日本映画旧作上映『暴力金脈』などと「差別表現」の扱いについて
- 北口学
- 2018年10月27日
- 読了時間: 4分

中島貞夫監督作品と期待して鑑賞した『暴力金脈』ですが、ふつーの出来。冒頭に全学連東大安田講堂、学生デモ隊シーン、おっ!と期待はしたのですが、、、。自由に映像表現に遊び心を出せる大作に彼の才能、器用さ?は生きると思えました。東映実録ヤクザ映画のお馴染みのキャストをハマり役にカッコよくというお約束、定型のワクに縛られない方が中島貞夫監督色が出せて、味わいを発揮されるかに思えます。まぁ、ヤクザ映画やポルノ映画などからTVドラマまで、多作の監督ですね。 でも、「総会屋」ってどんな人々か、右翼団体やヤクザとの関係を良く知らない、暴対法以後の世代の私には非常にその理解が良く出来た作品、得る所も多々の一作でもありました。

『セブリ物語』も彼の作品ですね。シナリオ段階から解放同盟中央本部文化対策部から「どう思う?」とコメントを求められたっけ。「サンカ」と呼ばれ差別された人々を三角寛のデタラメな猟奇小説で差別意識を拡大された山岳を生活の場とした山の民。実際には江戸末期の飢饉で過酷な年貢の取り立てに悲鳴をあげ田畑を捨てた元農民たち。詳細は文春文庫の『幻の漂泊民・サンカ』沖浦和光著に詳しいです。 また、山を元々、生活の拠点とし生きてきた人々も多々いました。田畑を耕し年貢を納める「常民」以外の人々、つまり、放浪の宗教者、行商、芸人なども含めた「非常民」。元来、遠来の未知あるいはマレにしか訪問しない人を敬意で迎えたり神格化する文化を持ち合わせていた日本の人々なんですが。支配層の「年貢を出さぬ者はアカン」と言う、つまらない資本主義の民衆格付け。 デタラメな三角の大衆小説は猟奇度をエスカレートさせ大人気。それをネタ本に作られた『セブリ物語』ですからあきまへんなぁ。幾つかのシナリオにはあったドギツいシーンや変なエピソードは無くなっていましたが、、、。解放同盟側からは強い作品への注文や高圧的な姿勢はなく、監督とじっくり対話を重ね、監督も納得、心服という様子を、ちらちら成り行きをたまに眺めて思いましたね。「どうせなら良い作品にしよう」と、双方が頑張ってた感じでしたが、、、。

明日見る予定の同監督の『沖縄ヤクザ戦争』はどうかなぁ、若干の期待はあるものの。 しかし、古い映画、最初と最後だけにテロップのみってのはダメじゃないかな?「どこがどう今日では、なぜ不適切なのか」がさっぱり分からない。きっちりと説明の字幕を各作品文章化しテロップで表示すべきだと思います。 そういう説明責任を果たしていないで垂れ流しは良くないと思います。この定型テロップさえ付けておけば、とアリバイ的すぎますよね。納得いく説明にもなってないし、彼らの表示内容や主張がはたして正しいのかどうかも腑に落ちません。 ネットでも著作権切れの小説・評論など無料公開していますネット図書館「青空文庫」も同様に大きな問題があるアーカイブの構築構造、不適切な表現にダイレクトに飛んで行けるインターネットの特性を無視した差別意識拡大に繋がるコンテンツが多々存在するのは問題かと思います。


HPトップページに多少の映画字幕申し訳を書いてあるだけではダメで、問題のある各作品や評論の末尾にきちんとした簡略でもいいから付記解説を付けるべきと考えます。例えば「青空文庫」の映画監督伊丹万作のエッセイなどハンセン病への差別意識を拡大してしまうと強く思います。 昨今ではプライバシーや肖像権、著作権など重視される日本や米国のTV界。米国のニュースなどではボカシや「ピー音」も珍しく無くなっています。再放映では、顔や看板などにボカシを入れる事に留意されています。一方で定型のテロップのみで垂れ流しってサボりすぎですね。 「ハリーポッター」シリーズが途中、製作が滞ったのも、DVD販売やTV放映に、一銭も支払いのない俳優、製作スタッフたちのストライキがあり、それはハリウッドでも。爾来、DVDやTV放映も含めた俳優・スタッフとの契約となったと聞いております。