夜間中学その日その日 (732) 夜間中学資料情報室
- journalistworld0
- 2021年1月1日
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2020夜間中学関係新聞報道(1)
2021年を迎えた。
私たちは「文科省の下請けとなる夜間中学をどう克服するのか」という議論を行っている。開設される夜間中学を待つのではなく、こんな夜間中学をつくるべきだという行動が必要だと考える。
2021年4月、四国で2校の県立夜間中学が開校する。徳島県立しらさぎ中学校、高知県立高知国際中学校夜間学級の2校だ。一県に最低一校の夜間中学をとの動きの中で、誕生する。校区は県内全域である。通学することが第一の障害になる。通学費、登下校に要する時間、通学手段には車が必要になるかもしれない。これまでの夜間中学で経験したことのない課題解決が突きつけられている。
関西の各夜間中学開設の経緯を教訓に、夜間中学生が主役となる夜間中学にするためには、今が大切だ。仮にそうでない夜間中学が生まれることになっても、変更を求めていくとりくみはスタートしていることになる。
関西の夜間中学の発足時、「夜間中学も中学校だから小学校を卒業していないと夜間中学には入学できません」「日本の学校ですから、日本人でなかったら入学できません」「中学校ですから、中学校の教科書を使っての授業です。理解できない人は入学できません」「中学校は3年で卒業です」など、教育行政や教員からびっくりするような対応が行なわれた。夜間中学生がその一つ一つに見直しを求めるとりくみを行ってきた。その過程で、多くの夜間中学生を夜間中学から排除してしまう、取り返しのつかないことも起ってしまった歴史を持っている。
この学校の授業は私たちが求めてきた夜間中学の授業でない。夜間中学生は教員や教育行政と、ぶつかり合いを繰り返しながら、少しずつ教員や教育行政の理解を取り付けてきた。夜間中学の就学援助制度や補食給食の制度を確立し、夜間中学生の実態から授業を組み立てていく方向に合意形成が図られてきた。
この動きに大きな力を発揮したのは、天王寺夜間中学卒業生が呼びかけ人になり、1970年に発足した「夜間中学を育てる会」。各夜間中学の生徒会、1975年に発足した近畿夜間中学校生徒会連合のとりくみ。そして支援組織の運動が大きな力を発揮した。
さまざまな問題点を経験しながら、「制度に夜間中学生が合わす」のではなく「夜間中学生の実態に制度の方を変更する」ことを最大限追求するという考え方が打ち立てられていると考えている。
アラっぽく言えば、「制度に夜間中学生のほうが合わす」というやり方を追求する夜間中学を私たちは「文科省の下請けとなる夜間中学」と言っている。

私たちが確認入手できた、2020年の夜間中学の新聞報道は334本あった。かつては、新聞の切り抜きや、新聞の縮刷やマイクロフィルムを投影して確認しながらコピーをとり、記事をファイルしていたが、近年、夜間中学増設運動全国交流集会MLで紹介された記事やパソコンを使って検索し、内容を確認する方法を執っている。記事の捕そく数は格段に多くなった。その変遷もグラフにした。夜間中学資料情報室では、記事数5045(2020.12.31現在)を見ることができる。
(白井善吾)
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