夜間中学その日その日 (523) Journalist World ジャーナリスト・ワールド
- アリ通信編集委員会
- 2017年11月15日
- 読了時間: 3分
特別展「夜間中学生展/11.9」(9)
韓国からお越しいただいた。2002年、2003年夜間中学生と共に、ソウルを訪問、文解交流をおこなったとき、通訳としてお世話になった金恵美子さんだ。それから15年が経過した事になる。私たちがソウル郊外の地区自治会が運営する識字教室を訪ねたとき、金さんは、髙野さんのことを、次のように表現された。「ソウル市内にある識字教室を探して、地下鉄のサンゲ駅に降立った時、町の風景を見渡して、髙野さんは動物のような感覚で、ここには識字教室がありますと断言されました。そして、すぐに識字教室が見つかりました。その識字教室へご案内します」。こんな出逢いがある方だ。髙野さんと時間をとって話され、来館者が多く、私たちは十分話すことができなかった。「夜間中学生展」の感想を伺いたかった。
この日は大阪府立の高校生が訪れた。時間をゆったり取っていただいたのはありがたかった。高校生は時間に追われることもなく、ゆっくり展示と向き合うことができたようだ。共同作品に時間をかけ見ていた。
たまたま、寄書きを書くテーブルのいすに座り、アンケートに記入しているグループの高校生に声をかけた。「どこの中学校を卒業しましたか?」。見知らぬ人から突然声をかけられ、戸惑いを見せる中、ひとりの高校生が「あの青い作品の夜間中学を卒業しました」と答えが返ってきた。中国から日本にきて、夜間中学で学び卒業。そして高校生に、クラスでも人気者であることがその振る舞いから想像できた。
「ここに来たら、是非あの方とお話ししていってください」と髙野さんの名前を一切言わず、紹介した。インタビューしていたが、そこでどんな会話があったのか知らない。
コリア国際学校のグループ8人も訪れた。府立高校の生徒だと思い込んで「どこにお住まいですか?」とたずねた。一瞬表情を変えられたが「神戸市です」と返事が返ってきた。府外からも通っているのか?と頭の中で反問していると、もうひとりの女性が「私は西宮市です。コリア国際学園からきました。茨木市にある学校です」と答えた。「作家の金時鐘さんが校長さんの学校ですか?」と聞き返すと、「学園長さんです」。応対がてきぱきとしている。
いま会場に、ソウルからお越しになっている方があります。紹介しますと金恵美子さんを紹介した。金恵美子さんが朝鮮語で話を始めると学園に入ったときからはじめたという、流ちょうな朝鮮語で返していたのは日本人。隣の在日の高校生は、2人の会話を笑顔で聞いていた。新たな出逢いは歴史をつくる。

アンケートの感想を紹介する。
「いろいろな夜間中学生の想い、強い勉強心が伝わってきた。いまはわからないが私の家の近くの中学校にもあったのでどうか続いていってほしい」
「戦争関連の勉強はいままでたくさんしてきたけれど、夜間中学校の話は学んだことはなかったから、新しい知識が得れた」
「知らないことだらけだった。いろんな人がたいへんな思いをして夜間中学ができたんだなと思った。青い大きい布に書かれていた言葉が心に響きました」
「青色の布に書かれている夜間中学生たちの思いは本当に心に響きました。学びたくても学べないくやしさを私は感じたことがないので、ここで見れて良かったです」
「自分の名前が書けないとか、駅の文字が読めないとか自分には全然感じたことのない事だから、気がついたら文字が読めてかけていた事がぜいたくなんだなと思いました」