夜間中学その日その日 (531) Journalist World ジャーナリスト・ワールド
- 白井 善吾
- 2017年11月28日
- 読了時間: 3分
夜間中学の明日への展望をどう描くか(4)
「夜間中学は学習者のちからでつくり育てていくもの」
2015年以降、とりわけ昨年12月、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)公布」以降、文科省は通知、手引きなど夜間中学の開設を求める文書などを矢継早に出してきている。その主なものとして次の9点を挙げることができる。
① 「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の公布について(通知)」文部科学省初等中等教育局長 藤原 誠(2016.12.22)
*2016.12.14 法律第105号として公布したことを通知する文書
②「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(通知)」文部科学省初等中等教育局長 藤原 誠(2017.03.31)
*夜間中学等において学齢を経過した者に対して指導を行う際に特別の教育課程を編成できるよう制度を整備
③「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針の策定について(通知)」文部科学省初等中等教育局長 藤原 誠(2017.04.04)
*8頁に渡る文書で、「都道府県が設置する場合においても、夜間中学等に係る教職員給与費の3分の1を国庫負担する」。として都道府県立の夜間中学の開設を説明している。
④ 夜間中学の設置・充実に向けて【 手 引 】(改訂版)2017年4月
*夜間中学を開設するための、41頁にわたる手引き書、開設にむけた法的根拠と共に公立夜間中学の実践例を例示している。
それ以外に、
➄ 広報ポスター
⑥ リーフレット「夜間中学のご案内 あなたも通ってみませんか」(日本語・中国語・朝鮮語・英語版)(2016.01.14)
⑦ 「さまざまな事情により、中学校で勉強することができなかった人へ 「夜間中学」を知っていますか?」(政府広報オンライン)(2017.03.23~)
⑧ 「いまからでも、まなぼう!公立中学校の夜間学級」(政府インターネットテレビ)2015.12.10~
⑨ 政府広報オンライン (ラジオ番組「なるほど!! ニッポン情報局」)
「夜間中学について知ろう」
これら以外に、文科省は地方行政関係者を集め、夜間中学説明会を東京、大阪で開催した。
これらのとりくみが、学びを求めている人たちに夜間中学で学べることが伝わったのか否か、31校の夜間中学生数(各年9月統計)でみてみよう。
1951人(2014年)。1825人(2015年)。1860人(2016年)。1826人(2017年)。ここには横浜の夜間中学の人数は含まれていない。2017年の形式卒業者の入学が87人含まれていることを考慮し、比較条件をそろえ、2014年の1951人と2017年の1826-87=1739人と数字を見る限り、人数は増えるどころか212人減少している。
これをどのように分析するのか、上にあげた①~⑨は8都府県25市区町村の夜間中学で学びたいという人たちには届いていないということになるのか。届いたとして、実際に校門をくぐり、入学手続きに入る決断をするには時間がかかるということなんだろうか。

夜間中学廃止勧告はねかえし、大阪で夜間中学を開設させた闘いの教訓を今に活かすなら、「夜間中学は学習者のちからでつくり育てていくもの」、学習者が夜間中学開設の闘いを切り拓くとりくみが重要ではないか。