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夜間中学その日その日 (713)

  • 夜間中学資料情報室 白井善吾
  • 2020年10月6日
  • 読了時間: 7分

 「夜間中学」に関する国会議論(その⑨)(2003年~2009年)

 1997年4月から2003年3月まで約6年、夜間中学の国会論議はなかった。2000国勢調査結果が公表され、未就学者、義務教育未修了者について議論になっている。

 「義務教育未修了者に対する対策と夜間中学校の充実・拡大に関する質問主意書」(吉川春子議員1984.12.28)に当時の中曽根首相は「学校教育法により9年間の義務教育を受けるべき者のうち、義務教育を修了していない者の数を把握することは極めて困難であるが、学校基本調査、国勢調査報告等を基に推計してみると、約70万人程度と考えられる。ただし、これには病弱等の事由により就学義務の猶予・免除を受けた者が相当数含まれている」と答弁書を提出している(1985.01.22)。それにしてもひどいオカミ目線の答弁書だ。

 答弁書にある、義務教育未修了者の70万の算出根拠は?と質問され、「約20年前のことでございまして、どういう形の推計をしたかという資料が残ってございませんので、その辺については恐縮でございますが、きちんと御説明することはできません」との答弁である。

 私たち夜間中学増設運動全国交流集会では算出根拠を示した上で170万人だと報告している(『ザ・夜間中学』開窓社1986.1130)(『勉強がしたい 学校がほしい』宇多出版企画 1994.03.30)など。

2020国勢調査は10月7日で調査期間が終了する。

第156回国会 参議院 文教科学委員会 第4号 2003年3月26日

 *畑野君江(共産):「約70万人という数字自身が大変大きな数であると思いますけれども、具体的にどのような調査から算出されたのか」

 *矢野重典(初等中等教育局長):「義務教育を修了していない者の数は把握するのは困難であると、そういう前提で学校基本調査それから国勢調査報告書等を基に推計してみると」「約二十年前のことでございまして、どういう形の推計をしたかという資料が残ってございませんので、その辺については恐縮でございますが、きちんと御説明することはできません」「夜間中学校につきましては一定の役割を果たしているというふうに認識をいたしておりますけれども、これは、その開設につきましては、これは地域の実情等を踏まえ各市町村において判断されるべきもの」

 *遠山敦子(文科大臣):「それぞれの設置者たる市町村がしっかり判断してやってもらいたいと思います」

第159回国会 参議院 文教科学委員会 第5号 2004年3月25日

 *山本正和(無所属の会):「お年寄りが一生懸命学んでいる姿たくさんあるんですよね、子供たちの姿も。夜間中学でも、こんな制度ありますか、世界じゅうで。そういうものを宣伝していただきたい」

第162回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 2005年2月25日

 *太田昭宏(公明):(「夜間中学の」認識について、国勢調査の教育の項目の調査区分を改善する必要)「全都道府県及び全政令指定都市に一校は夜間中学校を設置する等の方向を打ち出すということが必要だ」

 *銭谷眞美(初等中等教育局長):「各市町村においてその設置については判断されるべきもの」

 *中山成彬(文科大臣):「夜間中学校というのは日本語教育を専門とする教育施設とはちょっと異なりますので、これを専ら在日外国人に日本語教育の場として提供するということはなかなか難しいかと思う」

第164回国会 衆議院 教育基本法に関する特別委員会 第11号 2006年6月7日

 *参考人 堀尾 輝久(東京大学名誉教授):「夜間中学校の問題も同じような、初めてそこで救われたという、そこに教育があるからなんですね。そこに教育があるからだといったことと、今、つまり、現実に競争競争、評価評価ということで縛られているところに本当に教育はあるのかという問題と実は対比させて考える必要がある」

第165回国会 衆議院 青少年問題に関する特別委員会 第3号 2006年11月16日

 *参考人 本田由紀(東京大学社会科学研究所助教授):「年長者、今、夜間中学で学んでいらっしゃるような年長の方、あるいは御老人の方に、日中にやっていらっしゃる通常の中学校に来ていただくとか、そういう異質な他者にできる限り入ってきてもらうようにして、均質なメンバーの中で本当に微妙な違いによっていじめが生じるような現状を、明らかな差異というものがメンバーの中に生まれることによって除外していくようにできないかと思っております」

第166回国会 参議院 決算委員会 第5号 2007年4月23日

 *神本美恵子(民主):「私自身も夜間中学という存在について認識をしたといいますか、それは、十年ほど前に日教組の役員で東京に来たときに、たまたま私が教育文化の担当をしておりましたので、そこに高野雅夫さんという方がいらっしゃいました。夜間中学を全国に設置する運動をしている、たった一人で全国行脚をしているというふうに来られて、そのときに御自身で書かれた本、「タカノマサオ」という本をいただいて読ませ

てもらって、もう大変強烈なショックを受けました」「こういう義務教育未修了者の人たちに対して夜間中学を各都道府県に最低でも一校はつくってほしいという願いがあるんですが、それについて、その二つ、夜間中学の存在と役割についての認識と、それから一校でも多く設置をという、これについて文科省のお考えをお聞かせいただきたい

と思います」

 *伊吹文明(文科大臣):「私は夜間中学校というものをすべて否定するつもりはありませんけれども、実態的にはかなり昔のイメージとは変わってきている」

 *銭谷眞美(初等中等教育局長):「義務教育未修了のまま学齢を超過した方に対する学習の機会を提供するということで、一つの意味合いというのは持っているというふう考える」「市町村の教育委員会が地域や学校の実情等、諸般の事情を勘案しながら判断をすべきもの」

 *川崎茂(総務省統計局長):「国勢調査におきましてこれをさらに小学校と中学校ということで細分化することにつきましては、正確な記入がどれだけできるかという、その記入の正確性の担保ということが難しいということも考えられますので、実態としまして

はこれを分けていくのはなかなか困難なことではないか」

 *加茂川幸夫(生涯学習政策局長):「国勢調査におきましてこれをさらに小学校と中学校ということで細分化することにつきましては、正確な記入がどれだけできるかという、その記入の正確性の担保ということが難しいということも考えられますので、実態としましてはこれを分けていくのはなかなか困難なことではないか」

第166回国会 参議院 文教科学委員会 第18号 2007年6月7日

 *参考人 梶田 叡一(兵庫教育大学学長):「息子は10年ほど前に1年間、大阪の府立高校の定時制の理科の先生をやりましたけれども、そのときに驚きましたのは、その高校は半分が夜間中学から来られた生徒、それから半分がそうでない普通の、普通のといいますか、若い生徒だったんですけれども、ともかく数学と理科はほとんど分からない

という生徒たちでした」

第171回国会 衆議院 文部科学委員会 第2号 2009年3月13日

 *小宮山洋子(民主):「小学校に未就学あるいは中学校に未就学がどれだけいるかこの実態把握は?」「民主党は、参議院に提出する学校教育環境整備法案に夜間中学や外国人学校の環境整備も入れているんです」

 *塩谷立(文科大臣):「もっと広く全国的にということは今後検討をしていく必要があると思っております。それは、教育の機会均等という観点でも今後検討してまいりたいと思います」

 *金森越哉(初等中等教育局長):「国勢調査の調査項目において義務教育未修了者が判明できるような形にするのは困難であるという旨、総務省からお伺いしている」

第171回国会 参議院 文教科学委員会 第2号 2009年3月17日

 *山下栄一(公明):「(夜間中学を)きちっと生涯学習体系の中で位置付けてもいいのではないのかな」

 *金森越哉(初等中等教育局長):「(夜間中学は)義務教育の未修了者で学習意欲を有する者に対して義務教育を受ける機会を提供しており、国民に対して広く教育の機会を提供するという観点から一定の役割を担っているものと考えております」

第171回国会 参議院 総務委員会 第13号 2009年4月16日

 *加藤敏幸(民進):「夜間中学をこれからどうしていくんだという議論だって社会的に抱え込んでいくわけですから」

 
 
 
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