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夜間中学その日その日 (517) Journalist World ジャーナリスト・ワールド

  • アリ通信編集委員会
  • 2017年10月29日
  • 読了時間: 4分

特別展「夜間中学生展」(4)

特別展の展示は「生きる」「闘う」「学ぶ」の3章立てになっている。「生きる」の章のサブタイトルが「空気を奪うな!! 空気をよこせ 0.1%の叫び」である。夜間中学卒業生のオモニたちが和紙に書いた文字である。

10月28日、この日も台風22号が秋雨前線を刺激して雨である。雨の中、100人を超える人たちが特別展示室を訪れた。私たちは臨時のスタッフとして、来館者の質問に答えたり、出展物の説明をおこなっている。

「『空気を奪うな!! 空気をよこせ』は誰が書きましたか?」。60代と思われる人からこんな質問を受けた。質問の意味が解せず、返事に窮していると、続けて「朝鮮人が書きましたか?」と質問があった。

私たちは普段、意識することなく空気を吸って生きている。その空気がなくなったとき初めて空気を吸って生きていることと空気の大切さを実感する。空気を「学び」「義務教育」に置き変えたらどうだろうなどと説明していくと質問者は朝鮮の「高麗」時代「空気を奪うな!! 空気をよこせ」のコトバがある。この文字を書いた人はそんなことを知っている「朝鮮人」ではないでしょうかというのが質問の意味であった。

この文字を書いたのは夜間中学で学んだ在日朝鮮人のオモニたちです。実はこの言葉を初めて使ったのは、夜間中学開設運動を実践した髙野雅夫さんだと思うと答えた。

京都府綾部からの来館者は「いい、元気の出る特別展を見せていただきました。こんな博物館が大阪にあることを誇りにしないといけないのに、橋下さんに負けたらあきません。人権を扱う博物館はここだけです。闘いはこれからです。がんばりましょう」と激励を受けた。

時間をかけ、克明に展示物をみている来館者があった。髙野雅夫さんは全国行脚で470枚を超える官製葉書にその日の出来事を表、裏、細かい文字で記し、母校の夜間中学生に送った「わらじ通信」について話をさせていただいた。どのように受け取っていただいたかアンケートには次のように記されていた。

今回“夜間中学生展”での言葉「学ぶたびくやしく、学ぶたびうれしく」が印象に残っています。私は今まで“勉強”や“学び”について深く考えたことはありませんでした。それはまさに、息をするように、それと同じく当たり前のことだったからだと思います。大学時代、在日の方(恩師)の紹介もあり、人権博物館に来させていただき“夜間中学”のことや“部落”について、今までの自分が無知だったことを恥じ、今回学ぶことができ、嬉しく思います。一番胸に残っている言葉を胸に、これからも私たちは学んでいかなくてはいけないと考えます。本日はありがとうございました。

私は東北の出身だということもあり、夜間中学という存在があるのは知っていたけど、その設立の裏にはさまざまな運動や思いが込められているなんて今日まで知りませんでした。「学ぶたびくやしく、学ぶたびうれしく」という言葉に皆さんの運動の歴史や思いの全てが込められているのではと感じました。その2文を読んだとき言葉に込められた思いが目に見えるような気さえしました。自分でもまた調べたりしたいと思います。ありがとうございました。

次のような新聞報道があった。「県は一般の中学校で不登校だった生徒の学びの場になるなど、多様な役割や存在そのものが知られていない可能性があると判断。11月開催のセミナーなどを通じ周知徹底から図る。ニーズ把握は国の事業を活用して取り組む。セミナーは11月15日、福島市中心部で中学校教諭らを対象に開催。文部科学省の担当者や、福島市で自主夜間中学を運営するグループの関係者が公立夜間中学の役割や必要性などを話す」(2017.10.26 河北新報)。

福島県は中学校教員を対象に、夜間中学のセミナーを開催するという。夜間中学生展の展示を通して、学習者の想いが伝えられ、夜間中学が今存在することの意味が届けられればと考える。夜間中学生の想いに心を馳せれば、昼の学校で子どもたちに語りかけるコトバも変ってくるはずだ。校長からセミナー参加を命じられずとも、先に書いた学生さんのように、虚心坦懐に能動的に夜間中学や夜間中学生を受け止め、考えていただきたい。

 
 
 
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