夜間中学その日その日 (502) Journalist World ジャーナリスト・ワールド
- アリ通信編集委員会
- 2017年7月20日
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大阪人権博物館(リバティーおおさか) 第72回特別展「夜間中学生」展
特別展「夜間中学生」展がリバティーおおさかで開催される(会期2017年10月18日~12月16日)。その趣旨文が届いた。
日本国憲法に謳われている教育を受ける権利(第26条)は、民主主義を実現するうえでたいへん重要な理念です。
しかし、すべての人の教育が保障されてきたわけではありません。日本には、さまざまな理由から義務教育をうけることができなかった人がたくさんいます。そうした人たちに学ぶ場を提供しているのが、全国にある31校の夜間中学校です。とくに関西には18校の公立中学校に夜間中学校(夜間学級)が併設されています。夜間中学校は、多くの人びとの「学びたい」という希望を実現するために、ねばり強い草の根の運動が自治体をうごかし、実現した「学舎」にほかなりません。
こうして「学びたい」という希望を実現するために設置された夜間中学校ですが、多くの人の権利を保障するには、今の時点でまだまだ数が不足しています。文部科学大臣はさきごろ「1県に最低1校」の夜間中学校を設置する方針を明言しました。さらに2016年、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が成立しました。これにより、教育を受ける権利をさらに広げるために国や自治体が責任をもつ必要があることが明確になったのです。
経済的な格差によって生み出される子どもの貧困問題、いじめなどによる不登校問題、外国籍をもつ人たちの学習問題など、多くの課題をかかえる日本の教育現場で、夜間中学校が担う役割はこれまで以上に重要なものとなっています。
いまこそ、夜間中学校がながく歩んできた歴史をふりかえり、教育の権利を保障してきたその役割を、あらためて確認するときではないでしょうか。
자립夜間中学生歴史砦
大阪人権博物館

1966年11月29日、「夜間中学は学校教育法にも認められていない、義務教育のたてまえから認めることはできない」として早期に廃止するようにと行政管理庁(現 総務省)が勧告した。夜間中学卒業生・髙野雅夫さんを中心に東京・荒川夜間中学生は立ち上がった。これは学齢・学齢超過の人たちが学んでいる夜間中学生の学習権を「学校教育法にも認められていない」と奪う、「夜間中学の死刑宣告」である。勧告と正反対の義務教育未修了者の学習権保障を掲げ、「夜間中学開設運動」を展開した。本年は夜間中学開設「全国行脚から50年目」の年にあたる。また憲法施行70年の年でもある。
まさにアリの大群(市民)が、ゴジラ(「廃止勧告」)を打ち破り、天王寺夜間中学の開設を実現した。19校の公立夜間中学を誕生する大きな流れとなった。
私たちは半世紀になる夜間中学のあゆみを「生きる」「闘う」「学ぶ」の章立てで展示を考えている。この半世紀、夜間中学生は天王寺に実現した夜間中学の灯を受け継ぎ、どんなとりくみと学びを追求してきたか、そして夜間中学の明日への課題を明らかにしたいと考えている。