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夜間中学その日その日 (663)

  • 白井善吾
  • 2020年1月29日
  • 読了時間: 4分

 夜間中学 いま の課題   ①

 夜間中学の就学援助について、「学齢の子どもたちに対し、国が負担している部分を、府が負担します。残り二分の一を設置市が負担してください。そして設置市以外の人たちが学べるように」と、全国に先駆けて実施してきた、大阪府が誇るべき、夜間中学の就学援助制度であった。夜間中学生や夜間中学育てる会の要望を受け、1972年当時の黒田了一知事が決断し、創設した。

 2008年、橋下知事は、夜間中学が義務教育だというなら、昼の小中学校と同じように、国が負担すべきだと主張した。その制度を誕生させるまで、引き続き肩を入れ、制度創設に努力するのが責任ある首長だと考えるが、橋下知事は府負担の廃止を強行した。

 2008年以前から、守口の夜間中学生は居住市の教育委員会を訪れ、通っている夜間中学について話合いを行ってきている。2008年以降、夜間中学の就学援助制度を作ることを訴えるため、近畿夜間中学校生徒会連合会とともにとりくんできた。

 「ただでさえ、府は負担を市に押し付けてきて、さらに負担をせよとは」、本音で拒否の主張をした居住市の就学援助担当者の迷惑タップリの顔を忘れることはない。夜間中学の就学援助が、通学する条件として重要であることを知っている夜間中学生はひるむことはなかった。これから入学する後輩のためにも、あらゆる機会を通してその充実と必要性を主張していった。学校公開で夜間中学の授業参観に参加した、大阪府教職員組合の先生方の支援の輪が広がったことも大きかった。吹田市、摂津市、枚方市、大東市、門真市‥夜間中学生の主張に理解を示し在学期間中の就学支援をする制度を立ち上げていく、共闘の闘いが展開された。

 一方で居住市の教育委員会担当者の意識の中にある、「学齢時に義務教育を受けることのできなかった〝気の毒な人〟に勉強できるように〝してあげている〟という意識を夜間中学生は見逃さなかった。

 どのようにすればこの誤った考え方を変えることができるか、どうすればよいか、話し合った。私たち夜間中学生は社会的にそんな立場の人間なのか?私たちがこの社会で、夜間中学生であることを、いま学ぶことを誇りに思っていることを主張し、夜間中学で取り組んでいることに教育委員会の方や市長さんの理解を促すために、夜間中学にも来ていただこうと訴えた。

 私たちの横に座って夜間中学の授業を一緒に体験していただく。また、昼の子どもたち、小中高校そして大学生、さらには学校の先生たちともとりくんでいる。各学校に出かけて行って語りかけているとりくみは、胸を張って言える。このようなとりくみをしているところは多くある学校現場で夜間中学以外にあるだろうか。〝気の毒な人〟や〝してあげている〟と思われているのか?率直にお尋ねしたい。理解が進まない回答を繰り返す教育委員会にこのように尋ねたこともある。

 守口夜間中学は1990年には、労働組合組織「連合大阪」の学校訪問を受けた頃から、意識的に夜間中学が今、存在することの意味を訴えるとりくみを行ってきている。夜間中学の学びや、夜間中学が存在し、何を行っているかを積極的に訴えていく。このとりくみは夜間中学“応援団”として機能し、夜間中学の増設に大きく力を発揮すると考える。それが実を結ぶときが2020年、今ではないだろうか。このとりくみは継続が重要だ。

 その力を発揮するのが夜間中学の「学び」の内容だ。

 夜間中学で追求している学びを文字にすると、「奪いかえす文字やコトバは、明日からの生活をかちとる智恵や武器となるものでなければならない。地域を変え、社会を変えていく力となる学び」ということになる。それを次の六点にまとめている。

  • 自らがおかれている立場を表現する力

  • 自らがおかれている歴史認識ができる力

  • 現代社会の諸問題に対し、人権・権利の主張と行動ができる力

  • 民族の自文化を大切にする力

  • 自然が発しているさまざまなシグナルを受けとることができる力

  • 生命系全体の共存を展望し実践する力

    【『夜間中学からの「かくめい」』解放出版社刊127頁】

 私たちは「教育機会確保法」の公布以前に、上に記した実践を行ってきている。それをしぶとく、継続すること、これが夜間中学 いま の課題ではないだろうか。

 
 
 
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