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夜間中学その日その日 (530) Journalist World ジャーナリスト・ワールド

  • アリ通信編集委員会
  • 2017年11月26日
  • 読了時間: 4分

特別展「夜間中学生展11.22」(14)

保育園に行っている3才数ヶ月の子どもが、子ども同士の会話で「あそんだげよか」と声をかけた。すると帰ってきた返事が「そんな言い方せんといて」であった。上から目線の言葉に、反発し、拒否の返事をしたという。保母さんの指摘を受け、その子どもは「あそぼう」と言い直し、いっしょに遊んだという話を聞いた。自我が確立するのは何才なのかは知らないが、兄や姉が普段自分に使っている「あそんだげよう」を聞き慣れた言葉として「あそぼう」という意味で使ったと考えられるが、上から目線の言葉であると認識し、対応できる感性が3才数ヶ月の子どもに生まれていることに驚いた。その対応を受け言い改め、それを受け入れたことにも驚きである。そんな出来事を経験しながら、子どもは集団の中で成長していくのだ。

この日特別展には二人の青年が訪れ、行きつ戻りつしながら時間をかけ、展示を見ていった。証言映画『夜間中学生』も見ていた。頃合いをみて「ご覧になって、わからないところはありませんか』と声をかけた。

返事が返ってこない。雰囲気から、夜間中学に関心がある社会人だと想定して、夜間中学が果たす役割についての内容に変更した。

「夜間中学は、義務教育を受けることのできなかった、(いい言葉が見つかりませんが)気の毒な人たちに、義務教育をするところだと思われていることが多いんですが、私はそうではないと思います。以前、夜間中学の教員の経験がありますが、学齢児、不登校であった人たちが夜間中学で話し始めた不登校時の出来事、考え、悩みは、いまの学校現場、社会がまなぶ課題や教訓が数多くあります。むしろ、夜間中学生が先生で、学校や、社会のあり方を変えることを学ぶ学校が夜間中学だと思います」と話した。

かえってくる話の端々から、彼ら自身が不登校を経験し、いま夜間中学に通っていることがわかってきた。そして次のように語った。

「小学校にはほとんど行けず、中学校は5日ぐらい。もし続けて行っていたらいじめで、今ここに居なかったかも知れない。いま夜間中学に行っているが勇気や自信を持つまでにはなっていないが、夜間中学にきて良かったと思っている」と語った。

将来を考えると不安なことは多いが、どうすれば自信と勇気を取りもどすことができるかともうひとりの若者はたずねてきた。

NHKテレビで放送があった、クローズアップ現代プラス『ひらがなも書けない若者たち ~見過ごされてきた“学びの貧困”~』を紹介した。ひとりは見たそうだが、「実は昨日(2017.11.21)再放送があったが、登場する3人の若者の内、ひとりが夜間中学に入学したケースで、年齢のさまざまな人が通学し、就労経験、生活体験などの違いを認め合って、人間関係をつくりながら、学校生活を送る。その中から『勇気』が生まれてきたと自身の変化を語っていた」と話した。

強制ではなく、過保護でもなく、夜間中学生同士が、年齢の違いを超え、「あそんであげる」ではなく「あそぼう」の関係を構築し、夜間中学内で若者自身が、果たす役割を自覚できたとき、勇気や自信が生まれてくるんだと思うと話した。

閉館時間を告げる放送が流れても、慌てることなく、「自分探しと思索にふける」姿勢であった。髙野さんも、母校での若者の様子を2人に話しかけていた。ひとりが布の寄書きに次のように記していた。

「仲間と学ぶ楽しさを 大切さを感じていきたい」。

これから夜間中学に行きますと何度も頭を下げ、部屋を去って行った。

2人が通っている夜間中学では、学校ぐるみで訪れる方法はとらず、学習で特別展の紹介をして、夜間中学生の自主性に任せ、各夜間中学生がいってみようと考えたら、訪れたらよいと考えておられるようだ。夜間中学生自身が課題を持って訪れ、展示物と向き合うそんな展開もさわやかで面白い。

府下のある市の青少年育成指導連絡協議会の来室があった。夜間中学が教育関係者にとどまらず、自分たちが日常取り組んでいることに夜間中学がどんな関わりがあるのかを知ることができて良かったですと感想を述べられた。不登校の問題も、縦割り行政の弊害があり、個人情報保護の観点から、他のセクションが関わっていくことはなく、一行政で抱え込んで、対応が遅れ問題が複雑深化していっている問題点の指摘があった。

 
 
 
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