夜間中学その日その日 (716)
- 夜間中学資料情報室 白井善吾
- 2020年10月26日
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「夜間中学」に関する国会議論(13-⑫)2017年~2018年
教育機会確保法が施行公布し、衆参本会議の施政方針演説で安部首相「若い頃、何らかの事情で学校に通えなかった皆さんには、夜間中学での学びの場を提供してまいります」(2018.01.22)。施政方針演説で一国の首相が夜間中学にはじめて触れた事例ではないか。
しかし、国会は法律を作って、地方自治体に夜間中学開設の義務を課すだけで、政府はお金を出さない。しわ寄せはすべて地方自治体に。夜間中学生は広域から通学する、交通費は高額になる。「私の永年の想いを果たすため、夜間中学に入学した。子どもに援助してくれとはいえない」と語った夜間中学生がいた。この状況はいまも変わらないはずだ。居住地には夜間中学はない。他市の夜間中学に通うことになる。「就学援助は設置している行政で」が以前の国の返事であった。1970年代初め、夜間中学の就学援助をと、大阪府は国に要請に行った。国はゼロ回答であった。そこで国に代わって大阪府が二分の一を負担する就学援助制度で夜間中学生と設置行政を支援した。大阪独自の制度を橋下知事が2010年に廃止した。橋下知事は「夜間中学が義務教育だというなら、府ではなく国が負担するべき」と主張した打ち切りを強行した。
国は地方交付税の中に就学援助分を入れて交付している。従って国は実施していると解釈しているから、藤原誠(初等中等教育局長)は「25の市及び区のうち20の市及び区におきまして、一定の要件のもとで夜間中学に通う生徒に対しまして校外活動費、学用品費、修学旅行費などについて経済的な支援を実施している」(2017.03.08)答えている。私たちが求めているのは、夜間中学生の就学援助金として他に流用されることのない形の予算化である。
2021年度の概算請求でも文科省は腰が引けている。新しく開設される行政の負担を少なくするため、国はおかねも出すべきだ。

第193回国会 参議院 本会議 第3号 2017年1月25日
*山口那津男(公明)代表質問:「フリースクールや夜間中学など多様な学びの場を提供するための教育機会確保法が議員立法で成立しました」
第193回国会 衆議院 総務委員会 第4号 2017年2月21日
*梅村さえこ(共産):「第14条では、地方公共団体に公立の夜間中学の設置を義務づけているとまず考えてよろしいでしょうか」
*藤原誠(初等中等教育局長):「全ての地方公共団体に対して、夜間中学の設置を含む必要な措置を行うことを義務づけるもの」
*高市早苗(総務大臣):「夜間中学の大切な役割に鑑みまして、さらなる設置の促進に向けて、文部科学省のお話もよく伺いながら、適切に総務省が対応する」
第193回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 2017年2月22日
*稲津久(公明):「公立夜間中学のニーズはどの程度というふうに認識か」
*松野博一(文科大臣):「不登校等による、実質的に十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した者の受け入れ」「夜間中学の意義は大きく、その必要性は高い」
*藤原誠(初等中等教育局長):「基本指針の中に記載することを現在文部科学省で検討している」
*中野洋昌(公明):「文科省として具体的にどういう目標を掲げて取り組みを行っていくのか」
*松野博一(文科大臣):「各都道府県に少なくとも一つは夜間中学が設置をされるよう、その設置を促進していきたい」
第193回国会 衆議院 文部科学委員会 第1号 2017年3月1日
*松野博一(文科大臣)所信表明:「いじめや不登校への対応、多様な場で学ぶ子供への支援、夜間中学の設置促進、家庭教育支援の充実などにしっかりと取り組みます」
第193回国会 衆議院 文部科学委員会 第2号 2017年3月3日
*富田茂之(公明):「夜間中学の設置促進についてお尋ねをしたい」
*松野博一(文科大臣):「都道府県が夜間中学を設置した場合についても、教職員給与の三分の一を国が負担すること」
第193回国会 参議院 文教科学委員会 第2号 2017年3月7日
*松野博一(文科大臣)所信表明:「いじめや不登校への対応、多様な場で学ぶ子供への支援、夜間中学の設置促進、家庭教育支援の充実などにしっかりと取り組みます」
第193回国会 衆議院 文部科学委員会 第3号 2017年3月8日
*畑野君枝(共産):「生活保護受給者やそれに近い生活条件の生徒も多くて、就学援助を希望する方も少なくありません。この経済的に苦しい生徒への支援はどうなっているのか」
*藤原誠(初等中等教育局長):「25の市及び区のうち20の市及び区におきまして、一定の要件のもとで夜間中学に通う生徒に対しまして校外活動費、学用品費、修学旅行費などについて経済的な支援を実施している」
*松野博一(文科大臣):「予算案において、経済的支援のあり方の検討も含めた、夜間中学の新設や既存の夜間中学における教育機会の提供拡充に向けた調査研究に必要な費用を計上」
第193回国会 衆議院 文部科学委員会 第4号 2017年3月10日
*畑野君枝(共産):「夜間中学に在籍する日本語指導を必要とする生徒も、今回の基礎定数の算定基準に入りますか」
*藤原誠(初等中等教育局長):「当該生徒につきましては今回の基礎定数の算定基準の対象となる」
*谷川とむ(自民):「不登校特例校や夜間学級、夜間中学の整備を進める必要があると考えます」
*富田茂之(公明):「文部科学省として、都道府県に対して、こういう規定ができたから今後こうあるべきだというような何か働きかけは予定されているんですか」
*義家弘介(文科副大臣):「各地自治体において設置に向けた検討が進むよう、夜間中学に関する手引を作成し、各都道府県教育委員会宛てに周知しているほか、平成29年度予算案において、夜間中学の新設に向けた調査研究に必要な経費を計上させていただい
ている」
第193回国会 衆議院 本会議 第11号 2017年3月16日
*永岡桂子(自民)委員会審議報告:「都道府県が設置する義務教育諸学校のうち、不登校児童生徒を対象とする不登校特例校や、夜間に授業を行ういわゆる夜間中学の教職員給与に要する経費を国庫負担の対象に追加すること」
第193回国会 参議院 文教科学委員会 第5号 2017年3月23日
*河野義博(公明):「文部科学省としてどのように都道府県へのフォローを行い、不登校特例校、夜間中学の設置の増加につなげようとしていくお考えでしょうか」
*松野博一(文科大臣):「各地方自治体で設置に向けた検討が進むよう夜間中学に関する手引を作成し、各都道府県教育委員会宛てに周知をしているほか、平成二十九年度予算案において、教員への研修等も含めた夜間中学の新設に向けた調査研究に必要な経費を
計上」
*吉良よし子(共産):「都道府県が夜間中学を設置した場合の教職員給与を国庫負担の対象とすること・・、賛成だ」
*木戸口英司(自由・社民):「夜間中学の設置促進を目指したものでありますが、地方自治体におけるこれらの学校の新設に向けた動きについて現状をお伺いいたします。進んでいない理由は?」
*松野博一(文科大臣):「不登校特例校や夜間中学を都道府県が設置した場合の教職員給与費を国庫負担の対象とすることで都道府県による設置に向けた取組が促進される」
第193回国会 参議院 内閣委員会 第10号 2017年6月6日
*杉尾秀哉 (民進党):「前川さんはこれ以外も、夜間中学校の先生、これ、現職の当時から夜間中学校の意義というのを唱えられていたみたいですけれども」
第195回国会 衆議院 文部科学委員会 第2号 2017年11月29日
*林芳正(文科大臣)就任演説:「夜間中学の設置、充実、などにしっかりと取り組みます」
第195回国会 参議院 文教科学委員会 第1号 2017年11月30日
*林芳正(文科大臣)就任演説:「夜間中学の設置、充実しっかりと取り組みます」
第196回国会 参議院 本会議 第1号 2018年1月22日
*安倍晋三(内閣総理大臣)施政方針演説:「若い頃、何らかの事情で学校に通えなかった皆さんには、夜間中学での学びの場を提供してまいります」
第196回国会 衆議院 本会議 第1号 2018年1月22日
*安倍晋三(内閣総理大臣)施政方針演説:「若い頃、何らかの事情で学校に通えなかった皆さんには、夜間中学での学びの場を提供してまいります」
第196回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 2018年2月23日
*道下大樹(立憲):「私の選挙区でありますと、札幌市・・公立夜間中学の推進と、自主夜間中学に対する国からの直接的、間接的な支援というものが必要だ」
*高橋道和(初等中等教育局長):「夜間中学校に通う学齢経過者に対する通学費等の支援といった課題もございます」
*常盤豊(生涯学習政策局長):「自主夜間中学に係る取組につきましても、各地方公共団体において、地域の実情に応じて適切な措置が検討されるように促す旨、支援についても定めた」
*佐藤英道(公明):「夜間中学の設置については、首長に直接働きかけることも大変に有効である」
*林芳正(文科大臣):「この基本指針に基づきまして、各都道府県に少なくとも一校は夜間中学が設置されるように、市町村長等に対して設置を働きかけることも含めて、必要な取組を行ってまいります」
第196回国会 参議院 文教科学委員会 第2号 2018年3月20日
*林芳正(文科大臣)所信表明:「夜間中学の設置、充実、家庭教育支援の充実、学
校安全の推進などにしっかり取り組みます」
第196回国会 参議院 文教科学委員会 第3号 2018年3月23日
*神本美恵子(立憲):「名古屋市教委‥夜間中学のことで衝撃を受けたとか、幾つになっても学びたい人がいると分かったので、中学生の僕も一生懸命学ぼうと思った」
第196回国会 衆議院 文部科学委員会 第1号 2018年3月23日
*林芳正(文科大臣)所信表明:「夜間中学の設置、充実、家庭教育支援の充実、学校安全の推進などにしっかりと取り組みます」
第196回国会 衆議院 本会議 第13号 2018年3月29日
*末尾記載質問書
第196回国会 衆議院 本会議 第23号 2018年5月8日
*末尾記載質問書
第196回国会 参議院 文教科学委員会 第15号 2018年6月12日
*伊藤 孝恵(国民民主党):「日本語教育実態調査では自主夜間中学なども含めて、主には善意によって学びの場が提供されている状態です」
*神本美恵子(立憲):「髙野雅夫」「『学ぶたびくやしく学ぶたびうれしく』守口夜間中学」「夜間中学に関して具体的にどのような取組を進めていらっしゃるのか、また予算措置は?」「法制定を受けてこういう自主夜間中学への公的支援は?」「国勢調査」
*高橋道和(初等中等教育局長):「教職員給与費の三分の一を国庫負担」「学齢経過者の実情に応じた指導ができるよう教育課程の特例の制度を創設」「夜間中学の設置促進
及び既存の夜間中学における多様な生徒の受入れ拡大」
*常盤豊(生涯学習政策局長):「公民館を実施場所として提供するなど」
*佐伯修司(総務省統計局統計調査部長):「様々な情報を総合して、しっかり検討してまいりたい」
*林芳正(文科大臣):「私からも総務大臣にはこういう御質問があったのでよろしくお願いしたいと申し上げたいと思っております」
第197回国会 衆議院 文部科学委員会 第1号 2018年11月9日
*柴山 昌彦(文科大臣):就任挨拶「夜間中学の設置などしっかりと取り組みます」
第197回国会 参議院 文教科学委員会 第1号 2018年11月13日
*柴山 昌彦(文科大臣):就任挨拶「夜間中学の設置などしっかりと取り組みます」
第197回国会 衆議院 文部科学委員会 第2号 2018年11月14日
*笠 浩史(無所属):「47都道府県に全て最低一カ所はこの夜間中学をしっかりと開設していくという方針に変わりはないのか」
*柴山 昌彦(文科大臣):「夜間中学の新設に向けた検討、準備を進めていると回答した自治体は6県74市」「夜間中学の設置を進めるためにさまざまな取組をまた進めていきたい」
第197回国会 衆議院 文部科学委員会 第3号 2018年11月16日
*村上 史好(立憲):「夜間中学について、どのような見解か?」
*柴山 昌彦(文科大臣):「学びの場を実質的に提供するということで、極めて重要な取組である」
*永山賀久(文部科学省初等中等教育局長):夜間中学の新設準備について検討していると回答いたしました自治体は6県74市」
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