜間中学に大阪の4人 尊い熱意拒めぬ “映画の訴え”実結ぶ」(1968.12.14 毎日新聞)。痛烈な皮肉を込めたタイトルで記事である。「越境は差別です。越境をなくしましょう」当時、大阪では越境をなくす一大運動を展開していた。この記事の最後には次のような教育委員会のコメントが掲載されていた。

「神戸市に迷惑をかけてはすまない。設置を前向きに考えたい」。

マスコミも巻き込み、夜間中学開設運動は大きく展開した。国は反対するが、大阪府は開設に同意した。行政管理庁の廃止勧告とは真逆の夜間中学増設が実現した。

50年が経過した現在の状況はどうだろう。

学齢超過になった人たちの学習権を認め、「教育機会確保法(夜間中学の法)」が公布(2016.12.14)。「最低一県一校」の夜間中学を開設するという義務が課せられた。国はそれまでの「廃止する」方針から「開設する」という正反対に舵を切った。半世紀前の大阪の判断を認めたのだ。

国が誤りを認めたといっても、夜間中学を開設しますにはならない。学びを必要とする当事者の名乗りでと開設要求の市民運動は絶対必要だ。

私たちは「50年目の夜間中学開設要求全国行脚」を実行したいと考えている。今度は髙野さんではなく、夜間中学で学んでいる人たちが先頭に立って実行する。夜間中学が今在ることの意義を具体的に夜間中学先進地は発信する役割があると考える。

大阪人権博物館(リバティおおさか、大阪市浪速区)で「夜間中学生」をテーマに第72回の特別展はその点からも重要だ。会期は2017年10月18日〈水〉~12月16日(土)。

特別展で映画『夜間中学生』を16ミリ映写機で上映。実現できないだろうか。

 
 
 

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