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夜間中学その日その日 (707)

  • 夜間中学資料情報室 白井善吾
  • 2020年9月9日
  • 読了時間: 7分

 「夜間中学」に関する国会議論(その13-⑥)(1980年~1984年)

行政管理庁の勧告に対する見解を問われ、鈴木勲初中局長は「25条の5号が夜間学級の根拠規定というふうには私どもは考えていない」「法的にはやはり問題があるということは行管庁の勧告の指摘するとおりだと思います」(1983.05.13)と答えている。学校教育法施行令(政令)の25条5号は根拠の法律ではないという。しかし、髙木義明文科大臣はこの見解を否定する。「中学校の夜間学級については、学校教育法施行令第二十五条というところで、きっちり法的な根拠がある」(2011.04.06)と答弁している。

 違うといったり、根拠の法律であるといったり、文部省の答弁は揺らいでいる。かつて質問に正直にお応えなっている大臣があった。松永東(文部大臣):「うかつな話ですが、義務教育ですから、そうしたもぐり学校なんかがあろうということは思わなかった」(1958.03.24)と議事録にある。スピーチライター(役人)が書いた原稿を投影するプロンプターを丸読みするのではなく、質問を聞いて率直に答弁なさったのであろう。

第92回国会 衆議院 本会議 第3号 1980年7月22日

 *横山利秋(社会):「私は三歳にして父を失い、貧困の中で母は約20年間、内職で私を育ててくれました。この間、給仕から国鉄への就職、働きつつ夜間中学、さらに遠く中支の戦場に赴き、戦後、混乱期を労働運動に挺身したものでございました」

第94回国会 衆議院 社会労働委員会 第7号 1981年4月9日

 *小沢和秋(共産):「国としても直ちに都などに対して援助の手を差し伸べて、少なくとも希望する人たちが日本語を勉強できるような保証を与えていただきたいし、東京だけに偏って集中するという背景にはいま言ったようなことがあるんですから、どうしても地方にその実態に即して計画的に配置をするということを考えなければいけないんじゃないでしょうか、文部省にお尋ねします」

 *垂木祐三(初等中等教育局中学校教育課長):「中学校の勉強をするということよりもどちらかと申しますと日本語の勉強をしたいんだ、こういうような気持ちが強いわけでございます。中学校という面から申しますと、日本語、国語以外にもいろいろな教科を勉強しなければならないというようなカリキュラムの上のむずかしい問題もいろいろあるわけでございます。そういうようなことを含めながら今後考えていかなければならな

い」

第94回国会 衆議院 文教委員会 第14号 1981年5月8日

 *参考人 尾形 憲(法政大学経済学部教授):「38歳になる主婦が、義務教育も受けられなくて、やっと38歳になって夜間中学に行くようになった。夜間中学は文部省からも日教組からも見放された存在です。そういうところへ38歳になる大人が一生懸命来て「あいうえお」から始めて字を覚えよう、奪われた字と、それから計算を奪い返そうということで必死になって学んでいる、そういう人たちに来て話をしてもらいます。そうすると、いままでぬくぬくと大学まできた学生たちは愕然とします。そういうような形で、学ぶというのは一体何なのかという一つの問題意識、これをまず持たせるということが大前提ではなかろうか」

第95回国会 参議院 文教委員会 第3号 1981年10月27日

 *(夜間中学問題に関する件)/佐藤昭夫(共産):「夜間中学に学ぶことによって人間としての生きる力を自覚し、感動的に学校を巣立つでいっている姿、これも御存じのところであろうと思いますけれども、この夜間中学問題を文部大臣としてはどういうふうに今日の教育の中で位置づけをされておるか、理解をされておるか」「夜間中学などの一層の充実を図る方向でむしろ文部省の施策は考えていくという方向でやっていく必要が今日あるんじゃないか」

 *田中龍夫(文部大臣):「戦後におきましての非常な教育の施設やあれが不備な時代に勉強ができなかった方、特に夜間中学の場合におきましては、高齢者と申しますか、相当な年輩の方がやはり再就学しておられるのでありまして、こういう方々に対する教育というものは特に大事なものである」

 *三角哲生(初等中等教育局長):「都道府県レベルの単独負担で教員を配置するというか、あるいは全体の定数の中で配置のやりくりをする」「臨調との関連は、私はこの問題とは直接にはかかわってこないんではないか」

第96回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第3号 1982年3月1日

 *長田武士(公明):「都内に八つありますところの夜間中学校に通う生徒の約半数が中国からの引き揚げ者であると言われておるわけであります」

 *室屋晃(文化庁文化部国語課長):「夜間中学校の先生方や引き揚げ者、関係者の方々から実際生活に即した教材の強い要請がありますので、文部省におきましては、昭和57年度予算案に新規事業といたしまして、実際的な生活適応にすぐ役立つ日本語教材、これは日中対訳のカセットテープつきの学習書を予定しております」

 *福田昭昌(文部省初等中等教育局中学校教育課長):「中学校夜間学級に在籍しております中国からの引き揚げ者の数は、昭和56年5月1日現在の調査によりますと、東京都、大阪府、広島県など五都府県に20校、338人というふうになっております。なお、このうちの4校には日本語学級を置いておりまして、190人が在籍をいたしております」

第96回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 1982年4月6日

 *矢山有作(社会):「本格的に政府が取り組まぬから、見るに見かねて福祉協議会が取り

上げたりあるいは夜間中学校が自発的にやったりあるいは今度私立大学がまた自発的

にやるということになっているのですから」

 *中村賢二郎(文化庁文化部国語課長):「学齢期の児童、生徒につきまして、学校において日本語指導に特別の配慮をいたしておりますし、成人につきましては、夜間中学校などで日本語の学習をお助けしているというふうな施策を講じているわけでございます」

第96回国会 参議院 文教委員会 第9号 1982年4月15日

 *小野明(社会):「夜間中学。この実態を文部省の方はつかまえておられますか」「この夜間中学というのは安全会の対象になりますか」

 *高石邦男(文部省体育局長):「なります。そして現にほとんどの夜間中学校は安全会に加入しております」

第96回国会 参議院 文教委員会 第10号 1982年4月22日

 *本岡昭次(社会):「定時制高校とかあるいはまた夜間中学校というふうなものが現に存在をするのですが、そういうところの学校医というのはこれはどうなっているのですか」

第98回国会 参議院 文教委員会 第4号 1983年3月24日

 *柏原ヤス(公明):「最も必要な日本語教育、受け入れのうちで第一に整備をしなければならない日本語教育の施設はどうなっているのか」

 *鈴木勲(初等中等教育局長):「いわゆる夜間中学と申しますのは中学校の夜間学級ということでございますが、これは義務教育を終わっていない学齢超過者と申しますか、そういう者に対して教育を施すという意味では意義のあるものでございますけれども、いま御指摘の対象となっております者は日本語の習得を主たる目的とする成人の引揚者でございますから、これは中学校の性格上、教育課程とかいろんな点で問題があります」

第98回国会 衆議院 決算委員会 第4号 1983年3月25日

 *新村勝雄(社会):「(引揚げ帰国者の)最も必要な日本語教育、受け入れのうちで第一に整備をしなければならない日本語教育の施設はどうなっているのか」

 *石井久夫(社会教育局社会教育課長):「市あるいは区立の夜間中学校において、成人帰国者を対象にいたします日本語を中心とする教育を行っておりますところが実態として57年5月1日現在18校あるわけでございまして、こういうところでも教育を受けているわけでございます」

第98回国会 衆議院 文教委員会 第8号 1983年5月13日

 *三浦隆(民社):「文部省にだけは任しておれぬぞというふうなことで、自然発生的に夜間中学あるいは人呼んで夜間学級なり二部学級と呼ばれるものが生み出されて今日まで及んできているのだろうと思いますけれども、そうした夜間中学の実情、現状についてお尋ねしたい」「夜間中学は法上認められないとこの行管庁の勧告には書いてあったようですが、これに対して文部省の御見解を尋ねたい」

 *鈴木勲(初等中等教育局長):「25条の5号が夜間学級の根拠規定というふうには私どもは考えていないわけでございます。したがって、法的にはやはり問題があるということは行管庁の勧告の指摘するとおりだと思います」

第101回国会 参議院 文教委員会 第15号 1984年7月19日

 *参考人 尾形  憲(法政大学経済学部教授):「夜間中学のような見捨てられた存在については金をかけない、そういう思想につながります。むしろ、ハンディキャップがあるそういうところほどお金をかける、それが大体二十六条の精神ではないか」

第101回国会 衆議院 社会労働委員会 第26号 1984年7月19日

 *森本晃司(公明):「通学という点が、孤児の皆さんの中では、社会に帰って、そして夜間中学でもあれば学びたいんだという御意見も非常に多いわけでございます」「夜間中学とかそういった部門も援護局として考えていかなければならないのじゃないだろうか」

 
 
 
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