夜間中学その日その日 (1088) 夜間中学資料情報室
髙野雅夫さんの遺志実現にその第一歩 2026.05.02
『髙野雅夫にまなぶ』創刊号 発刊
髙野雅夫さんが生涯をかけ収集、保存していた夜間中学関係資料の一層の活用をと歴史的資料を分析し明日の夜間中学のために生かすため、明らかになったことを報告し公刊しようという長年の想いをようやく実現することができることになった。神戸学院大学 髙野雅夫夜間中学資料室の研究誌『髙野雅夫にまなぶ』創刊号の発行である。

筆者が夜間中学に転勤となり、夜間中学で先輩にまなび、夜間中学生に向き合い、とりくみを進めると夜間中学が今の社会で果たしている役割が少しずつ視えてきた。“法律にない夜間中学がそれでも存在し続けてきた意味”と言っていいだろう、その理由である。それは夜間中学という日本の教育の「例外」の場から今の学校、教育、社会を逆照射しているという役割である。
一例が「知識・技能」中心の学力観から「個性化・多様化」の学力観への転換である。夜間中学に学ぶ人たちが、昼の学校を就学免除・猶予の扱いを受けた人、不登校になった人、義務教育未修了となった人、在日外国人、中国からの引揚帰国の人たちなどの叫びを受け止めた実践を追求すると「個性化・多様化」の学力観になってくる。そのことを映像で社会に示したのが、1993年、山田洋次さんの映画“学校”ではなかったか。
その頃、岩波の『学校』(同時代ライブラリー)が出版され、佐藤忠男・山田洋次さんの対談が収録されている。何度か読んだが夜間中学の教員間で議論していたことがおよそ書かれていたし、背中を押されたように受け取った。佐藤さんは著書や新聞記事で夜間中学を論究されていたし、髙野さんたちがやっていた「私設夜間中学」にインタビューに佐藤さんが訪問されたNHKのテレビ番組のフィルムが髙野雅夫夜間中学資料室にあった。「教育とは例外を作り出し排除するのではなく、包み込むものだ」という主張に大きくうなずいたことを思い出す。
第50回全夜中研大会で記念講演をした山田さんに髙野さんは「夜間中学生の生命線は?」と質問。「一言で言えるほど、今の夜間中学は知らない。逆に髙野さんは?」に対し、「過去も現在も未来も人間の尊厳を奪い返す闘いの場だ。その生命線が今の夜間中学はズタズタにされている」と応じている。2004年のことだ。
創刊号では髙野雅夫さん追悼のつどいの記録を収録した。社会が変化しても、夜間中学の原則をひたすら追求して、行動した髙野さんの主張とその拘りを、参加者は自らの言葉で語られ、想いを共有された。それを記録しておきたかった。髙野さん最後のインタビューも収録した。改めて思ったことは、決してぶれることのない視座とそこからの主張と一貫する髙野さんの行動である。私たちは髙野さんを前に“賞味期限のない”主張だと失礼な物言いをした。
「髙野雅夫さんがマイナス点でもあった政治的手腕を発揮できるのか、絶対者から相対者の橋渡しをできるのか。大変困難な宿題に邁進しなければなりません。萬稀さんはそのことをしています。髙野雅夫さんを尊敬するから髙野雅夫さんを越えようとしています」(川瀬俊治)。戸田雅威さんは髙野雅夫さんの主張やコトバを紡ぎながら、批判を加えつつ、後に続く私たちに方向を示す提起をしていただいた。集会冊子『夜間中学は人間としての誇りと権利を奪い返す闘いの場だ‼』と併せてお読みいただけること願っている。
髙野雅夫夜間中学資料の目録作成を進めながら、資料の裏付けによる、髙野さんの主張を明らかにする作業を進めている。「髙野雅夫 夜間中学資料の魅力」として収録し、順次報告していく予定である。
創刊号の目次を記しておく。
水本 浩典 : 「髙野雅夫にまなぶ」発刊にあたって
戸田 雅威 : 髙野雅夫さんの身体から湧き起こるコトバ 川瀬 俊治 : “人類に就職した人”、髙野雅夫さん 髙野雅夫さん追悼集会 プログラム 細川 英輔: 追悼の集い 会場記 髙野 大 : タカノマサオがいない世界がどう変わっていくのか 水本浩典 : 髙野雅夫さんとの不思議なご縁 石打 謹也・山﨑 靖彦: 髙野雅夫さんをしのぶ ― 写真と映像で振返る ―
文 永 淑: なぜ学校に行けなかったのか、歴史を学んで知りました
金 夏 子: 髙野さんの精神を少しだけでも引き継げた 布川 順子: 学ぶ権利と生きる権利を守る
川西 葵羅: 学校は楽しい場所なんだなあと思えるような場所として
上田 正勝: 夢というものを右手でつかんだ、それが夜間中学校です
藤谷 志保: 学ぶことを問い続けること
高 マウム: 積極的に社会の変化のための心を持った私を見て喜んでいた
髙野おじいちゃん
寺田 朱李 :「夜間中学生」にこだわる髙野さんの姿が教えてくれたこと
金 益見: 髙野雅夫さんに聞く 「夜間中学に夜間中学生にどこまでもこだわ
って」
夜間中学卒業者の会: 髙野雅夫夜間中学資料の魅力 (第1回)
髙野雅夫追悼のつどい 参加者 感想
「夜間中学交流・談話室」への投稿のお願






















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