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夜間中学その日その日 (702)

  • 夜間中学資料情報室 白井善吾
  • 2020年8月21日
  • 読了時間: 8分

 「夜間中学」に関する国会議論(その13-③)1961年~1968年

 初中局初等中教育企画課教育制度改革室長の田中義恭氏の論文「夜間中学の設置促進と日本語教育等の充実に向けた文部科学省の取組―文部科学省の施策担当の立場から―」(「早稲田日本語教育学」 28号 2020.06)では文部省(当時)の夜間中学に対する見解について、田中氏が直接述べるのではなく、研究者の論文を引用して述べる方法をとっている。

 「当時の文部省の対応について、大多和(2017)は、『法制度的に『正規に認めることは困難』だが、『趣旨については一応認められる』』というものであったと指摘している」。こんな述べ方もあるのかと思ったが、論文で「筆者は、文部科学省において夜間中学を担当しており」と立場を明らかにしているが、その立場から文部・文科省の考えを述べるべきではなかったと考える。文部・文科省の夜間中学に対する認識の変遷を述べるだけで、多くの頁を割いてしまうのを回避するためとも考えられるが、認識は一貫していない。国会議論を見ても明らかだ。

 13-③では1961年から1968年を取り扱うが、荒木萬壽夫・文部大臣は「夜間の義務教育の学校があるということは許されない‥」(1963年)と述べ、「やみの学校」という語彙も多用している。

第38回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第3号 1961年2月28日

 *湯山勇(社会):「夜間中学校へ行っておる生徒の数はどれくらいございますか」「夜間中学というのは端的にいえば法律違反です。これを大臣は放置されるお考えなのか」

 *荒木萬壽夫(文部大臣):「その原因を探求して、それぞれ措置して、結果としてやみの中学がなくて済むようにするという努力をいたしたい」

第38回国会 参議院 文教委員会 第10号 1961年3月10日

 *矢嶋三義(社会):「夜間中学校というのができておるわけですね。これは学校教育法反ですよ。憲法の完全実施という立場から、これらには異常なる決意をもって対処しなくちゃならぬと思うのですが、大臣の抱負と決意は」

 *荒木萬壽夫(文部大臣):「まさしくこれは法律制度違反の姿であることは間違いない。にもかかわらず、現実にはあるというところに悩みがあるわけでございますが、いわばやみの中学校なわけですから、やみの学校をなくするために、文部省としても極力房力をいたしていかねばならぬ」

第40回国会 参議院 予算委員会 第11号 1962年3月12日

 *高田なほ子(社会):「夜間中学の存在について、どう考えられますか」「厚生省、文部省、大蔵省三者によって、これらの子どもたちに対する国の手が伸べられなければならない、保護行政としてやらなければならない、こういう観点に立つものである」

 *荒木萬壽夫(文部大臣):「夜間中学ということは、学校教育法上許されないやみの存在だ」「やむを得ざる必要悪として存在していると受け取っております」「何とかしてこれを解消する努力をしなければならんと思って、私どもの責任として、せっかく努力中」「予算化するということは、夜間中学としての制度を認めるという前提に立って初めて成り立ち得ることでございますが、文部省の立場においては、夜間中学を制度

として認めるという結論にはちょっと到達しかねる」

 *灘尾弘吉(厚生大臣):「結局文部省を中心といたしまして、われわれも協力いたしまして、この問題の解消に努力する」

第43回国会 参議院 予算委員会 第15号 1963年3月19日

 *鈴木強(社会):「夜間中学等をやっているところがあるようですけれども、そういうところに通っている生徒の数は何名」

第43回国会 参議院 文教委員会 第14号 1963年3月28日

 *豊瀬禎一(社会):「私も昭和30年から32年まで福岡市の中学校において夜間中学生を担当したことがあります

 *荒木萬壽夫(文部大臣):「夜間中学の問題は、すでに豊瀬さんみずから触れられましたように、やみの中学でございますから、これを絶滅するということに全力を注ぐべきだ、しかし誤ってでも現にあるから、それに対して夜食その他をやったらどうかという御意向のようですが、それはやるべきでないと思います」

 *福田繁(初等中等教育局長):「援助率を広げることによって私どもはある程度解決できる面もあろうかと考えておる」

第43回国会 参議院 文教委員会 第16号 1963年5月14日  教育文化及び学術に関する調査(夜間中学に関する件)

 *北畠教真(自民):「夜間中学に関する問題と当面の文教政策について調査を進めます」

 *小林武(社会):「夜間中学をしなければならなくなった理由は」「これをやめてしまうということになると、学校に通えないという実情も起こってくるということになりますが、これを一体解決することを文部省で考えて何か実施」

 *福田繁(初等中等教育局長):「7割ないし8割程度はやはり家庭の貧困」「若干時日をかけましても、そういう方向に徐々に持っていくという以外にはなかろうと思っております」「基本的な考え方は一面あるにいたしましても、その現実をやはり認めざるを得

ないわけであります」

 *荒木萬壽夫(文部大臣):「夜間の義務教育の学校があるということは許されない、こうまあ解されて今日にきていると思います」「現状把握をまずやる、その原因の分析をもっと具体的にやる、そうして解消できるものかいなかということを突き詰めて解決策を考える」

 *成瀬幡治(社会):「長欠を解消する努力というものがもっともっとなされて、そうしてその次にくるのが、現にある夜間中学をどうするかという問題になってくるのです。その順序を間違えると申しますか、何かその辺のところは、にらみ合わせてよく調査して、対策を立てるとおっしゃったから、対策を立てて、早急にひとつ委員会に御報告を願いたい」

第43回国会 参議院 本会議 第30号 1963年6月30日

 *柳岡秋夫(社会):「夜間疲れた体にむちをうって中学校に通っているいわゆる夜間中学生が全国的に存在をしているのでありますが、これらの点について大臣はどのように考えておられますか」

 *荒木萬壽夫(文部大臣):「いわば今の学校制度から申せば必要悪とでも申しましょうか、制度上は許されないものでございますけれども、遺憾ながら数は少なくても存在していることは事実でございます。遺憾なことだと思います。毎年、地方公共団体ともども、これを解消する方向へ努力はいたしておりますが、実際のところ、その実態把握につきまして十分でない点もあるように考えますので、十分にその実態を把握いたしまて、万全の掛買を講ずるようにいたしたい」

第46回国会 参議院 予算委員会 第6号 1964年3月4日

 *山高しげり(第二院クラブ):「、夜間中学校というものが一部の大都市に存在をいたしております。国としては、いつまでこういう問題をこのまま放置をなさるのだろうと思わないわけにまいりません。積極的に何年後には夜間中学校は解消させるというような明確な御方針はないのか」

 *灘尾弘吉(文部大臣):「何年先というふうなことを明確に申し上げるわけにはまいりませんけれども、私どもは、個別的な指導も加え、また協力もいたしまして、すみやかにこのような現象の解消するように努力する」

第46回国会 参議院 予算委員会 第16号 1964年3月19日

 *藤原道子(社会):「(夜間中学があること)進学中心のいまの学校の教育、そこに問題があるのじゃないかと思いますが」

 *灘尾弘吉(文部大臣):「文部省としましては、たてまえ上は夜間中学というものを認めてはおらない」

第46回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第3号 1964年3月27日

 *藤原道子(社会):「夜間中学というものがあってはならないわけなんです。ところが現実にはあるわけです。それで、これをあまりやかましく言うと、これを夜間中学を禁止されては困るというような板ばさみになっておりまして、私のほこ先も鈍るわけでございますけれども、ここに働く子供たちの保護を、私はぜひお願いしたい」

 *谷野せつ(労働省婦人少年局長):「文部省のほうに申し入れをいたしましてパンあるいはバターをつけたパンを何とか与えてもらうようにということの希望意見を述べてある」

第48回国会 参議院 予算委員会公聴会 第2号 1965年3月18日

 *林丈樹(東北大学大学院生):「夜は学校等に行って勉強している夜間中学生さえいる」

第48回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第3号 1965年3月29日

 *小林武(社会):「とにかく認めてくれるのか認めてくれないにしても何とか財政的にちゃんとしたものを確立してくれるのか、態度をひとつここで文部大臣から御披露を」

 *愛知揆一(文部大臣):「基本的にできるだけ昼間の中学校へ通学するように、そうして通学できない事情を取り除いてあげるということが基本の姿勢であるべきではなかろうか」

 *福田繁(初等中等教育局長):「一時3,000人以上もございました夜間中学の生徒も、現在におきましては六百人程度に減少いたしております。私どもとしては、できる限り従来の方向をさらに強化してまいりたいというふうに思っております」

第55回国会 参議院 逓信委員会 第4号 1967年3月30日

 *横川正市(社会):「夜間中学、高校を出た者——定時制ですね、定時制を出た者を昼間と同等に受け入れてもらいたいとか、独学でやった者についても同等の取り扱いをすべきだとか、いろいろあるわけですが、そういうことを言ってみても」

第58回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第3号 1968年4月12日

 *山高しげり(第二院クラブ):「行政管理庁から文部省へ、夜間中学校をなるべく早く廃止をするように指導をすることというような勧告が行なわれたようでございますが、そのことにつきまして、その後文部省としてはどんなふうに考えているか」

 *灘尾弘吉(文部大臣):「夜間中学を合理的に整理していくといいますか、解消していくということで、文部省としても努力しなければならない」

 *天城勲(初等中等教育局長):「この問題は二つに分けて考えなきゃならぬと思っております。特に学齢にある子供につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、主として経済的な面からの援助と、それから昼間の学校に行くことについての指導というような、両方を進めている」「高年齢者の問題につきましては、だんだん数が減るとは思いますけれども、いまこの中学校を開いている段階で、これらの人を拒むというこ

ともできませんので入れておりますが、行く行くは成人講座、あるいは先ほど申しました通信教育その他の方向にだんだん解消していかなきゃならぬのじゃないか」「夜間中学について具体的にどうするかという具体的方策を、率直に言って、持っておりません」

第58回国会 参議院 予算委員会 第18号 1968年4月12日

 *宮崎正義(公明) 第四分科会の報告:「夜間中学の廃止問題」

 
 
 
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