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夜間中学その日その日 (534) Journalist World ジャーナリスト・ワールド

  • アリ通信編集委員会
  • 2017年12月4日
  • 読了時間: 3分

特別展「夜間中学生展11.30」(17)

 私たちが特別展示室で最初にすることは、特別展示室の照明のスイッチを入れることである。照明が入ると、展列ケースから、さまざまな展示物が一斉に声を出し始めるのだ。証言映画『夜間中学生』が回り始め、夜間中学生が昼働いている職場のプレス機の音、精米機がまわる音、蒸気機関車の汽笛、塚原雄太さんのよく通る声が響きわたる。中川督之助大教組書記長、五島庸一教文部長に迫る髙野さんの声も聞こえてくる。小林晃君や授業中の夜間中学生の声も聞こえてきた。出来上がった共同作品を群読している声だ。18回全国夜間中学校研究大会で意見発表をする須堯信行さん、傍らに立つ古部さんの訴えも2年越しの回答を文部省に迫る声だ。夜間中学の増設を府教委の担当者に訴える康友子さんの声も。・・・50年間の夜間中学生の学びと生徒会活動の声である。

 展示室の中央に立つと、4面の展示ケースからの声が重なり合って、「学ぶたびくやしく、学ぶたびうれしく」「学ぶことは生きること」「学びは運動につながり、運動は学びを育てる」「空気をうばうな!! 空気をよこせ」「生き証人が歴史をつくる!!」そして天井から「東大阪にもう一校の夜間中学をつくれ!!」夜間中学生462人のシュプレヒコールが響きわたる。

 来館者はこの中に身を置くことになる。島根県で12月2日から始まる、第69回全国人権・同和教育研究大会に参加する途中、特別展に参加したという人、12月1日から始まる全国夜間中学校研究大会の前に展示を見ておきたかったという人たちも加わり、熱い一日となった。大阪府教育センターの研修講座、福島、北九州の自主夜間中学そして宇都宮大学国際学部の12人ゼミ生が加わった。

 大学生はすでに夜間中学をテーマに学習がとり組まれていることがわかる質問内容であった。各ブーツに分かれ、展示の説明が始まると、他のブーツから学生が加わる。質問があり、さらに説明が加えられる。「この写真の人が髙野さんですか」「この会場にいらっしゃいます」「ぜひ髙野さんの話を聞いてみたい」。大学生から声が上がってきた。

 「出逢いが新たな歴史をつくる」。髙野さんははにかみながら、求めに応じた。展示室の中央で、髙野さんを取り囲む形で、髙野ゼミの開催となった。はじめから予定されていなかったことが面白い。この夜間中学生展にふさわしいからだ。

 突然の展開であったが髙野さんも間合いをとりながらゆっくりと話し始めた。

 学生さんからあった「袋に書いている『カンパ』ってなんですか?」この質問から浮かび上がった50年の時間の流れには面食らったが、「映画をつくり、上映運動をしながら全国をまわる。そして大阪に夜間中学ができるそこに至るにはこのような、ねばり強い、運動があったんだとよくわかりました。そのような力はどこから起こるのですか?」「『学ぶたびくやしく、学ぶたびうれしく』の言葉の意味が展示を見てわかりました」

 来館者も、この場を取り囲み、髙野さんの話を聞く展開となった。特別展示会場は、関係者の交流会場に変化した。

 この日、マスコミの取材(*)もあった。「もっと早く来たかったんですけど、すみません」。メンバーの一人が、時間をかけ、展示の説明をおこなっていた。

 今日で11月も終わり、特別展もあと半月を残すのみ、一人でも多くの方に届けたい。

(*)学ぶたび くやしくて うれしくて 「夜間中学生」

大阪日日新聞   2017年12月3日

 特別展「夜間中学生-学ぶたびくやしく・学ぶたびうれしく-」が、大阪市浪速区の大阪人権博物館で開かれている。貧しさや病気などの事情で学習する機会を奪われてきた当事者らの切実な声や、同市立天王寺中学の夜間学級が開設されるまでの歩みを、150点以上の資料を通して紹介している。16日まで。(以下略)

 
 
 
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