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夜間中学その日その日 (773) 「砦」編集委員会

  • journalistworld0
  • 2021年8月23日
  • 読了時間: 4分

第4回夜間中学生寄席 「戦争を生き抜いた 私の人生を語る」 2021.08.23


 新型コロナウイルスが依然猛威を振るい、収まる兆しすら見えない。わたしたちが抱く、重くのしかかるこの重圧は、第4回夜間中学生寄席で2人のオモニが語った空襲のなかをかいくぐり、「もしかしたら、今日、空襲で死ぬかも」去来する想いと重なり合った。この国の為政者への不信、不満は、既にそれを通り越した。市民をそんなおもいに陥れて、要諦をさせ、突き進んだ76年前、この国がとった手法が今に重なる。

 「戦争を生き抜いた 私の人生を語る」をテーマに第4回夜間中学生寄席が2021年8月21日、東大阪市立市民多目的センターで開かれた。この日の演者は洪玉山(ホンオクサン)さん高玉貞(コオクチオン)さん、80代の在日朝鮮人で、夜間中学卒業後、「ウリソダン」の学習者である。ウリソダンでは学習の一環として、夜間中学卒業者の会の行事の集会名を習字で書いてもらってきている。

 ウリソダンの学習で、「大阪大空襲の朝鮮人犠牲者の体験を語る報告」を学習されていた。夜間中学在学中にも増して多くを語っている学習者のことを聞き、夜間中学生寄席で語っていただけることになった。

 参加者は「かんさい熱視線『戦後76年 消えゆく空襲被害者の声』」を少し観た。太平洋戦争末期、関西各地を襲った空襲。ことし、被害者を救済する法案の成立への期待が高まった。埋もれてきた朝鮮の人たちの空襲被害者への新たな動きと、高齢化が進み、亡くなる当事者は後を絶たないと番組は語っていた。大阪の41万人の犠牲者の中で朝鮮人の犠牲者の数が分からないこと。本名ではなく、日本名で墓碑に刻まれた人たちを、聞き取りを行ない、164人の犠牲者の本名を確認していけたと番組の中で塚崎昌之さんは語っていた。



 洪玉山さんは12,13才で空襲の大阪の街をかいくぐってきた体験を語った。すべての情報から隔絶され、戦争がなんであるかも分からず生きてきたが。「空襲にあってはじめて分かった」「貧困で暗い生活、朝鮮人に疎開はなかった。隣組は何も知らせてくれなかった」「そのまま土をかぶってお墓になる、それが防空壕だと教えられた」「よう生きのびた、76年経ったいまの実感だ」「私は独特の朝鮮人です。自分の祖国が好きです。死ぬまでに、もう一度祖国に行きたい」と話した。

高玉貞さんは戦争後の自分史を語った、「朝8時から5時まで働いて、夕方5時25分の電車に乗ってさらに別の職場でアナウンサーとして働いた。終電車がなくなり、一人ぼっちで歩いて帰った辛いことが何度もあった」「弟や妹に安くて量の多い「カリント」のお菓子を買ってきて妹や弟にあげるのが楽しみだった」結婚後、働いた職場で、お客さんから、夜間中学があることを聞いて、働きながら夜間中学に入学、勉強した。「ありがとう、苦労することは楽しみです。毎日は楽しいです。ここで話ができること子どもが『おかあちゃん頑張ってきや』と送り出されてきた」と語り、話し終えた。

 会場から2人の語りに答え、自らの体験を話しながら、深まっていった、司会は要らなかった。

「年が10才違うと、体験がここまで違うのか、若々しい話しぶりに、私の方が元気をもらった」「うりそだんで朝鮮人犠牲者のこと、知らなかった事をすこしずつ勉強していっている」「75年はあっという間、ベトナム戦争、中東戦争、その現場を観てきた。1回戦争したら元に戻るのに、100年はかかる。原発事故はもっとかかる」「創氏改名」「本名」「朝鮮人差別」についても意見交流があった。

 「子どもたちの生活の中にニンニク、唐辛子がない。私とこに来たら朝鮮の食事。朝鮮式は私の代までかもしれない」「私とこは済州マル(済州弁)」と洪さんは語った。


 今、学校現場で、「戦争」について考え、深められる語りができる人は皆無だ。夜間中学生はこれまでも、小中高大学生だけでなく、教員にも話すとりくみを続けている。

 洪さんも語ったが「戦争の話をすると自分がみじめになる。先生とよくケンカをした」と話したが、多くの夜間中学生もそうだった。しかし話しを聞く、子どもたちの真剣なまなざしに、この子どもたちに伝え、平和の大切さを話しておくことは、わたしたちの役割かもしれない。用意していった原稿は横に置き、語りはじめた夜間中学生であった。子どもたちから届いた手紙に、返事を書く夜間中学生のとりくみも自然に生まれてきた。夜間中学の存在意義の大切なとりくみの一つである。


 参加者が語った。ここ(夜間中学生寄席)に来たいが、電車賃がいる。そんな夜間中学卒業者がいることも忘れないでほしいとの話しがあった。会場に足を運んでいただく方法もあるが、“出前の夜間中学生寄席”もありかもしれない。

 
 
 

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