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夜間中学その日その日 (607)

  • 『生きる 闘う 学ぶ』編集委員会
  • 2019年4月5日
  • 読了時間: 4分

 第5部は「語る」で4人の夜間中学生が「夜間中学生の闘いに学び、いまに伝える」のテーマで座談会をおこなった記録だ。4人の夜間中学生は近畿夜間中学校生徒会連合会の会長経験者で昨年と今年、夜間中学を卒業する。

 まず夜間中学に入学することになったきっかけを話している。一人は勤め先で夜間中学に通っている、中国人の女性から「夜間中学があるよ」と教えてもらった。

 もう一人は、掲示板で夜間中学がある事を知った。その時の事を次のように語った。「孫の小学校入学の時ついて行って、偶然掲示板で知りました。ものすごく衝撃を受けて、すぐ事務室へ行って『えんぴつ貸してください』といって、掲示板の字をメモして天王寺夜間中学に電話したんです」。

 もう一人は、岸和田に引っ越しして、「夜間中学があることを市の広報紙を見て初めて知りました」しかし、子育てや仕事で「とても学校いうことは考えないことにしていました」。『仕事やめたら、お父さん、絶対夜間行くで、夜間行くで』って、みんなに言いふらしました」と市の広報紙を見た事がきっかけだった。

 もう一人は娘が「お母ちゃん、学校にいったら」と進めてくれた。このように4人別々の入学のきっかけを語っている。

 次に夜間中学に入って変った自分を次のように語っている。「人前でもしゃべれるようになった」。識字のとりくみを国連としてさらにとりくむよう、みんなのメッセージをもって、パリのユネスコ本部に行き、訴えた。「今は胸張っていえる」と語り、生徒会の役員をし、学校をこえて活動をおこない、「社会のしくみやこれまで知らなかった事も知ることができた」「子どもが私を認めてくれた」「自分が誇らしくなってきた。それが夜間中学の力かな、それだけ夜間中学で上達したんやな」と語った。

 生徒会に結集してとりくむことが重要であることを次のように語った。「今の若い人もいろんな問題をかかえて学校にきている。自分のかかえている問題をしっかり訴えて、みんなで力を合わせるようにしてほしいです。力を合わせんことには、大きなものには勝たれへん」。

 夜間中学にとって生徒会活動はとりわけ重要だ。黙っておれば、いつの間にかあったこともなかったかのようにされてしまう。一例を挙げよう。大阪の夜間中学の入学条件は天王寺夜間中学が開校時「大阪府内に居住または勤務するもの」となっていた。府教委担当者に、「大阪府内居住者」といつ変更したのだと夜間中学生が質問した。「以前からそうであった」と答えたので、調べるようにお願いをした。次の話合いでそのことを質問すると、「調べたけど資料が見つけられなかった」との返事。そこで、1969年当時の募集要項を示して、在勤者の夜間中学入学を認めるよう要請したが、それでもすぐには変更しなかった。2019年度の募集要項では「(注)小学校を卒業していない人や大阪府以外に住んでいる人は、教育委員会か夜間学級のある学校に相談してください」と注をつけ、1969年当時に戻した。

 「国が1県に最低1校の夜間中学」を打ち出したとき、大阪府内の夜間中学の近くに勤め先があり、夜間中学で学びたい、他府県の人は学べないのかとの声を生徒会が取り上げ、近畿夜間中学校生徒会連合会がとりくんだ。

 夜間中学の教員のとりくみと連動して、生徒会独自のとりくみも重要であることを証明している。

 「連合生徒会に行ったらいろいろわかってくる」「『あっ、なるほどな』と私ら自身も変ってくる」と語っている。生徒会活動は重要だ。

 いま夜間中学をめぐる状況の変化はすさまじい。形式卒業者の夜間中学への入学については、文科省はできないとする対応であった。ところが「『中学校を卒業していない場合は就学を許可して差し支えない』との考え方を示してきましたが、一度中学校を卒業した者が再入学を希望した場合の考え方については明確に示していなかったところです」(「義務教育修了者が中学校夜間学級への再入学を希望した場合の対応に関する考え方について(通知)2015.07.30」)と通知文に書いている。

 大事なことなので正確に書いておくと、文科省と全夜中研の話し合い(2012.09.14)で文科省担当者は「校長先生が卒業認定をされて卒業したということになりますので、再び中学校に入学することはできない」と答え、2014年になると「(形式的に義務教育修了者になっているとき)その生徒が(夜間中学入学を)希望した場合、その学習機会確保をどうしていくかということは大変重要な課題であると認識している」(2014.07.31)と変化し、通知文となる。

 それにしても入学できないと言っておきながら、「その考え方を明確に示してこなかった」といえると言ってのける図太さを論破するためにも、夜間中学の教員は当然だが、夜間中学生徒会の役割はますます重要だ。この見解によって、どれだけの入学希望者が断られてきたことか。形式卒業者の夜間中学入学ができるようになってよかったではないはずだ。

 
 
 
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