top of page

夜間中学その日その日 (1106)  夜間中学資料情報室

8月8日
読了時間: 5分

  髙野雅夫さん逝去一年記念の集い(1)     2026.08.08


 2025年7月26日、髙野さんはお亡くなりになった。逝去1年にあたる7月26日、私たちは記念の集会を持った。昨年同様この日も暑かった。午後6時からとはいえ、家族から外出を止められましたという卒業者もあった。静岡、倉敷、神戸からの参加もあった。『夜間学級はわたしの夢』『夜間中学生』の映画上映後、生前の髙野さんが夜間中学運動に賭けた想いを学び、語り合う内容であった。

 髙野さんは生前16㍉映写機の機械音を聞きながら、証言映画を映したいとよく言われていた。かつてどこの中学校、高校にもあった16㍉映写機はいつの間にか“処分”されてしまっているのだ。やっとたどり着いた視聴覚ライブラリーに所蔵の『夜間学級はわたしの夢』のフィルムと髙野さん所蔵の『夜間中学生』を二本立で上映して、参加者に話していただこうと計画を立てた。直前になって、ライブラリーから事前に点検したら、16mmフィルムは使用できないことが分かった。従って映写機も貸し出しできないと当方に連絡があった。何と狭い了見か。その前提で進めてきた計画を最初から見直しをしなければならなくなった。

 別の方法で映写する準備をする一方、16㍉映写機で上映を追求した。私たちの想いが通じたのか、途中で「ランプが切れ上映できなくなるかもしれない」その時はご容赦をとの断りがあったが、別の所から借りうけ、上映することができた。髙野さんは昨年フィルムのクリーニングを行っていたので、フィルムの状態は問題なかった。1967年当時の荒川九中の夜間中学や夜間中学生の姿を鮮やかに写しだした。

 『夜間学級はわたしの夢』は大阪府教育委員会が国際識字年の年、はじめて制作した夜間中学の広報番組で夜間中学生や教員がインタビューに答え、学校生活や学ぶ喜びを語る内容だ。教員も夜間中学生も若い。出演したみなさん、お元気なんだろうか。

 証言映画『夜間中学生』は行政管理庁の出した夜間中学早期廃止勧告(1966.11.29)に対し、夜間中学や夜間中学生の現場を一度も見ず机上の論で勧告を出す国に対し、夜間中学生の24時間を撮影、この実態にも拘わらず、勧告を出す日本の国や政治の不当性を告発する映画だということができる。映画に登場する夜間中学生は髙野さんの母校・荒川九中夜間中学の在校生で夜間中学生が働いている職場、雇用主、間借りしている家の家主さんたちも出演している。高齢の祖父母も内職の手を動かしながら、塚原先生と話をする音声が入っている。髙野さんは手回しの録音機“デンスケ”で音声をとる。撮影したフィルムを横浜の現像所に届け、新しいフィルムを購入する。翌日撮影し現像所に届ける。当時は撮影と同時録音をするシステムではなく、音声録音を画面にあわせて後でフイルムに焼き付けていく専門的技が要求される。荒川夜間中学に泊まりこみ、深夜に編集作業をされた。

学校に泊まり込んで深夜の編集作業
学校に泊まり込んで深夜の編集作業

 髙野さんは1966年12月の末に映画をつくることを塚原先生に提案された。三学期が始まる日、髙野さんが学校に行くと校内の準備態勢はもう出来上がっていた。夜間中学生の24時間をカメラに収める撮影を開始した。

“千江子鐘”が廊下に鳴り響く。時間に遅れて階段を駆け上がる足音。職員室の戸を開け、「こんばんは」と挨拶をして教室に走っていく夜間中学生。職員室入口に「どうぞおはいりください だれにでも何でもきいてください(どろぼう氏はおことわり)」と書かれた張り紙が一瞬画面に写る。

髙野さんはこんな話も私たちにされた。当初公務員だからと消極的だった、塚原先生は「こんな時に、授業なんかやってられるか」と言って撮影カメラをまわした。すごいのは、塚原先生の授業のカバーを他の先生が自発的にやられていた。

 今の学校現場は「年間計画にありません」を口実に、新規の提案を断る手法が横行する現場になっていないだろうかと反省する。夜間中学廃止勧告のように年度途中に生起することがほとんどだ。天王寺夜間中学廃止する大阪市教育委員会の第一次策動も2013年12月、年度途中だった。夜間中学ではこれらに即対応することが求められる。代わって声を挙げるところはどこもない。当事者が声を挙げ行動を起こすことが必要不可欠だ。「年間計画にまず書いて」からではない。当事者が声を挙げ行動を起こすことが必要だぞ!この証言映画の画面は今の私たちに語っているというのが私の感想だ。

 1967年、立ち上がった当事者の声を無視したり、見て見ぬふりの傍観者がいたとしたら、この証言映画は完成しなかったし、天王寺夜間中学は生まれることはなかったことは想像できる。

 もう一点あげておく、夜間中学早期廃止勧告を撤回させる狙いをもってつくられた、証言映画『夜間中学生』は廃止勧告反対とか撤回とかの言葉は誰も語っていないことを指摘しておきたい。神戸学院大学の卒業研究で映画の音声テープ(オープンリール)を電子データーに置き換え、音声を文字化して分析された優れた研究がある。その研究の一部が村上優生著「50年前のミネルウァの梟は何を語ったか―証言映画『夜間中学生』が記録した現実―」(『こんばんは、夜勉です』所収)。フィルムに焼き付けたどの音声テープにも廃止勧告反対とか撤回の音声はなかったそうだ。

 髙野さんたちの意図は夜間中学生が学校にいる4時間ではなく、一日24時間すべての姿を見てください。そして行政管理庁が云う、主張に道理がありますか?を意図した映画制作の姿勢である。

 参加者からは2本の映像を見比べた発言が続いた。(つづく)

 
 
 

コメント


Featued Posts 
Recent Posts 
Find Me On
  • Facebook Long Shadow
  • Twitter Long Shadow
  • YouTube Long Shadow
  • Instagram Long Shadow
Other Favotite PR Blogs
Serach By Tags

© 2023 by Make Some Noise. Proudly created with Wix.com

  • Facebook Clean Grey
  • Instagram Clean Grey
  • Twitter Clean Grey
  • YouTube Clean Grey
bottom of page