夜間中学その日その日 (572)
- 白井 善吾
- 2018年7月31日
- 読了時間: 6分
夜間中学開設にむけて進捗状況(2―1)
夜間中学の開設に向けとりくみが進められている。夜間中学資料情報室の入手資料に基づき、その概要をまとめた。間違いがあれば指摘をお願いする。
資料は新聞報道記事、文科省が発表した「中学校夜間学級の設置促進事業報告書」などである。二回に分けて報告する。
1.千葉市(2010.05)
・「5年間にわたる検討の結果、夜間学級に求めるニーズの変化、国や県の見解、他政令市の設置状況等を総合的に判断すると、現時点では千葉市中学校夜間学級は設置できないというのが設置検討委員会としての結論である」千葉市中学校夜間学級設置検討委員会報告書(2010.05)
*国の見解が当時と180度変化した。2016.12以降、千葉市の変化は?
2.長野県(2017.03)
・本県における中学校夜間学級について、入学希望既卒者、学齢超過の外国籍の者の受け皿として中学校夜間学級を設置することについては、現時点でのニーズは確認されなかった。
*かつて、「大阪には義務教育未修了者はいません」と訪れた髙野さんに教育委員会は答えていた。それを打ち破ったのは、未修了者の立ち上がりであった。
3.滋賀県(2017.03)
・日本語教室「虹」ピンチ 義務教育終えた外国籍生徒学ぶ教室、来年度の受託先決まらず。((2017.12.12 毎日新聞)
・活動に幕 6年で外国籍34人が高校へ 草津 学びの場ピンチ 県内にも、夜間中学望む声(2018.03.26 毎日新聞)
・ニーズ調査や県外視察等を踏まえて本県の状況を検討した結果、中学校夜間学級については、現時点では、本県として学校設置を促進する状況にはないことを結論付けた。(2017.03)
*夜間中学開設を求める当事者の声を大きな声にしていくとりくみがつくることができるか?
4.山口県(2017.03)
・各市町教育委員会が現在、重点的に学びの支援をすべきであると考えている対象者は、学齢期にあるが不登校等により長期欠席している児童生徒である。中学校夜間学級については、現時点、県内に設置する必要性は認められない。
*教育行政担当者の机上の結論は学齢期の不登校生に対応すること?それなら不登校の学齢超過のひとたちの学ぶ権利の保障は?
5.熊本県
・市町村教育委員会と連携して、アンケートを実施した。その結果、あった方がよいという意見がある一方で、設置に慎重な意見もあった。また各中学校に、夜間中学についての問合せはない。
*設置に慎重な意見、どのような理由で?ほとんど登校できなくても卒業証書を渡した、あの子どもたちは、今どうしてるの?学校の方が問合せをしていくんでしょ!視察で訪れた先の夜間中学生は担当者になって話したの?それにどう返事したの?
6.佐賀県
・県内初の夜間中学設置 佐賀市教委、県と協議方針、東島教育長「学び直したいという人の受け皿としての夜間中学の必要性を感じる」佐賀新聞
(2017.06.23)
*必要性を感じてどうするの?
7.栃木県
「学校以外にも居場所ある」自殺防止へ呼びかけ フリースクールなど4団体 讀賣新聞(2017.09.01)
8.山形県
・「山形県には夜間中学は在りません、夜間中学を必要とする方々の声を集めているところです」(山形県ホームページ2018年)
*山形県出身の中国残留孤児は、帰国して、大阪に、そして夜間中学に学んでいます。「山びこ学校」に登場する生徒と姓が同じです。
9.大分県
・大分市公民館で「おおいたナイトスクール」(ミニ夜間中学)開設。10~84歳50人が受講(2016.09.04 讀賣新聞)
アンケートを2018.07.30より始め、2018.08.31中間集計をする。
*行政が先行して始めた「ミニ夜間中学」。どのような分析がされたのか?
10.鳥取県
・夜間中学設置を検討 鳥取県教委が部会設置 公立に限らず民間の運営する「自主夜間中学」の設置も協議する(2018.03.27 日本海新聞)
・鳥取県教育審議会夜間中学等調査研究部会(第1回)2018.06.13 開催
11.愛媛県
・夜間中学 地域の意見を踏まえながら設置への課題を調査研究(愛媛新聞 2017.08.29)
・夜間中学ニーズ把握へ 15歳以上対象に調査 (2018.07.05 愛媛新聞)
12.福岡県
・公立夜間中、設置を 署名集め市議会請願へ 公立夜間中学校の設置を求める活動(2017.09.13 朝日新聞)
・公立夜間中設置を 請願と署名を福岡市議会に提出 星子明夫教育長は「対象者がどこにどの程度いて、夜間中学が最適か?」(2017.09.21 朝日新聞)
・「福岡市に」設置請願 議会委、継続審査に 市教育長は「教育機会確保法と請願の趣旨を真摯に受け止め、対応したい」(2018.02.15 毎日新聞)
・福岡県人権啓発情報センターで特別展「夜間中学展」(2018.07.01~09.30)を開催。
*筑豊の炭鉱出身の夜間中学生は多数、大阪の夜間中学で学んでいます。
13.岡山県
・夜間中学をご存じですか? 県教委がニーズ調査 県内での設置の必要性について検討を進めたい (朝日新聞 2017.02.18)
・「自主夜間中学」岡山に誕生 学び直し支える場、岡山県教委は昨年、夜間中について学習希望を調査した。23件の問い合わせ(山陽新聞 2018.01.10)
・「岡山県における中学校夜間学級に関する調査研究 報告書」(2018年3月)で県教委は「本県における就学の機会の在り方について、引き続き組織を設置し 検討を進める」「生涯学習の視点から、社会教育施設等で、義務教育段階の学習内容も含め、個々のニーズに沿った学び直しの機会を提供すること等を検討する」市町村教委は「公民館での学び直しの場を設定する」と記述。
岡山県内における学び直しを支援する取組として・岡輝中学校区シニアスクール(岡山市内、2003.9 開校)・まなびばippo(いっぽ)(倉敷市内、2017.7 開設) ・伊里ふれあい学級(備前市内、2009.5 開校)・鏡野町シニアスクール(鏡野町内、2004.5開校)がある。
*ニーズ調査をして23件の問合せの声にどう返事したの?
14.和歌山県
・公立夜間学校設立を 和歌山市に要望署名 原教育長「すぐにというわけにはいかないが、考えていきたい」 (わかやま新報 2017.03.15)
・和歌山・岩橋夜間学校 市民がボランティアで設置 未就学者救済、公立化を 西風章世・和歌山市議(毎日新聞 2017.11.11)
*岩橋夜間学校の学習者の声に「すぐにとはいかないが」なら、いつまでをかんがえているの?
15.山梨県
・学び直しへ「夜間中学」 民間有志甲府に来春開設 無料授業、広く受け入れ 塩田真有さん(山梨日日 2017.11.11)
・夜間中学に高い関心 参加者限定し説明会 甲府 「みらい学校」塩田真有代表(山梨日日 2017.12.10)
・自主夜間中学が開校 甲府8人が入学、60代も みらい学校 代表 塩田真有さん(山梨日日 2018.04.08)
*自主夜間中学のとりくみに、行政はどのような見解?「見て見ぬふり?」
16.三重県(2017.03)
・県内にいわゆる自主夜間中学はないものの、それに類する日本語教室や識字教室等が多くあること等が明らかになった。(県内の日本語教室数は32箇所・13市町、外国人の子どもの学習支援教室数は8箇所・6市あるが、その他にも市町教育委員会が実施主体となっている日本語教室や識字教室等もある。・就学機会のさらなる充実に向けて、本県の実情を踏まえながら、市町教育委員会や関係団体等と連携し、取組を推進していきたい。
*教育委員会は、県下の中学校が大阪の夜間中学を訪れ、交流をおこなっている、その内容はしっているの?
18.岩手県(2017.03)
・中学校夜間学級に対する法の趣旨に沿ったニーズは顕在化している状況ではないが、潜在的なニーズの可能性については確認することができた。・次年度以降も定期的な調査を実施しながら中学校夜間学級について周知を図り、一定のニーズが確認されたところで改めて設置の在り方について検討が必要なことを確認した。
*形式的に卒業証書を渡したかつての夜間中学生は今どんな状態?訪ねていきましょうよ。

**冗談言ってるんじゃねえよ。夜間中学生の声を、叫びを聞いたことあるの!『夜間中学生―133人のメッセージ―』(東方出版 2005)全国の公立・自主夜間中学生が握りしめた鉛筆で刻みつけた“わが半生の記”を読んで!