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夜間中学その日その日 (568)

  • 白井 善吾
  • 2018年6月29日
  • 読了時間: 3分

第37回夜間中学増設運動全国交流集会を前に

 全国で夜間中学のとりくみをおこなっている公立、自主の夜間中学の学習者、スタッフ、そしてその他関係者が手弁当で集まる。そして日頃のとりくみ、喜びや苦労、悩みを報告する。夜間中学増設運動が追求する課題を明らかにする、一泊二日の交流集会である。第37回交流集会は、千葉県松戸市で2018年8月25~26日に開催される。

 この交流集会は次のような経緯で1982年8月始まった。

関東では川崎市で1976年10月、千葉県市川市で同じ10月、市民による自主夜間中学が活動を開始した。関西では奈良市で「うどん学校」が同年9月、奈良県天理市で1979年3月、京都府宇治市で同6月、公立化を目標に自主夜間中学が活動を開始した。そして奈良市(1978年)、天理市(1981年)、市川市(1982年)、川崎市(1982年)に公立の夜間中学を実現させた。これらの取り組みの経験を交流し、夜間中学の開設を進めることを目指して、関東、関西の中間地点、静岡県磐田郡福田町豊浜の国民宿舎遠州ふくで荘で1982年8月第1回全国交流集会が開催された。

夜間中学増設運動全国交流集会では交流の成果をまとめ、発信している。1985年の第4回夜間中学増設運動全国交流集会では兵庫県尼崎市の夜間中学・琴城分校で教育委員会が行った強制卒業を論議し、「夜間中学の増設と、夜間中学生の立場に立った学校運営を求めるアピール」を採択している。

 夜間中学増設運動全国交流集会では交流の成果をまとめ、出版も行った。

『ザ・夜間中学-文字を返せ 170万人の叫び-』(開窓社1986年)。『文字はいのちや 学校はたからや』(開窓社1990年)。『勉強がしたい 学校がほしい-ザ・夜間中学-』(宇多出版企画1994年)。『新編文字はいのちや 学校はたからや』(開窓社1997年)の4冊を数える。

 それから数えて今集会で37回を迎える。各地域の粘り強い夜間中学の市民運動を交流し、元気を確かめ合い、夜間中学増設運動をリードしてきた36年であった。

 2016年12月14日、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が公布。夜間中学をめぐる状況は大きく変った。文科省は法に基づき基本指針を策定、夜間中学の教育課程は学習者の実態に合わせ、柔軟に編成できること。ながく認めなかった、形式卒業者の夜間中学入学を認める。また学齢の不登校生の夜間中学入学ができることの通達をだした。

 文科省は2017年11月7日、調査結果を次のように明らかにした。「新設を検討している80自治体の内訳は、都道府県レベルで6、市区町村レベルでは74だった。具体的な開校時期を決めていたのは、千葉県松戸市と埼玉県川口市のみで、いずれも2019年4月を予定しているという。また、43自治体が、民間団体が運営する自主夜間中への支援策などを話し合う協議会を既に設置していたり、設置を予定したりしていた」(2017.11.08 東京新聞)。しかし、松戸、川口市以外の自治体名は明らかにしていない。

 夜間中学増設運動全国交流集会は、学習者の夜間中学開設への熱い想いと、それを支援する市民の闘いが夜間中学の扉を開けることを確認してきた。その取り組みの交流をおこない、各組織の取り組みに学び、各組織が新たな闘いの組み立てを模索し、実行する。この地道なとりくみを、状況が変っても大切にするべきだと考える。自主夜間中学のとりくみは、公立夜間中学が開設して終わりではない、つづけていくんだと交流集会の参加者は語っている。

 37回全国交流集会は、これまで以上に、多くの組織の参加が予想される。そして難しい運営が求められる。各組織の報告も事前に読み込み、補足説明程度とし、議論が深められる方法を採用すべきではと考える。

 
 
 
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