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夜間中学その日その日 (674)

  • 細川英輔(高知県に「夜間中学」つくる会)
  • 2020年3月25日
  • 読了時間: 4分

高知からの「便り」(2) (2020.03.15)【注*】

 高知県教育委員会は2020年2月28日の県議会で、来年4月の開校を目指す公立中学校夜間学級(夜間中学)について「高知江の口特別支援学校(高知市新本町2)の校舎を活用する」方針を示しました。

 同校は来春、高知市大原町への移転が決まっており、JR高知駅に近いことが最大の決め手になりました。これで「県内初の夜間中学」は大きく前進し、今後は具体的な教育内容の決定と生徒募集、さらに第2、第3の施設整備が課題となります。

 私たちは2018年12月の発足以来、学習会の開催や県教委主催「夜間中学体験学校」への参加などで、微力ながら夜間中学開設に向けた世論形成を後押ししてきました。これからも「生徒が主体」の学校づくりのため汗を流す所存です。多くの皆様の支援と協力をお願いいたします。

 50年目の「全国行脚」

 2月22日は高知市内で「夜間中学に学ぶ」学習会・交流会を開き、約30人が参加しました。全国の夜間中学運動をリードする大阪から昨年9月に続いて4人の協力者・ゲストが高知入りし、盛会でした。

 東大阪市立意岐部「夜間中学生」の門脇勝さんは、「母子家庭」を理由に中学の担任から「非行の濡れぎぬ」を着せられ、以来「教師は敵」と信じて荒れた日々を送ったと自己紹介した後、昨年春から中国残留孤児らとともに学ぶ喜びを「青春まっただ中」と表現しました。

 昨年も来県した卒業生の金夏子さん、金喜子さんは、差別と貧困のため学校に行けなかったこと、子育て中も読み書きができず劣等感に苦しんだこと、60代で入学し誰とでも堂々と話せるようになったことなどを説明、「ぜひ皆さんの力で立派な夜間中学を」と呼びかけました。

 大阪市の昼の教員から夜間中学教員に転じ、今は意岐部夜間中学で教える韓一茂さんは「学び直したいという人は多く、夜間中学ができれば生徒は必ず来る」としながらも、字の読めない人には口コミしかないと指摘し、周囲が積極的に声をかけるよう勧めました。

また、「昼間の中学校と同じことをやれば、生徒は授業についていけず辞めていく。教科書も配布はしますが、教材はすべて手作り」とも。近畿15夜間中学の連合生徒会長を経験した金夏子さんは、大阪府の橋下知事(当時)による夜間中学切り捨て施策の一部を生徒会の力で撤回させたことに触れ、「先生には立場上無理なことでも、生徒にはできます」と述べました。

 「つくる会」世話人の1人で、県教委の設けた「夜間中学」設置準備委員会の委員でもある戸田雅威・県人権教育研究協議会代表理事が「準備委員会の協議(注)を経て、県教委は6月県議会に新設夜間中学の概要を報告、9月に学校説明会、10月頃から生徒募集を始める予定」と説明した後、意見交換に移りました。

 参加者からは、学校の位置づけ(本校か分校か学級か)や修業年限のほか「市民としてどう関われるのか」「不登校の子どもの扱いは」などの質問が出ました。外国人児童が在籍する小学校の教諭は「子どもの日本語力は向上しても、保護者は学校からの文書が読めない。夜間中学のことを知らせたいが、仕事や子育てで毎日は通えない」と問いかけました。

 韓さんらは「大阪府下はすべて学級扱いで、神戸は分校。分校だと校内に管理職(教頭)がいるが、学級では本校にハンコをもらいに行くなど面倒」「今は地域によって最長12年。高校入学を目指す外国人の中には半年で卒業する人もいる」「大阪府が来年度から各校に有給の日本語支援指導員を1人ずつ配置するほか、大学生がボランティアで学習支援をする学校もある」「昼間の学校生活には耐えられないが夜間中学なら、という子がいるのは事実。でも学齢期は友達付き合いとの関連もあり、安易に夜間を勧めるのはマイナスになりかねない」などと答えました。

 4人は市内帯屋町の交流会にも参加し、約15人が歓談しました。朝鮮民謡「アリラン」や韓国の歌謡曲も飛び出し、「ともに学ぶ者」として熱い思いを共有したひとときでした。

(注)「夜間中学」設置準備委員会は昨年12月と今年2月12日に開かれ、学識経験者や市町村教育委員会、校長会代表ら13人の委員が「本県にふさわしい夜間中学」について意見を出し合いました。

第1回は▽最初は県立で設置し市町村に波及させる▽まず高知市かその周辺で開校する▽入学対象者は学歴超過者を原則とする、などの県教委方針をほぼ了承。第2回は、入学対象者を巡り「不登校生の一部に特例を認めて」の声が出たことから県教委に努力を求めたほか、▽多様なニーズに対応できる教員の養成▽県民への周知の徹底▽市町村教委との連携強化、などを要望しました。

 2回分の会議録は3月中に、県教委のHPで公開される予定です。

県教委は夜間中学の教育課程について「40分授業を1日4コマで5日間、週20コマで年間35週の計700コマ」と想定しています。昼間の中学校は50分授業を週29コマ、35週で計1015コマとなっています。

 *「夜間中学その日その日670」を高知からの「便り」(1)としています

 
 
 
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