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夜間中学その日その日 (701)

  • 夜間中学資料情報室 白井善吾
  • 2020年8月17日
  • 読了時間: 8分

 「夜間中学その日その日」(700)をジャーナリストネットワールドのコラムに投稿した後、いくつか連絡をいただいた。その一つが「2010年代以降の『確保法』に至る一連の流れは、基本的には、これまでの『排除』を基調にした政策から『包摂』への転換と言えると思います。2010年代以降の政策転換を手放しで喜べるのか、新しい『切り捨て』や『排除』の論理が出てきているのか」との指摘だ。この点について近畿夜間中学校連絡協議会の議論でも、「立法化」にむけて歩み出す展開になったとき、国の政策転換に潜む意図についてと足下を固める理論構築について問題提起があった。しかし、深まらなかった。逆に「法制化は私たちの長い夢であった」と評価する論調が多かった。

 国会での議論の発言要旨を議員、国側の答弁者(大臣以外に拡げて)時系列に沿ってまとめた。要旨をまとめるに当たって、私見が入っていることをお断りする。

 「夜間中学」に関する国会議論(その13-②)

第1回国会 参議院 本会議 第12号 1947年7月5日

 *河野正夫(緑風会):「夜間中学も亦独立校舎を有するものは少ないのであります。現実における教室数は遥かに少ない。そこへ持つて來て、人口の自然増加もございましよう。それ故に今日二万四千の教室の不足になるのは理の当然」

第1回国会 参議院 文教委員会 第8号 1947年9月19日

 *太田周夫(學校教育局高等教育課長):「勤勞青年の教育のために從來の夜間中學はやはり夜間課程の高等學校になります。それから勤勞青年の、職場の關係で夜間部の課程に行けない者も澤山おりまするので、そういう者のために定時制の課程を置くことを考えておるわけであります」

 *河野正夫(緑風会):「大體從來の夜間中學なるものは獨立のもあつたでしようけれども、大體は晝間の中學の附屬のものが多かつた。最近新制中學の設置については、特に獨立の教員組織、できるなら校舍までも獨立というような希望が多く、大體その方向に動いておると思うのであります。夜間高等學校の設置というような場合には、それは獨立を本體とするか乃至は晝間高等を中心として考えて行くのか、その點を序でにちよつと伺いたい」

第10回国会 参議院 文部委員会 閉会後第3号 1951年7月19日

 *矢嶋三義(社会):「最近東京の足立区に夜間中学ができるということについて、近くできるように、事実のように聞いているのですが、全国に60万の不就学児童がある。すべて新学制……教育基本法、学校教育法が出たときには夜間の中学というのは許さない。高等学校の夜間は許すが、中学における夜間は許さない」

 *天野貞祐(文部大臣):「60万の不就学の児童をこのまま放置してはいけないが、そうかといつて直ちにそういう夜間の学校を許すということが果してよいものかどうか、ここに非常な問題があると考えております。よく研究してこの点については改めて御答弁したい」

第15回国会 参議院 文部委員会 第17号 1953年3月5日

 *矢嶋三義(社会):「現在中学校には夜間中学というものは認められてないのですが、若干自然発生的にできております」

 *田中 義男(初等中等教育局長):「夜間中学は御承知のやうに、誠に自然発生的にできておるのでございます。事情は誠に止むを得ないとは考えながら、併し何分にも義務教育ではあり、又他面労働基準法その他との関係もございまして、なかなはつきりと割り切れない困難な事情がございますので、十分慎重な考慮の下に解決をいたしたいと考えておる」

第19回国会 参議院 補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員会 第4号 1954年3月15日

 *参考人 風巻義雄(全国地方教育委員会連絡協議会会長):「(川崎では)いろいろ法規的に不備のところもありますけれども、そのときの調査から見ますと相当多うございまして、今3校を夜間中学としてやつている」

第22回国会 衆議院 文教委員会 第25号 1955年7月12日

 *野原覺(社会):「義務教育学校の生徒は夜間の学校に登校することはできないということになっていると思いますが、夜間中学の生徒が果して東京都内に何人ぐらい入っておりますか」「夜間に入っておるような子供たちに対して市町村では必要な援助がなされておりますかどうか」

 *緒方信一(初等中等教育局長):「これは文部省だけの力では及びませんので、厚生省やあるいは労働省とも協議をいたしまして、あるいは生活保護法の完全な適用その他の方法を一つ講じまして、これらの問題に対処していきたいと思っております」

 *松村謙三(文部大臣):「技術的にそういうことなくして渡せる方法がないかどうかということもよく研究してみなければなりません」

第23回国会 衆議院 文教委員会 第4号 1955年12月8日

 *河野正(社会):「少くとも昼間は働いて夜間学校に行こうというような学問に対する意欲の旺盛な学童たちばかりでございますので、この点は多少長欠の児童とはおのずから性格なり内容なりが違ってくるだろう」

 *竹尾弌(文部政務次官):「夜間中学と申しますのは、昼と同じような資格を与えるところの夜間の中学ということに了解しておりますけれども、そういう点にきましても、これは文部当局といたしましてはできるだけその振興に努力するように努めたい」

 *緒方信一(初等中等教育局長):「夜間中学の問題はそう急速にそれらの点を解消することは現実としてはむずかしかろうと思います。従いまして文部省としてはこれは認めていくわけには参りませんけれども、率直に申しましてそういう現状であるとすれば、やはりそれ相当に何とかやっていけるように方法を講じなければならぬのではないか」

第24回国会 衆議院 文教委員会 第11号 1956年3月3日

 *河野正(社会):「やみの夜間中学というものが続々と作られておりまして、現実の問題におきましては、たとい児童憲章あるいは労働基準法に問題がございましても、夜間中学というものが続々とできておる。たとい法律的に疑問がございましても、困窮中学生に対しまして、今後このような法案の幅が広げてみようという御意思があるのかないのか」

 *清瀬一郎(文部大臣):「中学に対しても同様の措置をとりたいと私は熱望いたしたい」

第24回国会 参議院 文教委員会 第8号 1956年3月8日

 *桐原葆見(参考人 労働科学研究所長):「夜間の定時制高校というのは、あれは定時制といいましても夜間中学校の延長でして、あるいは夜間全日制でございまして、どうも本当の定時制じゃないと思うのです」

第24回国会 参議院 予算委員会 第20号 1956年3月24日

 *矢嶋三義(社会):「義務教育無償について、学校教育で認められていないところの夜間中学、夜間学級というものが事実上ありますが、これをいかにお考えになり、またこれをいかように取扱われるお考えであるか」

 *清瀬一郎(文部大臣):「学校の方の配慮で自然発生的に逐次発生したものであります。しかしながら、今これを一時にやめるということはかえって弊害がありまするから、こういう原因を自然なくするような方に努力いたしたい」

第24回国会 参議院 文教委員会 第12号 1956年3月27日

 *矢嶋三義(社会):「夜間の中学校が行われているわけですが、こういう学校に私は優先的にこの学校給食をやる必要あると考えるが」

 *小林行雄(文部省管理局長):「学校教育法の認めていない夜間中学があるわけでございますが、こういった面については従来からも給食の実施をしたいという話も、実はまだ私ども聞いておりません」「夜間中学の制度につきましては、これはできるだけこれを解消して昼間の中学に直していくようにしなければならぬということになっております」

 *清瀬一郎(文部大臣):「昼に引き戻すまでの間に、現存の事実がございますから、夜間中学の方にもなるべく便宜を与えるような考えます」

 *緒方信一(文部省初等中等教育局長):「現実にあるこういう現実の問題といたしましては、やはり相当勉学の便宜が得られるようにしてやることが至当じゃないかと考える」

第24回国会 衆議院 社会労働委員会 第40号 1956年5月8日

*横山利秋(社会):「私は夜間中学の出身であります」

第26回国会 参議院 文教委員会 第10号 1957年3月11日

 *矢嶋三義(社会):「夜間中学校というのは、これは法的に言えば違反ですからね、どういう基本的態度で臨まれておられるのか」

 *内藤誉三郎(文部省初等中等教育局長):「法に基いて禁止する前に行政指導によって不測の事態をなくする方が先決ではないか」

第26回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第1号 1957年3月29日

 *湯山勇(社会):「夜間の中学校私は生活保護法のもう少し行き届いた扶助があれば、救えるのじゃないかという感じを持つ」

第26回国会 参議院 文教委員会 第16号 1957年4月2日

 *矢嶋三義(社会):「運賃について・・今の学校教育法では夜間中学というのは認められていないのだけれども、経済的な理由から昼間の中学校にいけなくて、法をくぐって夜間中学校に通って、夜間中学を設けざるを得ないという、こういう諸情勢がある」

第28回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第2号 1958年3月24日

 *矢嶋三義(社会):「文部省は学校教育法で認められていない夜間中学校、これにいかに対処されますか」

 *松永東(文部大臣):「うかつな話ですが、義務教育ですから、そうしたもぐり学校なんかがあろうということは思わなかった」

第28回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第4号 1958年3月26日

 *高良とみ(緑風会):「夜間中学校が全国に千校もある。法律上許されないことでありますが、少年保護のことは厚生省だなどと言われないで、こういう人たちは家内工業などにあるのでありますが、それに対して特別に婦人少年局では心配しておりまするが、やはり御考慮いただきたい」(つづく)

 
 
 
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