夜間中学その日その日 (724)
- 夜間中学資料情報室 白井善吾
- 2020年11月26日
- 読了時間: 3分
50年目の夜間中学開設全国行脚「高知」・・高知からの応答(その2)
「夜間中学」についての学習会(主催:高知県に「夜間中学」をつくる会)が2020.11.21、高知市で開かれた。学習会で「大阪の夜間中学から〜共に学びを深めるために〜高知のみなさまに」との報告を行なった。
出典が不明なので、どうかと思ったが,やはり伺っておこうと考え、次のように書いた。
高知県は夜間中学の先進県、かつて14校の夜間中学があった?
南海中学(子ども会として)、汐江中学(?)、 朝倉中学(識字学級的)、安芸中学(‘52~56)、室戸中学(?)、吉良川中学(?)、奈半利中学、安田中学(~‘51)、戸波中学(’50~55 青年団が中心に)、宇佐(土佐南)(‘53~56)、須崎中学(’53~56)円教寺で)、大方中学(‘53~62満行寺で)、宿毛中学、香美赤岡中学(~’54)*但し 出典不明。
もう少し経過を書いておこう。1990年国際識字年にあたり、「夜間中学から」(近畿夜間中学校連絡協議会編集)と題する冊子をつくって、情宣活動を行なった。かつてあった夜間中学も含め、全国の夜間中学一覧表を収録した。髙野雅夫氏の著書など何種類かの資料を参考に、一覧表を作成した。出典を書くべきであったが,今となっては不明となってしまった。4年ほど前、ある研究者から,問い合わせがあった。しかし答えることはできなかった。
2017年に高知に寄せていただくに当たって、高知出身で大阪在住の教員に調べていただいた。結果は、「よく分からない。識字学級のような営みではないか」との回答であった。
そこで、今回、出典は不明であるが、上のように書き、教えていただきたいとして報告した。「しおえ中学」の「しお」の漢字は「潮」と「汐」があるが、「潮江」であればこの学習会場のすぐ近くだ。とにも角にも,うかがう方が早いと考えた。
反応は次の日にあった。「高知市立南海中学では2年程開かれていたと聞いている。詳しく調べる」とのこと。もう一つは、1949年1月24日の朝日新聞(高知版)の記事が送られてきた。
「教室は寺の本堂 救われた長期欠席者」の見出しで,本文は「家庭が貧しいとか、父兄が家庭の手伝いを強いるため、行きたくても学校へ行けない子どもたちのために高岡郡須崎中学校ではPTAと相談し、一昨年3月から同町円教寺本堂で夜学を開いている。開設当時166名からいた長期欠席者が現在では70名ぐらいに減り、年間を通じ166日開いた夜学に、150日以上出席したのが6名もあり、うち3年生の2名は夜学だけで見事卒業の資格を得た。本年も数名の卒業者が出る見込みだと、受け持ちの荒川先生もその熱心さをほめている。=写真は本堂で熱心に夜学する子どもたち」

記事をお送りいただいた方は「荒川先生のおつれあいの方をよく御存知で、もっとしかり聞いておくべきであった」と話されていた。
何人かの方からも、14校について質問があったが、現在わかっているのはこの程度だ。
もう一点付け加えると、 部落解放全国委員会は1953年3月、第8回大会の「当面の活動方針」で「長期欠席児童対策、学力の引上げ、貧困者家庭の児童の教育費、夜間学校の設置、給食、学用品教科書の無料支給、・・」と記述している。