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夜間中学その日その日 (768)  白井善吾

  • journalistworld0
  • 2021年7月19日
  • 読了時間: 4分

 2020年度「夜間中学の設置促進・充実事業」  2021.07.19


文部科学省は新たな夜間中学の設置を促進するとともに、既存の夜間中学における教育機会の提供拡充を図るための調査研究として、2020年度「夜間中学の設置促進・充実事業」を公募し、これに22の自治体が応募した。各自治体から届いたそのとりくみ報告を2021年6月半ば、文科省のホームページで公表した。

 広島市、兵庫県教育委員会、神戸市、尼崎市、大阪府教育委員会、大阪市教育委員会、堺市、豊中市、守口市教育委員会、八尾市、東大阪市、岸和田市教育委員会、奈良市、天理市教育委員会、橿原市、京都市、横浜市、川崎市、足立区教育委員会 、江戸川区教育委員会、墨田区、市川市の22自治体である。

 調査研究事項は次の6項目で

① 教育課程に関すること(13)

② 広報・相談体制の充実に関すること(10)

③ 都道府県・市町村間の連携に関すること(5)

④ 教職員の配置・研修に関すること(16)

⑤ 環境整備に関すること(4)

⑥ その他、夜間中学における教育活動充実に関すること(9)

             *( )内の数字はとりくんだ自治体数


から選んでとりくむことになっている。その期間は2020年6月頃から2020年度内でとりくみ、そのとりくみ報告を集約し、公表した。夜間中学を設置している自治体と、大阪府のように広域行政との違いがあるが、夜間中学の教育課程をどうするか、「日本語」の教員免許はない、その中で、各夜間中学、日本語の学習をどのように進めるか、現場の差し迫った状態を反映して、①の教育課程を選んだ夜間中学現場が多くあった。

 の異なる人たちの実態にあわせ、識字力と日本語の理解度により、いくつかのコースに分け、教育課程を編成している現場が多い。

 夜間中学の教職員定数について、その現状を具体例で説明しておく。昼の学級数(9学級)、夜間の学級数(3学級)合計12学級としよう。

 国が定めた教職員定数配分表では、校長・教員21人、養護教員1人、事務職員1人の計23人である。

次に、昼の学級数、(9学級)で定数表は、校長・教員17人、養護教員、事務職員各1人、計19人となる。12学級と9学級の差は23人―19人=4人。この4人が夜間学級に配置される人数になる。

 例えば兵庫県が採用している、夜間中学を分校として配置した場合、3学級で校長・教員9人、養護教員1人、事務職員1人、計11人の配置となる。夜間学級が7学級以上になると定数は12人となり、分校の11人を超えることになる。



 給与は1/3を国が負担をし、残り2/3は都道府県が負担する決まりである。この事例の場合、養護教員は一人の配置なので、昼の学校に配置され、夜間はゼロということになる。これでは夜間中学は成り立っていかないので、大阪府が、教頭と養護教員のあわせて2名分を11校、全額府負担で配置している。

 しかし、年齢、国籍、就学歴、形式中学校卒業者のさまざまな人たちの実態に答えるため、3学級を増やして(自主編成学級)4~5学級として運営している夜間中学が多い。毎日4時間、週5日、1クラスあたり20時間/週の授業だから、仮に4学級とすると80時間の授業数になる。80時間÷4人=20時間/人。空き時間なしですべての教科を展開するという、神業が要求される。これでは現場はまわっていかないので、時間講師の先生の応援や一部の教科は合併クラスを編成するなどして進めている。私も理科以外に、臨時免許を申請して、数学・日本語などを担当した経験がある。教員は教科の授業以外にさまざまな任務がある。学校外の会議に移動中の電車の中でその日の教材づくりをした経験は日常になっていた。在職時と比べ、「日本語指導支援員」や「スクールカウンセラー」などの配置がされるようになったが、厳しい状況は同じであろう。

 教育公務員の給与の全国平均は207,628 円(2019年地方公務員給与実態調査結果より)だそうだ。教員一名を加配する、その人件費がいくらになるかは計算できる。これを都道府県や政令市が全額負担しなければならないとすると、財政基盤が強固でないところは、「はいわかりました」にはならない。先に全国知事会が提言をまとめた、「夜間中学の設置準備に係る定数措置の創設」についてはもっともな提言ではないか。

 現役のとき、先輩の先生から教わったことがある。具体的に実践して、成果や問題点を明らかにし、「それでも行政は支援ができないとおっしゃるんだったら、わたしたちならこんなとりくみを実行するということ提案してください。それがないんだったら、財政当局に私たちといっしょに説明しに行きましょう。それがあなた方の仕事ではないですか?」教育委員会交渉の場で、実践報告をし、考え方を迫っていた。

 22の各自治体が文科省に提出した報告書の分析をと考え作業を始めたが、それは現役の人たちにお願いしたい。行間から、夜間中学生の姿が見て取れる報告で、財務省の論理の上をゆく闘いを文科省にしていただきたい。それが今回、文科省が「夜間中学の設置促進・充実事業」で大きなねらいとされた事だと考えている。

 
 
 

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